まなびのひきだし
2017.05.02
おおむね6歳の発達とは
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!
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おおむね6歳(保育所保育指針第2章子どもの発達2.発達過程(8)) 全身運動が滑らかで巧みになり、快活に跳び回るようになる。これまでの体験から、自信や、予想や見通しを立てる力が育ち、心身ともに力があふれ、意欲が旺盛になる。仲間の意思を大切にしようとし、役割の分担が生まれるような協同遊びやごっこ遊びを行い、満足するまで取り組もうとする。様々な知識や経験を生かし、創意工夫を重ね、遊びを発展させる。思考力や認識力も高まり、自然事象や社会事象、文字などへの興味や関心も深まっていく。身近な大人に甘え、気持ちを休めることもあるが、様々な経験を通して自立心が一層高まっていく。
6歳とは年長児の誕生日を迎えたところから小学校への就学までです。主には年長児の後半の時期を思い浮かべればよいでしょう。 運動発達については、身体を巧みに動かし、様々なスポーツに入っていける時期です。歩く、小走り、全力疾走などもその上手さはいろいろにしてもかなりよく出来るようになります。縄跳びなども道具を使った運動も練習の機会があれば、上達していきます。それだけ自分の思うように身体のいろいろな部位を動かせるようになるからです。さらにボール投げをするなど複雑な動きは身体の諸部位を互いに関連させて、一つのフォームに出来るからです。今後、小学校半ばくらいまで徐々にそのスキルは向上していきます。
いろいろとやってみたいことが増えていくばかりでなく、積極的に取り組もうとするでしょう。たとえ、多くの子どもがやっていることは、すぐに出来ないことでも工夫したり、練習したりすれば出来るようになるのだと分かってきて、進んで取り組もうとします。その機会をどれほど豊かに用意するかが、子どもの何に対しても挑戦する力や粘り強く取り組む力を伸ばします。園で可能な活動が多く出来るようになるため、自信を持ち、年下の子どもをリードし、また出来ないでいる子どもに助言したり、また自ら苦手なところを友だちから教わったりもするでしょう。どんなことでもすぐにあきらめるのではなく、興味を感じ、意欲を持った子どもに成長しているかどうかが園の保育の良さをよく示すことでもあります。
仲間関係が育ってきて、単なる仲良し関係だけではなく、協力し合う関係が生まれてきます。そばにいて楽しいとか、似た遊びをするとか、というのはかなり小さい子どもでも見られますが、役割を明確に分担して、それに沿って動くのは年長児あたりによく見られます。互いの役割やすることを統合的に捉えて、大きな目的やルールの下で一緒にやっていくことが把握できる必要があります。ドッジボールで味方のチームはともに敵に対して協力する関係であり、味方同士で投げるボールを取り合っていては勝てません。ごっこ遊びでお母さん役と赤ちゃん役はそれらしく振る舞い、しかも相手のすることに合わせて、役を演じます。皆で劇作りをするなどはかなり何日も掛けて取り組む活動ですが、そうすると、役や台詞や小道具や大道具作りを互いに調整し、練習しつつ、どうすれば一つのまとまりのある劇になるかをともに考えねばならないのです。互いにアイディアを出し合い、相手の希望を活かし、時に折り合いをつけ、よりよいものにすることを繰り返して、完成度の高いものにしていきます。
身の回りの事柄への興味も広がり、そのものの特徴に気づくだけでなく、どうしてそうなるのだろうかと理由や原因を考えることも出てきます。たとえば、氷を見つけて、割って遊ぶだけでなく、どうしてあるところだと厚い氷が出来るのか、きっと寒いところだからだと考えたりもします。
文字の読み書きも多くの子どもがするようになるでしょう。絵本や掲示その他で、かな文字にはしょっちゅう出会います。それを見ているうちに、その文字と発音との対応が出来ると、一文字ずつは読めるようになります。書く方は筆順などが難しい上に、小さいところに納める指先の器用さが必要ですが、それは年長児から小学校1年生に掛けて進んでいきます。
生活習慣の自立のみならず、自分で何でもやりたいし、出来るようになります。小学校に入ると、送り迎えも、集団登下校もあるにしても、親から離れ一人でやらねばなりません。自立の習慣とともに、自立心を育てていきましょう。