まなびのひきだし
2017.04.05
おおむね5歳の発達とは
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!
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おおむね5歳 (保育所保育指針第2章子どもの発達2.発達過程(7)) 基本的な生活習慣が身に付き、運動機能はますます伸び、喜んで運動遊びをしたり、仲間と共に活発に遊ぶ。言葉によって共通のイメージを持って遊んだり、目的に向かって集団で行動することが増える。さらに、遊びを発展させ、楽しむために、自分たちで決まりを作ったりする。また、自分なりに考えて判断したり、批判する力が生まれ、けんかを自分たちで解決しようとするなど、お互いに相手を許したり、異なる思いや考えを認めたりといった社会生活に必要な基本的な力を身に付けていく。他人の役に立つことを嬉しく感じたりして、仲間の中の一人としての自覚が生まれる。
5歳となれば、園の最年長児ないしそれに近づきます。幼児期に育つ多くのことが出来てくる時期です。幼児期は大人に頼らないと日々のことが進まないものです。だから、家庭での親の役割が大きいのですし、園の保育士は親代わりという意味を持つわけです。そこから少しずつ脱する時期が5歳です。生活習慣の基本が身につくからです。一人で食事が出来る。排泄がおむつなどに頼らずに、一人で出来る。着替えも大丈夫。
運動機能はほぼ基本が出来上がります。走るフォームや速さもよろよろした形ではなくスムースになります。道具(鉄棒とか縄跳びとか)の使い方は経験によりますが、指導さえ丁寧であれば、簡単な動かし方はすぐに身につきます。
運動遊び、特に集団で行う遊びが好きになります。身のこなしが巧みになり、また複雑なルールが理解できるようになるからです。こうやれば勝てるという工夫をするようにもなります。鬼ごっこの発展の「ドロケイ」などがその代表です。友達のマネをしたり、助けたり、協力したりして、一緒に運動が好きになります。
イメージを描く力が発達し、ごっこ遊びなども相当に複雑な場面を思い浮かべつつ、役柄を決めたり、それに相応しい身ぶりやせりふを考えられます。たとえば、救急車、入院、診察、手術などをかなりリアルにごっこと言うより劇のように演じたりもします。 目的を持って、その目的を具体化しつつ、共有し、ともにそれを目指して、活動を工夫することも増えていきます。一緒に遊園地ごっこで「お化け屋敷」を作ったり出来ます。そういう目的意識を持って、どう活動すればよいかを考えることが、その後の学びの基本となっていくのです。
決まり(ルール)に従って遊んだり、園の生活を営んだりします。自分たちでそのルールを変更したり、細かくしたり、加えたりもするでしょう。ルールは自分たちで作り出す、また人が作ったものだと分かります。そのルールが役立つか、ルールに従った遊びが面白いかを考え、ルールの果たす働きを考慮して、ルールを変えようとするのです。
友達との遊びや生活場面では、けんかやトラブルが起こります。その際、どうすれば折り合いをつけられるか、よりよい解決が出来るかを考え、判断します。相手がおかしなことを言えば、批判もするでしょうし、相手が間違えたなら許そうとするでしょう。謝ればいいと寛容なやり方も分かるようになります。物事によっては異なる考えや意見があるものだと分かります。
集団としての自覚も生まれます。自分一人や仲良しグループを超えて、クラスや集団のために行動する。時に我慢することも覚えます。人の役に立ちたいと願い、みんなのためだからということも分かって、それに対して、自分が折れたり、イヤなことをあえて選ぶことも出てきます。