まなびのひきだし
2017.03.01
おおむね4歳の発達とは
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!
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おおむね4歳 (保育所保育指針第2章子どもの発達2.発達過程(6)) 全身のバランスを取る能力が発達し、体の動きが巧みになる。自然など身近な環境に積極的に関わり、様々な物の特性を知り、それらとの関わり方や遊び方を体得していく。想像力が豊かになり、目的を持って行動し、つくったり、かいたり、試したりするようになるが、自分の行動やその結果を予測して不安になるなどの葛藤も経験する。仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増えてくる。その一方で、決まりの大切さに気付き、守ろうとするようになる。感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の気持ちを抑えられたり、我慢ができるようになってくる。 4歳児とはまさに園に十分なじんで、どこに何があるかも分かり、自分の心身が躍動するのが楽しくて仕方がない時期です。毎日、今日は何をしようかと登園してくることでしょう。 身体能力の成長が著しい時期です。日常生活で必要な基本動作がほぼ出来るようになります。歩いたり、走ったり、跳んだりできます。また道具を使った動き(例えばボール遊び)などは経験が必要ですが、慣れてくれば、ある程度上手にこなすようになります。手先の器用さも増してきて、例えば、はさみなども使えます。
好奇心が周りに広がり、何についても関心を持ち、関わりたがります。時に危ないこともしかねませんが、そこを誘導して、安全でありつつ、子どもにとって、挑戦したり、工夫したり出来る面白い活動へと導きます。そう思ってみると、まわりには動物・植物・道具・機会・美術品、そしてもちろん、遊具類や絵本などいくらでも子どもが関わり知っていると良いものがあります。それを見て説明を聞くだけでは子どもは十分その特性を分かるというわけにはいきません。実際に手を使い足を使って、そのものに関わり、作ったり、動かしたり、世話したりして、そのものの特徴を理解していくのです。言葉で説明できるようにはまだ分かっていませんが、そのものにふさわしい適切な関わり方が出来るようになるのです。
知的な力も増し、ものの特徴を知るだけではなく、それを見えないところから説明しようとし始めます。以前のことからどう経過して今のことになり、これからどうなるのか。ものの内側はどういう仕組みになっているのか。そういう興味が出てきています。
こういうことを実現したいというイメージが生まれると、それが目的となり、それを実現するように工夫したり、努力したりもするようになります。逆に、うまくいかないかも知れないとか、失敗したら怖いとかの感情も生まれ、慎重になったり、挑戦を止めたりも出てくるので、励ましや見通しを提供することも大事になります。 仲良しの仲間が生まれてきます。少人数のグループで行動して、仲間意識を持っていることも多くなります。といって、まだ相手に譲るということまで出来るとは限らないので、互いの主張がぶつかったり、イメージがずれたりして、トラブルも起きやすくなります。トラブルを回避するように、妥協の構えを取ることも出てきます。 その際、ルールや約束事を思い出し、それを守るべきだからこうしようと提案したりすることもあるでしょう。自分もやりたいことを押し通すだけではなく、ルールを守ることと両立するように何とか工夫したいと思います。 喜怒哀楽の感情も経験し、同じ喜びでも悲しみでも微妙なニュアンスが生まれます。他の人の感情も感じ取りますが、その理由が何であるかの推察が正確とは限らず、しばしば自分の見方に固執します。 少しずつ自分の激しい感情をなだめることが出来るようになっていきます。自分の思い込みで動くことが多いのですが、それが違うときにそれを変えようと努力します。とはいえ、自己のコントロールはなかなか難しく、子どもの気質によっては出来ないことも多いでしょう。