まなびのひきだし
2017.01.04
おおむね2歳の発達とは
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!
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おおむね2歳 (保育所保育指針第2章子どもの発達2.発達過程(4))
歩き始め、歩く、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能や、指先の機能が発達する。それに伴い、食事、衣類の着脱など身の回りのことを自分でしようとする。また、排泄の自立のための身体的機能も整ってくる。発声が明瞭になり、語彙も著しく増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる。行動範囲が広がり探索活動が盛んになる中、自我の育ちの表れとして、強く自己主張する姿が見られる。盛んに模倣し、物事の間の共通性を見いだすことができるようになるとともに、象徴機能の発達により、大人と一緒に簡単なごっこ遊びを楽しむようになる。
満2歳代に入ると、移動も活発になり、言葉もよく使うようになり、赤ちゃんというより子どもあるいは幼児という感じが強くなります。とはいえ、まだ言葉はちゃんとした文というまでには至っていませんし、かんしゃくを起こすことも多く、ちゃんと大人と会話が成り立つまでには至っていないでしょう。
歩くことや走ること、また飛び降りるなども可能になっています。体の重心を中心に安定した動きが出来る上に筋力がついてきて、長く歩けます。もっとも、走るフォームなどはまだ完成にはほど遠く、もたついた動きが見られるのが普通です。そういう移動により、家庭内・園内はもちろん、かなりの距離を散歩することも出来るようになります。日々、運動の力がついていくので、毎日のように散歩や追いかけっこなどをするとよいでしょう。
生活習慣の自立が始まります。おむつが取れている子どももそうでない子どももいます。保育園だと保育士が配慮して、おむつが取れるのが早いと思いますが、家庭によっては3歳過ぎまで掛かることも珍しくありません。 排泄の徴候を自分で感じ取り、トイレの便器に向かうまで我慢して、そこで緊張を緩めるというのが排泄の自立ですが、これは結構子どもによっては難しいものなのです。
食事では箸をスムースに使うのはまだ無理かと思いますが、スプーンなどは使えるようになります。指先に力を込めて、操作することが上手になるからです。衣服の脱ぎ着も簡単なものならできますが、しばしば表と裏や右と左がごっちゃになります。
言葉の発達は著しいものがあります。語い数が大幅に増えていきます。発音もしっかりとして、一部「幼児音」が残るにしても、聞き取りやすくなります。単語を二つ・三つとつないで文とすることが出来るようになり、伝える意味も複雑になっていきます。会話での明瞭さはまだ足りないとか、相手の言葉を繰り返すとか、やりとりの途中で突然気がそれるとかはありますが、かなりやりとりが続くようになります。
この時期はいわば周りの物事に目が開かれます。そのものは何だろうとか、その名前は何て言うのだろうという疑問がしょっちゅう発せられるでしょう。これは使っていい?と尋ねたり、また自分の思いつきを試したりもして、ものの性質を確かめるようになります。
自分の当初の思い込みに固執して、言い張ることも増えます。これが「反抗」と呼ばれることもあります。融通が利かなくて、最初にこうしたいとか、こうできると思うと、後から修正がなかなか利かないのです。丁寧な説明が必要ですが、言葉で全部が通じるわけではないので、難しいのです。子どもの気質にもよりますが、当初の思い込みを強固にしてしまう前に、こうしようとか、こうなるとか、簡潔に説明することが大事です。
感情が激しくなり、かんしゃくとして突然のように表れることも多いでしょう。まず、気持ちの落ち着きを待ち、穏やかな状態になったら、簡単な言葉で約束事を言い聞かせます。
しかし、そういう思い込みややりたいことが強くあるのは自己主張の表れでもあり、自己の形成の大事な過程でもあります。丁寧に応対することが周りの大人には必要です。
子どもの言葉の発達は同時に、知的な力が伸びてきていることでもあります。見立てる力が出てきます。積み木を電車に見立てて、走らせるといったことや、お茶のセットで飲む真似をしたりなどがよく見られます。そういった見立てが物事を言葉や身ぶりや頭の中のイメージで表すことに発展していきます。思考力の芽生えなのです。
友達関係も生まれてきます。周りの同年代の子どものすることに注目し、その真似をして、喜ぶことが増えます。一緒とか、同じということが嬉しいのです。その模倣の力は人との関係の中で学ぶ力の表れとして、大事な発達でもあります。