保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集

まなびのひきだし

2016.11.02

おおむね6か月から1歳3か月未満の発達とは

むっちゃん先生と学ぼう
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!

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こんにちは、無藤隆です。今月のテーマは、「おおむね6か月から1歳3か月未満の発達とは」です。

 保育所保育指針の第2章「子どもの発達の2.発達過程(2)おおむね6か月から1歳3か月未満 」を取り上げます。

 おおむね6か月から1歳3か月未満では、座る、はう、立つ、つたい歩きといった運動機能が発達すること、及び腕や手先を意図的に動かせるようになることにより、周囲の人や物に興味を示し、探索活動が活発になる。特定の大人との応答的な関わりにより、情緒的な絆が深まり、あやしてもらうと喜ぶなどやり取りが盛んになる一方で、人見知りをするようになる。また、身近な大人との関係の中で、自分の意思や欲求を身振りなどで伝えようとし、大人から自分に向けられた気持ちや簡単な言葉が分かるようになる。食事は、離乳食から幼児食へ徐々に移行する。


 ゼロ歳代の半ば頃から、多くの乳児はしっかりと座り、ハイハイを始めます。重心が安定して、身体としてのまとまった動きを自らの力で操作できるようになるからです。這うのは、腕や足の運動の発達に伴うのですが、同時に何かを目指して、そこに到達しようとする意欲からも促されます。とはいえ、数週間、前に進もうとしてかえって後ろに下がるという具合に思うには任せないことも見られますが。腕やひじ・ひざ、手首・足首などの力が増すにつれて、それらを巧みに強く使って、素早く移動できるようになります。
同じ頃に、座った状態で、物があるとそこに手を伸ばし、次第にその物を目指してつかめるようになります。この手伸ばしと把握の操作が生まれると、子どもはその環境を著しく豊かに使えるようになるのです。物に手を伸ばし、それを取って、そばで眺めたり、口でなめたり、かんだり、さらに叩いたりして、すべての感覚を使って、物の理解が可能になっていくからなのです。
 そこに移動が加わると、興味を持った物のそばに行って、それをつかむことが出来ます。さらに、物をぐるりと回ってみることが出来るから、物の表側(ベッドから見える方)だけではなく、裏側を知って、立体的に把握するようになります。ハイハイがさらに上手になると、引き出しを開けたり、隣の部屋に立ち入ったりできます。つかまり立ちが出来れば、テーブルの上ものぞけるでしょう。子どもの世界はそれまでから一段飛躍して広がり、家の中の至る所に出向きます。

 並行して、社会性の始まりが見られます。その最も大事なものが特定の養育者との安定した愛情ある温かい関係の成立です。それを「愛着」と呼びます。あやしてもらうこと自体はかなり多くの人の間で成り立つのですが、特に疲れたときなど特定の養育者の元にいると安心出来、再び、まわりの探索にでられるようになっていきます。それが多くの乳児にとってゼロ歳の後半に生じるのですが、それが家庭の保護者の間とともに、園の担当する保育者との間にも(保護者との間ほどに強くないにしても)成り立つことでしょう。そうなって子どもはその場に安心していられるようになるのです。そういった愛着関係を元に、子どもは新奇な環境に立ち入り、見慣れない物でもあえて近づき、その物が何かを探り、試すようになります。
 そういった愛着関係と特定の人のいわば気心が知れたことの裏返しで、見知らぬ人を怖がることも生まれてきます。見慣れないという以上に、応対の仕方が似ているようで違うので、違和感を感じて、それが子どもによってはおびえにつながるのです。なお、これには個人ごとの気質の違いが大きいのですが、そうはいっても、愛着のある人がいない場面であると、ほとんどの子どもは人見知りを示すものです。


 ゼロ歳の終わり頃に、言葉の手前の段階の、身ぶりや表情や指さしや発声などの総合による意志の伝え合いが始まります。ミルクをほしいという発信や、逆にミルクを飲みたい?といった言葉掛けが通じるようになるでしょう。そこに特定の発声のパターンが結びつき、「まんま」といった言葉を使い始めることもこの時期に出てくることもあるのですが、多くはそういった明瞭な発音にはまだならないでしょう。そういった言葉の始まりを助けるのは、周りの養育者・保育士の感受性のある対応の仕方によっているので、その配慮が欠かせません。

いかがでしたか?次回のテーマは、「おおむね1歳3か月から2歳未満の発達とは」を予定しています。それではまた来月

 


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