まなびのひきだし
2022.07.05
シリーズ 乳幼児期から向き合う性教育 第4回(全12回)
執筆:臨床心理士・公認心理師・保育士 伊藤美咲
対象:保育士、幼稚園教諭、保護者
【4/12 自分の身体は自分のもの】
自分の身体について肯定的に捉えることは、自分で自分のことを好きになる心(自己肯定感)や、自分と他者の身体の違いを受け入れることにも繋がります。自分の身体を知る時に大切なことは、「自分の身体は自分だけのもの」という感覚も一緒に持つことです。例え、親や保育者、先生であっても、触ってほしくない場所、見られたくない時には「いやだ」という気持ちを表現しても良いことを教えることが重要です。
しかし、まだ幼い子どもにとって、何が、快・不快なのか、という感覚は掴み難いものです。そのため、知識として、身体で大切にしてほしい場所を、プライベートゾーンとして教えられると良いでしょう。
【プライベートゾーンは大切な場所】
プライベートゾーン、プライベートパーツ、水着ゾーンなど、様々な呼び方がありますが、ここではプライベートゾーンとします。
プライベートゾーンとは、他人には見せたり、触らせたりしてはいけない、自分だけの大切な場所です。プライベートゾーンには、胸、おしり、性器、そして口も含まれます。ここは新しい命を育むため、また、生命を維持するための働きをする場所になります。イラストや絵本を使って、プライベートゾーンは見せたり触らせないこと、お友だち同士でも見ようとしたり、触ろうとしてはいけないことを、繰り返し伝えていくと良いです。
プライベートゾーンは、子どもの性の安全を守るための最低限の場所です。けれども、プライベートゾーンに関わらず、自分の身体全ては自分のものであること、誰もが自分の身体を尊重され、大切にされるべき存在であることも、繰り返し伝えていきたいです。
参考文献
- 『【改訂版】国際セクシュアリティ教育ガイダンス 科学的根拠に基づいたアプローチ』 ユネスコ編 訳 浅井春夫、艮 香織、田代美恵子、福田和子、渡辺大輔 2020
- 『乳幼児期の性教育ハンドブック』 かもがわ出版 著 浅井 春夫 2021
- 『親子で話そう! 性教育』 朝日新聞出版 著 浅井春夫、 艮 香織 2020
- 『子どもを守る言葉「同意」って何? YES、NOは自分が決める! 』 集英社 著レイチェル・ブライアン、訳 中井 はるの 2020