まなびのひきだし
2022.06.08
シリーズ 乳幼児期から向き合う性教育 第2回(全12回)
執筆:臨床心理士・公認心理師・保育士 伊藤美咲
対象:保育士、幼稚園教諭、保護者
【2/12 どうして乳幼児期から必要なのか】
自分の身体に興味を持つ年齢はだいたい2~3歳頃と言われています。
「どうしてわたしにはパパみたいにおちんちんがないの?」
「ぼくも赤ちゃんにおっぱいあげたい!」
と、いうように、性器を含めた男女の身体の違いに気がついたり、興味を持って質問してくるのも、この頃ではないでしょうか。
この時の大人の説明の仕方や態度によって、子どもが自分の身体や、他人の身体をどのように捉えるのか、どのような価値観が育まれるのかに影響を与えます。
「そんなことは知らなくていいの」
「恥ずかしいことを聞かないで」
「大人になったらわかるよ」
と、子どもの興味を否定したり、質問を誤魔化してしまうと、
『自分や相手の身体のことを知るのは悪いことなんだ』
『自分の身体は恥ずかしいもの』
という価値観を育ててしまいます。
乳幼児期から性教育を始めるにあたり、大切なことは、子どもの幸せのために、何を伝えていきたいのかを考えておくことです。
上記のような、子どもが身体や性について疑問を持った時や、関心を持った時に、身近な大人の価値観が、子どもの生涯に渡る価値観に影響を及ぼすことを、自覚しておくことが重要です。
乳幼児期に性教育を始める理由は
・発達段階として、自分と他者の身体の違いや、男女の違いに気が付き、興味を持つ時期だから
・性についての価値観が育まれる時期だから
と言えます。
参考文献
- 『【改訂版】国際セクシュアリティ教育ガイダンス 科学的根拠に基づいたアプローチ』 ユネスコ編 訳 浅井春夫、艮 香織、田代美恵子、福田和子、渡辺大輔 2020
- 『乳幼児期の性教育ハンドブック』 かもがわ出版 著 浅井 春夫 2021
- 『親子で話そう! 性教育』 朝日新聞出版 著 浅井春夫、 艮 香織 2020
- 『子どもを守る言葉「同意」って何? YES、NOは自分が決める! 』 集英社 著レイチェル・ブライアン、訳 中井 はるの 2020