まなびのひきだし
2022.05.24
シリーズ 乳幼児期から向き合う性教育 第1回(全12回)
執筆:臨床心理士・公認心理師・保育士 伊藤美咲
対象:保育士、幼稚園教諭、保護者
【1/12はじめに 性教育ってそもそも何をするの?】
性教育、という言葉を聞いて、どんなイメージがあるでしょうか?
中学校や高校の保健の授業でHIVや避妊について習った、カーテンを閉めた部屋で男女別でビデオを見た……
そんな『秘めたこと』というイメージが強いのではないでしょうか。
乳幼児からの性教育、と聞くと、「そんなに小さい時から、避妊やセックスについて教えるの?」と驚かれるかもしれません。ですが、性教育は、なにも生殖に関わることだけではありません。これまで日本では、生殖とそれに伴うリスクを強調した性教育が行われてきました。それに対し、現在の性教育は『包括的性教育』と呼ばれ、生殖だけではない、広い領域が含まれます。
自分で自分の身体について知ること、自分自身をかけがえのない大切な存在だと感じること、世の中には様々な性の価値観があることを知ること、また、それをお互いに認め合い、自分と他者を大切にすること、そのような乳幼児期から育みたい、心の基本が性教育なのです。性教育とは、とても広く、深い学びの入口になります。
本記事では、性教育とはなにか、子どもと関わる身近な大人がどのように子ども達に伝えていくと良いのかを、シリーズで掲載していきたいと思います。
参考文献
- 『【改訂版】国際セクシュアリティ教育ガイダンス 科学的根拠に基づいたアプローチ』 ユネスコ編 訳 浅井春夫、艮 香織、田代美恵子、福田和子、渡辺大輔 2020
- 『乳幼児期の性教育ハンドブック』 かもがわ出版 著 浅井 春夫 2021
- 『親子で話そう! 性教育』 朝日新聞出版 著 浅井春夫、 艮 香織 2020
- 『子どもを守る言葉「同意」って何? YES、NOは自分が決める! 』 集英社 著レイチェル・ブライアン、訳 中井 はるの 2020