おやこのひきだし
2021.02.09
子どもの姿勢が気になる!姿勢が悪い原因や簡単に矯正できるポイントとは
毎日の生活の中で、子どもの姿勢が気になることはありませんか?ゲームをしているときや本を読むとき、食事のときなど子どもの姿勢が乱れがちです。今回は、子どもの姿勢に注目し、姿勢が悪くなる状況とその原因、悪い姿勢がもたらすデメリットのほか、正しい姿勢と矯正の方法をご紹介いたします。
子どもの姿勢が悪くなる状況
生活の中で子どもの姿勢が悪くなるのは、主に次のような状況です。
テレビやゲーム
テレビやゲームに夢中になると、多くの子どもが 顎を前に突き出し、上目づかいで猫背になってしまいがちです 。いすやソファーに座った姿勢では、浅く座って背もたれに寄りかかる、体の片側に体重をかける、体がねじれるなどの状態を長時間続けてしまうこともあるでしょう。
パソコンやスマホ
低いいすに座ってパソコンの画面を見ていると、顎が上に向き、マウスを持つ側の肩が上がって体が傾いてしまいます。いすの高さが合っていても、気づいたら猫背やほおづえをついた姿勢になってしまうことも多いでしょう。パソコンを床に置いて見るときは、座って首だけ上を向いたり、寝転んで目だけで画面を追ったりしがちです。
本来、首の骨はカーブした状態で並んでいます。しかしスマホを使うときは、顔が前に突き出て首の骨がまっすぐに並び、前かがみになる傾向があります。
読書・漫画
いすやソファーで本を読むときは、 浅く座って背もたれに寄りかかったり、足を組んだりする ことがあります。本を床に置いて読むときは、座って首だけ伸ばしたり、寝転んで読んだりする状況も見られます。
また子どもが本を読むときは、姿勢の悪さだけでなく本と目の間の距離が気になることがあるかもしれません。
食事・おやつ
ダイニングテーブルのいすに座ったときは、多くの子どもが足をブラブラさせたり、いすの脚に自分の足を絡めたりします。子ども用のいすには足を置く場所がありますが、実際にきちんと足を置いている時間は少ないでしょう。
いすに浅く座って背もたれに寄りかかる場合も多く、テーブルの上でひじをついたり、体を傾けて食べたりすることもあります。
お絵かき・工作など
テーブルでお絵描きなどをするときは、食事中と同様に足を床につけず、姿勢が不安定になる状況が少なくありません。また 作業に集中すると、前かがみになったり顔を近づけ過ぎたりする姿勢が続いてしまう ケースもあります。
集中していて声をかけづらくても、ひと段落したタイミングを見て、正しい姿勢をうながすようにしましょう
子どもの姿勢が悪くなる原因
姿勢が悪くなる状況をご紹介しましたが、そもそもなぜ子どもの姿勢は悪くなるのでしょうか。
運動能力の低下
スポーツ庁の調査によると、子どもの体力は一時的に上昇したものの、令和元年度は前年度よりも低下しています。腹筋や背筋の力が弱まると体をしっかりと支えられず、正しい姿勢を保てません。
保育園や学校でも座って過ごす時間が長く、帰宅後もゲームやスマホなどの座って楽しむ遊びが多いことから、運動量の減少が影響していると考えられます。
【参考】一般社団法人日本スポーツ栄養協会「小中学生体力低下の原因は? スポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」」
生活のリズム
夜型の生活になり、朝にすっきりと起きられず朝食を食べない家庭が増えています。 朝食を抜くと脳や体のエネルギーが不足し、 1 日の活力が保てず、よい姿勢を続けられない 心配があります。
また起床の時間が遅い、室内の遊びが多いといった生活では、太陽に当たる時間が不足します。日光浴が少ないと心のバランスを保つホルモンである「セロトニン」の生成が減り、集中力がなくなって、よい姿勢が持続できないことも挙げられます。
【参考】
家庭の環境
最近は子どもがスマホやパソコンを使って、気軽にゲームをしたりインターネットを活用する機会が増えました。気づいたら何時間も座りっぱなしだったということもあるでしょう。
また、リビングでお絵描きや学校の宿題をする場合、いすとテーブルの高さが子どもに合わないことも考えられます。リビングには気になってしまうものが多いため、1つのことに集中できずに正しい姿勢を保てない状況も考えられます。
大人の姿勢の悪さ
かつては姿勢について厳しく指導し、背中に定規を入れて矯正した時代もありましたが、現代ではあまり注意をしません。 正しい姿勢を知らずに育った大人は、子どもの姿勢の悪さに気づかない 傾向があります。
家庭でリラックスをしているとき、親子でソファーに浅く座って背もたれに寄りかかったり、足を組んだりして過ごしていませんか。大人の姿勢が悪いと、子どもは正しい姿勢を学ぶ機会がなく成長してしまいます。
悪い姿勢が子どもにもたらすデメリット
姿勢の悪さがもたらすデメリットは、以下の点が挙げられます。
骨格のゆがみ
間違った姿勢を長く続けると、背骨や骨盤がゆがんだ状態で筋肉が発達し、体形もゆがんで育つ 心配があります。子どもに多い「側弯症(そくわんしょう)」は背骨のわん曲やねじれが原因の病気で、左右の肩や腰の高さが異なるなどの症状があります。
また、頻繁にほおづえをついたり、寝転んだまま絵を描いたりテレビの画面を見たりすると、歯並びやかみ合わせに影響することがあります。歯並びやかみ合わせの異常は、発音や食べ物をかむ動作に影響がある「顎(がく)関節症」のトラブルも懸念されます。
【参考】
一般社団法人日本矯正歯科協会「歯並び・咬み合わせが悪いとどうなるの」
けがのリスク
猫背のままで運動をすると、関節に負担がかかって痛みが出ることがあります。また受け身を取りづらくなるのでけがのリスクも高まります。
教育の現場でも、「背中がぐにゃぐにゃしている」などの姿勢の悪さに加えて、「つまずいて転ぶ」「転んで手が出ない」といった様子が観察されています。
【参考】
NGO子どものからだと心・連絡会議「「子どものからだの調査 2015」結果報告」
呼吸に関する影響
猫背の状態が長く続くと、肺が圧迫されて浅い呼吸しかできず、十分な酸素が取り込めません。緊張すると呼吸が浅くなる状況と同様に、 猫背が続くとイライラする、疲れやすいなどの症状がみられます 。
また、口を開けたままゲームなどに集中すると、鼻ではなく口の呼吸になって口内や気道が乾き、ウイルスが侵入しやすくなるほか、虫歯やぜん息などを引き起こす原因になります。
【参考】
特定非営利活動法人日本成人病予防協会「呼吸 ~ストレス解消法~」
肩こりや腰痛など
ゆがんだ姿勢を続けていると、首や肩、背骨の周りの筋肉が緊張して血行が悪くなり、肩こりや腰痛、頭痛、めまいなどの原因になります。一般的に子どもは肩こりや腰痛などを発症しませんが、不自然な姿勢が習慣になると体に負担がかかるので注意しましょう。
姿勢が悪いと、肩こりや頭痛などに加えて、呼吸が浅くなることで慢性的な体の不調を引き起こす可能性があります。
消化不良
猫背などの 姿勢が悪いままで食事をすると、内臓が活発に働かず、食べ物の消化がうまく進みません。 体が前かがみになると内臓が圧迫され、食べてもすぐにおなかが苦しくなるデメリットもあります。
そのほか、食事中に茶わんを持たない、ひじをつく、足を投げ出して座るといった姿勢は、マナーとして避けるべきなので、大人が注意して気づかせてあげるようにしましょう。
近視の心配
スマホや携帯ゲーム機などで手元を見る作業を長く続けると、近視になるリスクが高いことがわかっています。そのほか、本を読んだり絵を描いたり、工作をするときなども集中すると目が近づいてしまいます。
手元を見て作業をするときは、目と対象物の間を30cmくらい離して正しい姿勢を保ち、ときどき休憩を入れてくださいね。
子どもも大人も!正しい姿勢とは
それでは、この機会に親子で正しい姿勢を覚えましょう。極端に神経質になる必要はありませんが、気づいたときにやさしく声をかけることをおすすめします。
立つ・いすに座る
頭が骨盤の上に来るようなイメージで背筋を伸ばし、耳と肩が一直線になる状態 を保ちます。絵を描くときなどはいすに浅く座り、机と体の間に握りこぶしが1つ入るように開けて同様に背筋を伸ばしましょう。
さらに、足の裏を床にしっかりとつけ、ひざはおよそ90度に曲がるようにクッションなどを敷いて高さを調節します。 子どもの足が床に届かないときは、箱などを用意して足が安定するようにしてください 。
床に座る
床に座るときは、体育座りや足を前に伸ばしたあぐら、正座などがよく、同様に頭から骨盤までの一直線を意識します。姿勢が崩れやすい場合は、クッションや座いすなどを利用して体をまっすぐに支えてくださいね。正座で足がしびれるときは、足とおしりの間にクッションなどをはさむと軽減します。
子どもの姿勢を矯正するなら
最後に、子どもの姿勢を矯正するポイントを順に解説します。
クッションや座布団など
いすとテーブルの高さを合わせて姿勢を整えるときは、座面にクッションや座布団を敷くと簡単に調節ができます。骨盤を支えてしっかり座れるクッションや、座ると背中が伸びて正しい姿勢になるいすなども販売されています。
バランスボールで鍛える
正しい姿勢を取るには、体の重心を知ることもポイントです。子どもに重心の感覚を教えるのは難しいため、小さめのバランスボールを使ってみましょう。 ボールが転がらないように座る練習をすると背筋が伸び、体幹が鍛えられて正しい姿勢 に導かれます。
はだしで過ごそう
近年は、足の指が地につかない「浮き指(うきゆび)」や、足の小指が内側に曲がる「内反小趾(ないはんしょうし)」、土踏まずが発達しない「扁平足(へんぺいそく)」の子どもが増えています。
トラブルを抱えた足ではしっかりと踏ん張れないため、正しい姿勢を保てません。室内ではなるべくはだしで過ごし、つま先立ちや足の指のじゃんけん、足指でものをつまむ遊びなどで足を鍛えましょう。
【参考】
NPOオーソティックスソサエティー「こどもの足・靴のトラブル」
矯正のベルトや通院
子どもの姿勢を正す矯正のベルトも販売されています。猫背を治したいときはベルトだけのタイプ、腰までしっかり補正したいときはベストのように長いタイプを使用しましょう。矯正のベルトは通気性がよく洗える素材のものを選び、1日30分くらいを目安に装着してくださいね。
なお、 子どもの姿勢に異常が見られるとき、矯正の方法に不安があるときは整形外科を受診 して指示を仰ぎましょう。
正しい姿勢で子どもの成長をうながそう
今回は子どもの姿勢が悪い原因や矯正の方法についてご紹介いたしました。自宅ではリラックスしてよいのですが、悪い姿勢を長く続けるとさまざまなトラブルが心配されます。子どもの 健やかな成長をうながすためには、親子で生活の環境を見直し、正しい姿勢を意識 しながら過ごしましょう。