おやこのひきだし
2020.10.05
赤ちゃんへテレビが与える影響!注意点や上手な活用方法も紹介
身近な家電で生活の一部にもなっているテレビですが、つけっ放しにしている家庭もあるのではないでしょうか?「テレビを赤ちゃんに見せても大丈夫?」「テレビは赤ちゃんの発達に悪影響はないの?」と心配に感じる保護者の方は多いでしょう。
この記事ではテレビが赤ちゃんに与える影響についてご紹介いたします。テレビの長時間視聴が赤ちゃんに与えるデメリットや、テレビを上手に活用することで得られるメリットについても詳しく解説します。
テレビは赤ちゃんにいつから見せて大丈夫?
結論から言うと、生後すぐに見せても大丈夫です。ただし、気を付けたいのがテレビの視聴時間や見せ方です。保護者の方が忙しいときやぐずり対策などで、テレビを活用するシーンが多いかと思います。しかし、赤ちゃんがおとなしくしてくれて楽だからといって、長い時間テレビを見せ続けると、
- 親子の会話や体験の共有時間が減る
- 保護者がテレビに夢中で、赤ちゃんへの興味関心・安全への配慮に欠ける
- 散歩や外遊びの時間が減り、子どもの体力や運動能力の発達に悪影響を及ぼす
- 親子が同じものに向き合って過ごす、絵本の読み聞かせなどの時間が減る
- スキンシップによる愛情形成がうまくいかない
などの理由で、赤ちゃんの心身の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
1日の視聴時間は2時間以内に
日本小児科医会の子どもとメディア委員会は、長時間のテレビ視聴が赤ちゃんに与える悪影響を懸念し「メディアに子守りさせずに、視聴時間は2時間以内を目安に」と提言しています。長時間の視聴が赤ちゃんに与える影響については、のちほど詳しく解説いたします。
視力や聴力に影響はないの?
赤ちゃんはテレビの音や光に興味津々。テレビの画面に近づき、食い入るように見る傾向があります。視力の発達段階の赤ちゃんが至近距離で画面を見続けると、目のピント調整機能がおとろえ、視力低下の要因となる場合があります。
また、常にテレビが大音量で流れている環境にいると、人間の声と雑音の区別がつかなくなる、ボリュームが小さい音の聞き取りが難しいなど、聴力の発達に悪影響を及ぼす可能性もあります。
赤ちゃんがテレビを長時間視聴するデメリット
日本小児科学会「こどもの生活環境改善委員会」が、1歳半の約1,900名を対象に行った調査によると、乳幼児のテレビの長時間視聴は、赤ちゃんの発達にさまざまな悪影響を及ぼすことがわかっています。具体的にどのような悪影響があるのかを解説いたします。
【参考】日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」
コミュニケーションの機会が減る
赤ちゃんが長い時間テレビを視聴すると、一方的に情報を与えられる状況におかれます。赤ちゃんがテレビに反応しても、それに対しての反応が返ってこないので、第三者との言葉や表情でのコミュニケーションが不足します。保護者の方からの赤ちゃんへの語り掛けの機会も減るので、言語の発達の遅れにつながる場合があります。
集中力が低下する
赤ちゃんはテレビから音や映像が流れていると、無意識のうちにテレビの画面に反応します。そのため、授乳中や離乳食を食べているとき、おもちゃで遊んでいるときなどにテレビがつけっぱなしだと、今行っていることに集中できなくなります。その結果、集中力が低下したり、相手の話が聞けなくなるなどの悪影響が生じる可能性があります。
ブルーライトの刺激による睡眠障害
寝る前の時間帯にテレビを長い時間見ると、夜泣きや寝つきが悪くなるなどの睡眠リズムの乱れにつながります。これは、テレビが発するブルーライトによって、睡眠をサポートする「メラトニン」というホルモンの分泌が妨げられるためです。赤ちゃんは大人よりも光の刺激を強く受けます。寝る前は極力テレビを見せないように気をつけましょう。
【参考】厚生労働省 未就学児の睡眠指針
テレビを赤ちゃんに見せるときの注意点
テレビを赤ちゃんに見せるとき、保護者の方に注意してほしい点をいくつか紹介いたします。
長時間つけっぱなしにしない
赤ちゃんにテレビを見せるときは、長時間つけっぱなしにはせず、見る時間や番組をあらかじめ決めて、見終わったら消すようにしましょう。テレビで赤ちゃんにDVDを見せるときも、反復して何度も見せたりはせず、1回再生したらお休みすることも大切です。どうしても視聴時間が長くなくなりがちな方は、タイマーを活用して一定時間で電源が切れるようにする方法もよいでしょう。
テレビ台の安全対策をする
赤ちゃんがテレビに近づいてケガをするのを防ぐため、テレビ周辺の安全対策を十分に行いましょう。テレビ台の角にコーナーガードを設置したり、周囲をベビーゲートで囲むなどするとよいでしょう。また、コンセント部分のいたずらによる感電事故を防ぐため、コンセントカバーをつけておけば安心です。
テレビと一定の距離をとって視聴する
寝返りやハイハイがはじまり、赤ちゃんが自分で動けるようになってきたら、テレビとの距離を保つための対策を十分にとりましょう。テレビを見せるときは、目への負担を軽減するため、部屋を明るくしてなるべく2m以上離れましょう。テレビとの距離を一定に保つためには、保護者の膝まくらで見せる、ベビーチェアをテレビから離れた位置に設置して座って見せる、などの工夫もおすすめです。
テレビを上手に活用すればこんなメリットも
赤ちゃんが長時間テレビを見ることは、言語の発達の遅れや、コミュニケーション能力の低下などの心配がありますが、内容を吟味し、赤ちゃんと会話を楽しみながら見せれば、赤ちゃんの発達によい影響を与えます。
言語の発達をサポート
保護者の方が赤ちゃんと一緒にテレビを見て、内容について赤ちゃんに語りかけたり、赤ちゃんの反応に目を合わせて返事をしてあげれば、言葉の発達のサポートにつながります。幼児向けの番組は短い物語や歌のコーナーで構成されています。親子で一緒に楽しむのにぴったりですね。
認識力を伸ばす
2歳以下の赤ちゃんは、まだテレビ番組の内容や言葉を十分に理解できませんが、月齢が上がるにつれて、画面上のものの名前や形、大きさなどを徐々に理解しはじめます。幼児向けの番組を一緒に視聴し、丸いボールが出てきたら「丸いね」、数を数えるシーンでは一緒に数えるなどしてあげることで、ものの形や数の認識力を伸ばすサポートになります。
知識や興味が広がる
赤ちゃんはテレビの映像を通じ、今までみたことのない植物や動物、宇宙や世界の様子などを知ります。自分が知らない新しい世界を知ることで脳が刺激を受け、赤ちゃんの興味や知識の幅が広がるのです。もし赤ちゃんがテレビを見ながら、指をさす「あーあー」声を出すなどの反応を示したら、保護者の方も共感してあげましょう。
赤ちゃんによい影響を与えるテレビとの付き合い方
赤ちゃんに悪影響を与えず、テレビと上手に付き合うための方法をいくつかご紹介いたします。
赤ちゃんとコミュニケーションをとりながら視聴する
赤ちゃんの言葉は、保護者の方や周囲の人と言葉を交わすことで、飛躍的に発達します。テレビは情報を与えてくれますが、言葉のキャッチボールはできません。一方的に見せるのではなく、テレビを見ながら赤ちゃんに話しかけたり、一緒に歌ったりなどのコミュニケーションを意識すれば、言葉の発達を上手にサポートできます。赤ちゃんが成長して言葉を話すようになったら、テレビの内容について質問してみてもよいでしょう。
乳幼児向けの番組を選ぶ
赤ちゃんに見せるテレビは、乳幼児向けの番組がおすすめです。乳幼児向けの番組は、子どもの興味関心を引き出したり、言語の発達をサポートできるように、映像や音に工夫があり、赤ちゃんにとって魅力的な内容で構成されているためです。放映時間に見るのが難しい場合は、録画や赤ちゃん用のDVDなどを活用し、上手に日常生活に取り入れましょう。
テレビ番組の中には、暴力的な内容や残虐な内容を含むものもあります。赤ちゃんにこのような映像を頻繁に見せると、攻撃的な性格になるリスクがあります。見せる番組の内容には十分注意してください。
寝る前には見せない
ブルーライトの刺激による、夜泣きや寝つきが悪くなるなどの悪影響を回避するため、寝る1~2時間前からは、極力テレビを見せないようにしましょう。上の子がいるなど生活環境上の理由で、テレビを消すのが難しい場合もあるかと思います。そんなときは、テレビの画面にブルーライト軽減シートを貼る、赤ちゃんが寝る前に過ごす部屋と分けるなど、光の刺激をなるべく抑える工夫をするとよいでしょう。
授乳中は見せない
授乳は、言葉がまだ話せない赤ちゃんとママが、スキンシップによるコミュニケーションを図り、母子の絆を深める大切な時間です。赤ちゃんと目を合わせ、語りかけるようにしながら授乳することで、赤ちゃんに安心感を与えます。テレビを見ながらの授乳は、授乳時に分泌されるしあわせホルモン(オキシトシン)の分泌を妨げ、母乳の出が悪くなったり、子育てにストレスを感じやすくなるなど、ママの心身にも悪影響があります。
まとめ
赤ちゃんにとってテレビは、長時間見せるとコミュニケーションの機会が減ったり、寝つきが悪くなるなどの悪影響がありますが、上手に活用すれば言葉の発達によい影響を与えてくれます。
赤ちゃんにテレビを一方的に見せるのではなく、保護者の方も一緒に視聴して「ワンワンかわいいね」「赤いお花がきれいだね」など、内容について語りかけたり、見せる時間を決めたり、赤ちゃん向けの番組に限定するなどの工夫をし、テレビと上手に付き合っていくのがポイントです。
テレビがついていないと落ち着かないという方も、長時間のテレビ視聴が赤ちゃんに与える影響を考え、見たい番組が終わったらテレビを消すといったルールづくりに取り組んでみましょう。