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保育士のひきだし

2020.12.02

公務員保育士の仕事内容!給料や私立保育園の保育士との違いを紹介

公務員保育士とは、地方自治体の運営する公立保育園で働く保育士のことですが、その仕事内容について気になっている保育士の方に向けた記事です。まずは公務員保育士の給料がどれくらいなのかを解説し、その後、公務員保育士と私立保育園の保育士との違いについて解説します。また、公務員保育士として働くメリットとデメリットも合わせてご紹介いたします。

公務員保育士とは?必要な資格や年齢

安定した収入が得られるとして人気の公務員保育士。まずは公務員保育士の仕事内容や、公立保育士に必要な資格や年齢制限についてチェックしていきましょう。

公立保育園に勤務する保育士

公務員保育士とは、公立保育園や保育施設に勤務する保育士で、「公立保育士」とも呼ばれています。公立保育園とは、都道府県や市区町村などの自治体が運営する保育園です。近年は保育施設の民営化が進んでおり、公立保育園自体が少なくなっています。

ただ、「公務員」であること、そして安定した給料が注目され、毎年多くの人が公務員保育士を目指しています。とはいえ、仕事内容自体は私立保育園とあまり変わりません。子どもを預かって、活動を促し、身の回りのお世話や保護者の方への支援を行います。現場で働くために必要な資格や試験、運営元など細かい部分は異なるので、公務員保育士を目指す方はそのあたりもしっかりチェックしておきましょう。

保育士資格と地方公務員合格の2つが必須

公務員保育士になるためには、「保育士資格」「地方公務員試験に合格すること」この2つが必須です。私立保育園で働く保育士の場合は、保育士資格を持っていれば就職できます。しかし、公務員保育士は自治体が運営する公立保育園で働く「地方公務員」なので、自治体が実施している採用試験に合格しなければなりません。試験の内容や実施期間は自治体によって異なりますが、一次試験と二次試験に分かれているケースが多い印象です。

【地方公務員試験の内容】

  • 一次試験…一般教養、専門知識
  • 二次試験…面接、集団討論、実技テスト(ピアノ、読み聞かせなど)や体力測定

【地方公務員試験の時期】

  • 6~9月頃
  • 4月に実施するところもある

ただし、採用試験に合格しても必ず公立保育園に勤務できるとは限りません。採用試験に合格したときは、各自治体の「採用候補者名簿」に名前が登録されます。しかし、登録期間はたったの1年間だけなのです。登録後に、公立保育園から「新しい人材がほしい」という申し出や、現場で欠員があれば配属先が決定します。

一方、登録から1年の間に公立保育園から何も申し出がない場合は、次の年もまた採用試験を受けなければならないのです。

地方公務員の試験に合格するのも大変ですが、合格後も採用されないリスクがあるのも、公務員保育士になるのが難しいと言われる理由です。

地方公務員試験の年齢制限などはある?

地方公務員試験の年齢制限は各自治体によって異なりますが、一般的には2035歳までと定められているケースが多い印象です。

【公務員試験(保育士)の条件の例】

  • 東京都渋谷区…昭和5842日~平成1341日生まれの人
  • 大阪府大阪市…昭和6142日~平成1141日生まれの人
  • 福岡県福岡市…平成742日以降に生まれた人

ただし、「非常勤職員」であれば年齢制限を設けていない自治体もあります。自分が就職を希望する自治体のホームページにアクセスして事前に確認しておきましょう。

【参考】

東京都渋谷区

大阪府大阪市

福岡県福岡市

公務員保育士の給料はどのぐらい?

公務員保育士を目指す方の中には、「公務員は給料が高いって聞くけど実際どれくらい?」「私立の保育士よりもどれくらい高いんだろう?」と気になっている方もいるでしょう。ここでは、公務員保育士の具体的な給料や年収、私立保育園で働く保育士との金額の差、退職金について詳しく解説します。

月収は私立保育園で働く保育士より平均10万円高い

公務員保育士の月収は、私立保育園で働く保育士よりも平均10万円高いと言われています。実際、内閣府が発表した「平成29年度 幼稚園・保育所・認定こども園の経営実態調査 資料」には、両者の給料は次のように記載されています。

 

公立保育園(1人あたりの月額)

私立保育園(1人あたりの月額)

施設長

632,982

565,895

主任保育士

561,725

422,966

一般保育士

303,113

301,823

保育補助者(無資格)

148,720

223,584

平均月収

514,544

378,567

※常勤勤務者のみ

【参考】内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】」

公務員保育士の平均月収は51万円、私立保育園で働く保育士の平均月収は37万円です。つまり、このデータ上では両者の平均月収14万円ほどの差が出るという結果になりました。

特に役職のない一般の保育士の場合、公立も私立も給料に大きな差はありません。

年収は約670万、昇給すれば給料は上がる

公務員保育士の年収は自治体や年齢、役職によって異なります。ただ、一般の保育士の場合、平均年収は330360万円だと言われています。もちろん、昇給すれば給料が上がるので、年収も比例して高くなります。公立保育園の場合、主任保育士や施設長に役職が上がるにつれて、給料が大幅に上がるという特徴があります。一方、私立保育園は一般保育士から役職が上がっても、およそ10万円がプラスされるだけで、大幅な給料アップは実現できていない現状です。

退職金がある

公立保育園ではほかの地方自治体の施設と同じように、退職金があります。退職金の額は、勤務年数によって異なりますが、基本的に次のような計算で金額を算出できます。

【退職金の計算方法】

  • 退職手当額=基本額+調整額
  • 基本額=退職日給料月額×退職理由別・勤続年数別支給率
  • 調整額=調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額

引用:総務省「地方公務員の退職手当制度について」

上記の計算の「支給率」とは、勤務年数1年ごとに計算されるもので、各年数の支給率は次のように定められています。

勤務年数

自己都合(月)

定年・勧奨(月)

整理退職(月)

1

5

10

15

20

24

25

30

35

45

0.6

3.0

6.0

12.4

23.5

31.5

33.5

41.5

47.5

59.28

1.0

5.0

10.0

19.375

30.55

38.87

41.34

50.7

59.28

59.28

1.5

7.5

15.0

23.25

32.76

39.624

41.34

50.7

59.28

59.28

私立保育園の場合、退職金がある施設とない施設があるので、注意が必要です。

公務員保育士と私立保育園の保育士との4つの違い

公務員保育士と私立保育園で働く保育士の違いを大きく4つに分けて解説します。

①     職場の運営元が違う

まず、公立保育園と私立保育園では運営元が違います。

  • 公立保育園の運営元…都道府県や市町村などの自治体
  • 私立保育園の運営元…株式会社や社会福祉法人、NPO法人

公立の場合は「認可保育園」がほとんどです。一方で、私立の場合は認可保育園のほかに認可外保育園も含まれており、さまざまな形態が存在するのが特徴です。

②     公立保育園は時間外保育に対応していない場合も

私立保育園では時間外保育(延長保育)や、深夜保育などを実施している保育園が多いのですが、公立保育園の中には時間外保育に対応していない施設もあります。ただ、短時間勤務の職員を雇って、時間外保育を有料で提供している公立保育園もあるので、公務員保育士を目指す場合は、運営情報を事前にチェックしておきましょう。

③     公立保育園は2~4年ごとに異動がある

私立保育園では基本的に1つの職場で長期間働く形になっていますが、公立保育園の場合、2~4年ごとに異動があります。一般的に公務員保育士の人事異動は、保育士の経験値を上げるために実施していると言われています。また、人手不足の保育園の職員を補充するという意味合いもあるでしょう。

④     公立保育園は国が定めた福利厚生が受けられる

公務員保育士は地方公務員なので、国が定めた福利厚生が受けられます。厚生年金や社会保険、健康保険はもちろん、産休や育休も充実しています。一方、私立保育園の場合、福利厚生は施設によって異なるケースがほとんどです。ただ、私立保育園の場合はその施設独自の特典(ベネフィット、系列保育園の利用料が一部免除など)がついているケースもあり、どちらも違った魅力を持っています。

公務員保育士のメリットとデメリット

公務員保育士のメリットとデメリットを解説します。

公務員保育士のメリット

公務員保育士のメリットは次の通りです。

  • 給料が高く福利厚生が充実している
  • 長い間働けて離職率が低い
  • 昇給制度や賞与の制度がきちんと定められている

公務員保育士の最大のメリットは、安定した給料と福利厚生、昇給制度や賞与の制度が充実していることです。産休・育休制度も整っており、職場復帰もしやすいことから、長期間働くには最適と言えるでしょう。実際、公務員保育士の離職率は7.1%と低めです。私立の保育士の場合は12.0%なので、およそ5%も離職率が低くなっています。この安定性も公務員保育士が人気の理由です。

【参考】厚生労働省「平成25年社会福祉施設等調査」

公務員保育士のデメリット

公務員保育士のデメリットは次の通りです。

  • 異動があり数年ごとに職場環境が変化する
  • 競争率が高く就職するのに一苦労
  • 年齢層高めの保育士が多く役職に空きが少ない

公立保育園では、数年ごとに異動があるので「職場環境に慣れるまでが大変」というデメリットがあります。保育園によって保育の方法やシステムも変わるので、覚えるのに苦労することもあるでしょう。人間関係も変わるので、親しかった保育士と離れることに寂しさを覚える方も少なくありません。また、公務員保育士は安定した給料がもらえることから、競争率が高く、採用試験合格が難しい傾向にあります。合格しても、年齢が高い保育士が多く、役職に空きがないこともあります。なかなかスピード出世はしにくい状況と言えるでしょう。

まとめ

公務員保育士は私立で働く保育士よりも給料が高く、福利厚生も充実しているというメリットがあります。一方で、異動が頻繁で競争率が高いというデメリットもあります。ただ、長く働きたい方や安定した収入を望む方には最適の仕事と言えるでしょう。もちろん、私立保育園も公立保育園にはない魅力を持っています。双方の特徴をチェックして、あなたらしい働き方を選んでみてください。


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