おやこのひきだし
2020.09.01
保育料無償化が2019年10月から開始!手続きは必要?制度の内容を紹介
2019年10月1日から幼保無償化(幼児教育・保育の無償化)がはじまりました。子育て世帯にとってはうれしい制度ですが、無償化といっても実際は負担が0円になるわけではありません。また、条件によって無償化の上限額が異なるので、わかりにくいと感じている人が多いようです。
この記事では、幼保無償化の制度について詳しく解説いたします。「手続きは必要か?」「どこまで無償化される?」といった疑問にお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
幼保無償化とは
2019年10月1日から実施されている幼保無償化。子育て世帯の負担を減らし、少子化対策につなげるための制度です。幼稚園や保育所、認定こども園などの教育費や保育料が無償になる制度なので、就学前の子どもがいる家庭の経済的負担が軽減されます。
所得制限はない
幼保無償化には児童手当のように所得制限がありません。0〜2歳児の保育料については住民税非課税世帯が対象ですが、3歳から5歳児の場合は幼稚園、認定こども園、保育園のどの種類の施設であっても所得制限なしで幼保無償化の対象です。
負担がゼロになるわけではない
幼保無償化というと全額が無料になると思う方もいるでしょうが、実際は完全に負担がなくなるわけではありません。年齢や施設によっては無償化の対象外であり、無償化される上限が設定されている場合もあります。また、園で必要になる費用のうち無償化の対象外のものもあるので、事前に確認しておいた方がよいでしょう。
認定について
子ども・子育て支援新制度では、幼稚園や保育所、認定こども園などの施設を利用するために、市町村から保育の必要性に応じた認定を受ける必要があります。認定には1号から3号まで3つの区分があります。
利用できる施設
認定の区分によって利用できる施設が異なります。1号認定から3号認定まで、利用できる施設は次の通りです。
1号認定
3歳以上で保育を必要とする事由にあてはまらない子どもは1号認定(教育標準時間認定)に該当し、幼稚園や認定子ども園を利用できます。共働きで保育を必要とする事由に該当するとしても、幼稚園の教育を希望する場合は1号に認定されます。
2号認定
3〜5歳で保育が必要な子どもたちは2号認定(保育認定)になり、保育所や認定こども園を利用できます。保育を必要とする事由や保護者の状況により、保育時間はフルタイムを想定した最長11時間の保育標準時間、またはパートタイムを想定した最長8時間の保育短時間のいずれかに区分されます。
3号認定
0〜2歳で保育を必要とする事由に該当する子どもたちは、3号認定(保育認定)になり、保育所や認定こども園、地域型保育(小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育)を利用できます。2号認定と同じく、保育時間は保育を必要とする事由や保護者の状況により、フルタイムを想定した最長11時間の保育標準時間、またはパートタイムを想定した最長8時間の保育短時間のいずれかに区分されます。
保育を必要とする事由とは
2号、3号に認定されるには、保育を必要とする事由に該当することが必要です。保育を必要とする事由には、保護者が仕事に就いているという理由以外にもさまざまなものがあります。次のいずれかに該当することで2号や3号に認定されます。
- 就労している(フルタイム、パートタイム、夜間、居宅内労働など)
- 妊娠中や出産後である
- 保護者の方に疾病や障害がある
- 同居や長期入院中の親族の介護や看護が必要である
- 災害復旧
- 求職活動中(起業準備も含まれる)
- 就学中(職業訓練校などにおける職業訓練も含まれる)
- 虐待やDVの恐れがある
- 育児休業中に保育を利用している子どもがいるため継続利用が必要である
- その他、市町村が認める場合
幼保無償化の制度利用の手続きは必要?
条件によって無償化になるための手続きが必要な場合とそうでない場合があるので、確認しておきましょう。
子ども・子育て支援新制度の対象施設を利用する場合は手続き不要
子ども・子育て支援新制度の対象となっている幼稚園、認可保育所、認定こども園、地域型保育を利用する場合、無償化になるための手続きは必要ありません。ただし、新制度へ移行していない幼稚園を利用する場合は申請が必要です。この場合、基本的には園経由で市区町村に申請します。
申請が必要なもの
幼稚園の預かり保育を利用する場合、市町村から保育の必要性の認定を受けることで無償化の対象となります。基本的には園から書類が配布され、園経由で市町村に申請します。また、認可外保育所を利用する場合、無償化の対象となるには市町村から保育の必要性の認定を受ける必要があります。
幼保無償化の対象範囲は?
幼保無償化といっても、保護者の方の負担が0円になるわけではありません。また、園の種類や子どもの年齢、世帯収入によって助成が受けられる金額が異なります。幼保無償化の対象範囲を確認しておきましょう。
幼稚園を利用する場合
幼稚園には公立と私立があります。公立幼稚園は新制度に移行していますが、私立幼稚園の場合は「新制度に移行した幼稚園」「新制度に移行しない幼稚園(私学助成)」「認定こども園に移行した幼稚園」の3通りがあります。新制度に移行した幼稚園と認定子ども園に移行した幼稚園の3歳〜5歳児クラスは、利用者負担額が無償化されます。
一方、新制度に移行しない幼稚園は、月額25,700円までが無償化されます。国立大学附属幼稚園の場合は、上限額が月額8,700円です。
また、2歳児を対象としたプレスクールについては基本的に無償化の対象になりません。ただし、一時預かり事業や認可外保育施設としての届出をおこなっている場合、保育の必要性が認められる住民税非課税世帯の子どもについては月額の上限42,000円まで無償化されます。
保育所・認定こども園を利用する場合
保育所・認定こども園を利用する子どもたちは無償化の対象ですが、子どもの年齢や世帯収入などによって無償化の金額が異なります。
3〜5歳児クラス
3〜5歳児クラスでは、全ての子どもの利用料が無償化されます。ただし、通園送迎費、食材料費、行事費などは保護者負担なので、出費がゼロになるわけではありません。食材料費については、年収360万円未満相当世帯と全世帯の第3子以降は副食(おかず・おやつなど)の費用が免除されます。
0〜2歳児クラス
0〜2歳児クラスの場合、住民税非課税世帯は利用料が無償化されます。また、認可保育所などを利用する子どもが2人以上いる家庭の場合は、第2子が半額、第3子が無料になります。年収360万未満相当世帯の場合は第1子の年齢は不問です。
企業主導型保育事業を利用する場合
保育の必要性がある3歳から5歳までの子どもたちと0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもたちを対象に、年齢に応じた一定の金額が無償化されます。
認可外保育施設などを利用する場合
認可外保育施設などは、市区町村へ申請して保育の必要性の認定を受けることで無償化の対象となります。対象となるのは認可外保育施設や一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業です。認可外保育施設には、無償化の上限金額があります。
3〜5歳児クラス
月額37,000円までの利用料が無償化されます。
0〜2歳児クラス
住民税非課税世帯を対象として月額42,000円までの利用料が無償化されます。
幼稚園の預かり保育を利用する場合
幼稚園の預かり保育で無償化の対象となるには、市町村に申請し、就労などの要件を満たして保育の必要性の認定を受ける必要があります。基本的には幼稚園を経由して申請します。月あたりの利用日数×450円と預かり保育の利用料を比較し、金額が低い方が月額11,300円を上限として無償化されます。
就学前の障害時の発達支援を利用する場合
児童発達支援、医療型児童発達支援など、就学前の障害時の発達支援を利用する場合、満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間を対象として無償化されます。ただし、利用料以外に発生する医療費や、食材料費などの費用に関しては、保護者が負担する必要があります。幼稚園や保育所、認定こども園などと併用する場合は、どちらも無料です。
無償化の対象にはならないもの
利用料の無償化は子育て世代にとって大きな負担減になります。しかし無償化の対象にならない費用もあるので、確認しておきましょう。
入園料
幼稚園や認可外保育園の入園料は、無償化の対象外です。幼稚園の入園料の相場は、公立幼稚園が5,000円〜10,000円、私立幼稚園が5万円〜10万円です。保育園の場合、認可保育園は入園料が必要ありませんが、認可外保育園は入園料が必要で、5千円程度の園もあれば、5万円以上必要な園もあるようです。
このように園によっては高額な入園料が必要ですが、無償化の対象ではないため全額負担しなくてはいけません。
給食費
給食費は無償化の対象になりませんので、実費を負担することになります。幼稚園は従来から実費負担でしたが、保育園の場合は主食費のみの負担で副食費は保育料に含まれていました。しかし、幼保無償化が実施されるにあたり、保育園でも幼稚園と同じように実費が徴収されるようになりました。ただし、年収360万円未満相当世帯と全世帯の第3子以降は副食(おかず・おやつなど)の費用が免除されます。
通園送迎費(スクールバス代)
通園の送迎に利用できるスクールバスも無償化の対象外です。スクールバスの費用は一般的に月3,000円〜4,000円程度です。スクールバスを利用するメリットをあまり感じない場合は徒歩や自転車で送迎しやすい幼稚園を検討するのもよいでしょう。
行事費
園では遠足など、年間を通してさまざまな行事がおこなわれます。このような行事費は無償化の対象外で実費負担です。
制服代
幼稚園で必要な制服代も無償化の対象外で、実費負担です。夏服や冬服、帽子や体操服など、制服代は大きな出費です。また、3年間で大きく成長した場合、買い替えが必要になるかもしれません。
保護者会費
保護者会費なども無償化の対象外なので、実費を徴収されます。
幼稚園と保育園では無償化のタイミングが異なる
幼保無償化の対象期間は、原則として満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間です。ただし幼稚園に関しては、入園できる時期に合わせて満3歳から無償化の対象となります。
つまり、保育園に通う子どもの場合、3歳の誕生日を迎えた翌年の4月1日から無償化の対象になるのに対し、幼稚園に通う子どもは満3歳の誕生日を迎えるとすぐに無償化の対象になります。このように幼稚園と保育園では、無償化になるタイミングに差があるのです。
まとめ
幼保無償化によって子どもを幼稚園や保育所、認定こども園などに通わせやすくなり、共働き世代の負担は大きく軽減されました。しかし幼保無償化といっても対象外の費用もあるため、すべてが無料になるわけではありません。また、条件により上限が設定されているので、限度額を超えた分は負担が必要です。
お子さんの幼稚園や保育園の入園を検討しているご家庭は、ぜひ施設選びの参考にしてください。