おやこのひきだし
2020.08.13
胎内記憶とはなに?子どもが覚えている期間や聞き方のコツを紹介
「胎内記憶」とは子どもがお母さんのお腹の中にいたときの記憶のことを指します。
科学的な根拠は未だ解明されていない神秘的なものですが、3人に1人の割合で胎内記憶が残っているという研究データもあります。
実際に育児雑誌やSNSでは、胎内記憶に関するエピソードが掲載されています。いつかは自分の子の胎内記憶を聞いてみたいと、あこがれている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな胎内記憶について、子どもが覚えている時期はいつまでなのかをご紹介します。また、保護者の方が子どもから胎内記憶を上手に聞き出すためのコツや注意点についてもご紹介いたします。
胎内記憶とは?
胎内記憶とは、子どもがお母さんのお腹の中にいたときの記憶のことを指します。胎内記憶研究の第一人者である、産婦人科医の池川明先生が3,500人の子どもを対象に実施した「胎内記憶調査」によると、生まれてきた子どもの3人に1人の割合で、胎内記憶が残っていると言われています。
胎内記憶については、子ども自らある日突然話し始める場合や、両親からの質問に答える形で話してくれる場合もあります。いずれの場合も、本当の胎内記憶を聞くことができるチャンスは、一生に一度きりと言われています。
胎内記憶って本当にあるの?
胎内記憶に関しては研究が行われているものの、医学的な根拠(エビデンス)はまだ解明されていません。そのため胎内記憶が本当なのか、嘘なのかは謎に包まれています。「子どもがある日突然、お腹の中にいたときのことを話し始めた」というエピソードがある反面、「胎内記憶なんてありえない」という懐疑的な声があるのも現状です。
脳の発達に伴い、胎内記憶が残っている可能性も
赤ちゃんの脳は、妊娠2ヵ月頃から脳のもととなる神経管が完成し、その後週数の経過に伴って、徐々に発達していきます。
- 妊娠3~4ヵ月・・心地よいという感覚がわかるようになる
- 妊娠5~6ヵ月・・温度変化や、外の音がわかるようになり始める
- 妊娠7~8ヵ月・・視覚が発達し、記憶する能力も芽生える
- 妊娠9~10ヵ月・・脳が十分に発達する
お腹の中にいる時から、聴覚や視覚、脳の記憶に関する機能が形成され始めていることから、赤ちゃんに胎内記憶が残っていても不思議ではないと言われています。
絵本や目にした情報を話している可能性も
言葉を話し始める2~3歳位の子どもは、絵本や童話などの空想の世界と、現実の区別があいまいです。そのため、読み聞かせなどで耳にした赤ちゃんの話や、実際に目でみた妊婦さんや赤ちゃんの様子など、生まれてから知った情報を話している可能性もあります。
胎内記憶はいつまで覚えているの?
4歳をピークに徐々に記憶が薄れる
胎内記憶は、子どもの記憶にいつまでも残っているのではなく、個人差もありますが一般的には4歳位をピークに、徐々に記憶が薄れると言われています。そのため、4歳以降の子どもに尋ねても「知らない」「覚えていない」などの答えがほとんどです。
我が子の胎内記憶に興味がある方は、時期を逃すと聞く機会がなくなってしまうので、タイミングに注意が必要です。
子どもから胎内記憶を上手に引き出すコツ
子どもから、胎内記憶を引き出せる時期は限られています。上手に胎内記憶を聞くためのコツをご紹介いたします。
① 年齢は2~3歳前後がベスト
胎内記憶について子どもに尋ねる時期は、ある程度の言葉が順序立てて話せるようになる2~3歳前後の時期がベストと言われています。それよりも早い時期に尋ねると、思ったことを順序立てて話すことができず、「何が言いたかったのかわからない」ままで終わってしまう場合があるためです。
また記憶は次々と刻まれるので、実際の記憶と混同したり、他の記憶に紛れて思い出せなくなる場合もあります。子どもの成長には個人差があるので、自分の子どもの成長に合わせて、タイミングを見計らいながら聞いてみましょう。
② リラックスした状態で聞く
胎内記憶は、突然聞き出そうとするのではなく、子どもが落ち着いてリラックスした状態のときに尋ねるのが良いとされています。記憶を引き出すためにおすすめのシーンをいくつかご紹介いたします。
夜寝る前
夜寝る前に、布団の中で子どもがリラックスした状態のときに「ママのお腹の中にいたこと覚えている?」「ママのお腹の中どんな風だった?」などと尋ねると、胎内記憶を話してくれたという事例が多く上がっています。
入浴中
お風呂の湯船につかっているときは、浮力の力によって、ママのお腹の中にいるときのような、フワフワした感覚が感じられて、心も体もリラックスします。このタイミングでお腹の中にいたときのことを尋ねたら、胎内記憶が引き出せたとの声も多いです。
③妊娠中行った場所に出かけてみる
妊娠中に、よく行った飲食店や里帰り先の実家、旅行先、出産した産院などに出かけてみるのもおすすめです。生まれてから一度も行ったことがない場所なのに
- お腹の中にいるときにここに来たことがある
- ここでぼくは生まれた!
など、「お腹の中にいたときの記憶を突然話しはじめて驚いた」という事例も、多く報告されています。
④ 事前に情報を与えない
赤ちゃんの誕生に関する絵本や、お腹の中にいたときの話を、なるべく事前に与えないことも大切です。親や周囲から耳にした、赤ちゃんが生まれるときの話を自分の胎内記憶としてインプットされてしまう可能性があるためです。
胎内記憶を聞くときの注意点
胎内記憶を聞くときは、期待する気持ちから親もついつい前のめりになりがちです。子どもに聞くときの注意点をいくつかあげておきます。
何度も聞かない
質問は一度のみ、何度も聞くのは避けてください。理由は、繰り返し何度もたずねると、内容が変わってしまうからです。最初に聞いた内容が、一番本来の胎内記憶に近いと言われています。
何度も聞かれるうちに、自分の話にパパやママが興味津々な様子を見て、話しを誇張したり、自分なりに空想でストーリーを作ったりしてしまうケースも多いのです。また、矢継ぎ早に質問をすると、子どもが混乱してしまうのでその点にも配慮が必要です。
答えを誘導しない
胎内記憶に関しては、突然子どもが話し始めるケースもありますが、子どもから話してくれない場合、パパやママから質問して聞き出す方法もあります。この時、話を引き出したくて誘導尋問のように答えが選べないような質問は避けましょう。誘導をすれば、親の望んだ答えが返ってくるかもしれませんが、本来の胎内記憶とは遠ざかってしまうためです。
- ママのお腹の中はどんな感じだったの?
- ママのお腹の中でなにをしていたの?
- ママのお腹の中はどうだった?
など、子どもの言葉を引き出すサポートをする聞き方がおすすめです。
- ママのお腹の中はフワフワだった?
- ママのお腹の中は真っ暗だった?
など、答えがオウム返しになってしまうような聞き方は避けましょう。
子どもが話す内容を否定しない
小さな子どもが、少ない言葉を使って一生懸命話してくれる内容なので、ときには嘘のような話や、よくわからない内容の話をすることもあります。そんなときでも、子どもが話す内容を否定するのは避けましょう。否定されることで傷ついて、その後一切胎内記憶の話をしてくれなくなる可能性があるためです。
胎内記憶に多い内容
実際に胎内記憶として子どもが話した内容で、多かったものをご紹介いたします。
胎児の頃の記憶
一番多かったのが、お母さんのお腹の中にいたときの、胎児の頃の記憶です。
- あたたかくてフワフワだった
- 暗くてひとりで寂しかった、早くママに会いたかった
- お風呂の中みたいにぷかぷかしていて気持ちよかった
- ママと一緒がいいからまだ出たくなかった
- ピンク色だった
- お腹の中でゴンゴンぶつかって痛かった(双子)
などお腹の中にいた時の様子をユニークに語っている、たくさんの胎内記憶エピソードがあるようです。
- 自分がお腹の中にいたときママに呼ばれていた名前
- 妊娠中に胎教でよく聞かせていたオルゴールの音楽
- パパとママが喧嘩(けんか)していた、こんな話をしていた
など、知っているはずがないことを、突然話してくれたなどの神秘的なケースもあります。
生まれたときの記憶
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中から外の世界に出た瞬間、今までとは違う新しい世界を知ります。そのため、生まれた瞬間の鮮烈な記憶が残っているケースも多く報告されています。
- 真っ暗なトンネルを抜けたら、光が見えた
- 明るいところに出たら、たくさんの人がいて恥ずかしかった
- やっと外に出てママに会えた
- すごく痛かったけど、ママとパパに会いたくて頑張った
- 小さい穴を通って生まれてきた
- 頭をぐりぐりして外に出た
お腹の中に入る前の記憶
中には、自分が両親のお腹に入る前のことを話しているケースもあるようです。
- 空の上からずっと見ていて、パパとママの子になりたかったから来た
- ママの子になろうって自分で決めた
- 滑り台を滑って、ママのお腹に降りた
- 優しそうな家族だったから、このおうちにきた
子どもが「自分たちのところを選び、自ら来てくれた」それが本当なら、とてもうれしいですね。
まとめ
胎内記憶については、科学的な根拠や医学的なエビデンスはないのですが、実際にたくさんのエピソードがインターネットや、育児雑誌、SNSなどで紹介されています。
胎内記憶の真偽については色々な考え方がありますが、もし自分の子どもから、お腹の中にいたときや生まれたときの記憶について聞けたら、うれしいですよね。2~3歳前後の子どもがいて興味がある方は、聞けそうなタイミングを見計らって、体内記憶について尋ねてみてはいかがでしょうか。おしゃべりを楽しむようにリラックスした雰囲気で尋ねるのがポイントですよ。