保育士のひきだし
2020.07.14
保母資格とは?保育士との違い、保育士資格への切り替え方法を合わせて解説!確認要
2003年まで「保育士資格」は「保母資格」と呼ばれていたことをご存じでしょうか。名称が切り替わる前に保育士を辞め、また復職したいと考えている人は、「この資格で問題なく復職できるの?」「何か手続きが必要?」と悩んでいるかもしれません。
本記事では保母資格から保育士資格への切り替え手順や、復職の際に心得ておくべきポイントを解説します。
保母資格とはどんな資格?保育士資格との違い
それでは「保母資格」とはどんなものなのでしょうか?ここでは保母資格の概要、保育士資格との違いについて解説します。
保母資格は「保育士の資格」を証明するもの
保母資格は現在の「保育士資格」と同じ役割を持つ資格です。1999年以前は、保育士の職業は「保母」と呼ばれていました。
しかし、1999年に執行された「男女共同参画社会基本法」の影響もあり、保育現場で働く男性職員が増え、やがて性別にとらわれない「保育士」という名称に変更されました。つまり、保母資格とは、保育士という名前が浸透する以前にあった資格なのです。
2003年児童福祉法の改正により国家資格に
2003年に児童福祉法の改正を機に、これまで民間資格だった「保育士資格(元保母資格)」が国家資格として定められました。これにより保育士資格は、厚生労働省が指定する保育士を要請する専門学校や大学で指定科目を習得するか、もしくは保育士試験に合格することが条件になりました。その背景には、保育士資格取得者の専門性や、保育の質を向上させるねらいがあります。
保母資格は保育士資格への切り替えが必要
保育士資格が国家資格に定められる以前に「保母資格」を取得した人の中で、保育現場への復帰を考えている人は、保育士資格への切り替えが必要です。保育士資格がなくても保育経験が長ければパートやアルバイトとして採用してくれる保育園もありますが、正社員を希望している場合や面接を有利に進めたい場合には、保育士資格を持っていた方がよいでしょう。
保母資格から保育士資格への切り替えの期限は特にありませんので、資格証明書さえあればスムーズに切り替えられます。
保母資格から保育士資格へ切り替える4つの手順
それでは、保母資格から保育士資格へ切り替える手順を解説します。大まかな手順は、必要な書類を入手して「登録事務処理センター」に提出するだけ。ポイントさえ押さえれば簡単に続きが完了します。スムーズに手続きが進めるためには、事前の情報収集が大切です。
1.登録事務処理センターから「保育士登録の手引き」をもらう
まずは、保育士登録機関である「登録事務処理センター」に問い合わせて、「保育士登録の手引き」を取り寄せましょう。基本的に手引きは郵送で取り寄せます。そのため、以下の4つを用意しましょう。
- 登録事務処理センターの住所を記入した送信用の封筒1枚
- 送信用の封筒に貼る切手
- 返信用(手引きを入れるため)の封筒1枚(角形2号)
- 返信用の封筒に貼る切手
ちなみに、返信用の封筒に貼る切手の金額は以下の通り。
- 一人分(一部)…140円(速達の場合+290円)
送信用の封筒に返信用の封筒を折りたたんで入れてもOKです。ただ、返信用の封筒は、手引きが入る角形2号サイズを選びましょう。角形2号よりも大きいサイズだと切手の金額が上がる可能性もあるため、注意が必要です。
【参考】登録事務処理センター「保育士登録申請手続き(新規登録)」
登録事務処理センターの住所と郵送する際の注意点
登録事務処理センターの住所は「〒102-0083 東京都千代田区麹町1-6-2 アーバンネット麹町ビル6階 登録事務処理センター」です。送信用の封筒に正しく記載しましょう。また、送信用と返信用封筒どちらにも、赤字で「保育士登録の手引き○部」と表記してください。返信用の封筒には、自身の氏名と住所、郵便番号を書いて、必要な金額分の切手を貼りましょう。
【参考】登録事務処理センター「保育士登録申請手続き(新規登録)」
2.登録の手数料を支払う
登録事務処理センターから保育士登録の手引きが郵送されたら、次は手数料を支払いましょう。手数料は4200円です。手引きの中に専用の払い込み用紙が同封されているため、氏名と住所を記入してください。
その後、郵便局の窓口にて払い込み手続きを進めましょう。ATMでの払い込みはできません。窓口で手続きが完了したら、払い込み用紙の中央部分にある「振替払込請求書兼受領証」と、右側にある「振替払込受付証明書」を受け取ってください。振替払込受付証明書は申請の際に必要になるので、大切に保管しましょう。
【参考】登録事務処理センター「保育士登録申請手続き(新規登録)」
3.必要な書類をそろえる
手数料の支払いが済んだら、次は申請に必要な書類をそろえましょう。
必要書類 |
書類の内容 |
保育士登録申請書 |
・手引きに同封されている申請書 ・氏名、住所、電話番号やそのほか必要事項を記入する |
振替払込受付証明書 |
・手数料支払いの際に郵便局でもらう証明書 ・保育士登録申請書の裏面にのり付けする |
保母資格証明書 |
・2003年以前に公布された保母資格の証明書 ・コピーではなく原本を提出する |
現在の戸籍抄本 |
・保母資格証明書に書かれている氏名と現在の氏名が結婚等により変更されている場合に必要 ・発行日は6カ月以内 |
不備がないよう、提出の際は必ずチェックをしてから封筒にまとめましょう。
【参考】登録事務処理センター「保育士登録申請手続き(新規登録)」
4.書類を登録事務処理センターへ提出する
必要書類をまとめたら、登録事務処理センターへ提出しましょう。住所と宛名は手引きの取り寄せのときと同じく「〒102-0083 東京都千代田区麹町1-6-2 アーバンネット麹町ビル6階 登録事務処理センター」です。
郵送する際は、そのままポストに入れるのではなく、必ず郵便局の窓口にて「簡易書留郵便」として郵送してもらいましょう。「一般書留」と間違えないよう、注意してください。窓口からもらう「書留郵便物受領書」は、万が一書類が届かなったときに必要になるため、なくさずにとっておきましょう。
【参考】登録事務処理センター「保育士登録申請手続き(新規登録)」
申請書類に不備があると、登録事務処理センターから直接連絡が来ます。再提出などの手間がかかり、保育士資格証の発行が遅れます。現場復帰を予定している人は、早めに準備し、提出前には書類に不備がないよう確認しましょう。
【参考】登録事務処理センター「保育士登録申請手続き(新規登録)」
転職を有利に進めるために活用したいサービス
保母資格から保育士資格に切り替え終えたら、次はいよいよ復職ですね。ここでは、転職を有利に進めるためのサービスをご紹介します。以前とは保育現場が異なる点もありますし、長らく保育現場から離れていた場合、一人では不安なこともあるでしょう。復職支援や転職サービスなどを利用して、スムーズな復帰を目指しましょう。
自治体の復職サポート
自治体によっては、潜在保育士(元保母)の復職のサポートを行っています。例えば、東京とは以下のような復職支援を実施しています。
都道府県・自治体 |
復職サポート |
サポートの内容 |
東京都 |
保育所への就職支援 |
・保育現場での経験が豊富な人材コーディネーターが、希望に合った保育所をピックアップ ・就職活動の相談も受け付けている |
就職支援セミナー |
・ブランクのある人向けに、保育の専門知識や保護者対応についての講義を行う ・希望者は保育現場実習もできる |
|
保育人材コーディネーターによる相談支援 |
・保育現場での経験が豊富な人材コーディネーターが、復職の悩み相談に対応 |
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復職時の経済的サポート |
・都内の保育所に就職する際の引っ越し費用を上限40万円(無利子)で貸付 ・未就学児を持つ保育士を対象に保育料の一部を無利子で貸し付け(保育料の半額、月額2万7000円以内) ・未就学児を持つ保育士を対象に、ファミリーサポートやベビーシッターのサービス利用料が半額(年額12万3000円) |
東京以外にも、千葉県や神奈川県なども保育士の復職支援を行っています。お住まいの地域の情報をチェックしてみましょう。
【参考】東京都「おかえり保育士―保育士の復職応援ガイドブック」
保育所支援センター
「保育所支援センター」とは、地域の保育所の求人情報を集め、保育士の就職を支援する機関です。保育現場に復帰する元保母さんや、ブランクのある潜在保育士へのセミナーや講習会、保育所見学が開かれています。ホームページに求人情報や、ネット相談も掲載されているので、ぜひ登録してみましょう。
園の見学などで自分に合った保育園を探す
自治体や保育所支援センターの就職支援の際は、保育所の見学を希望してみましょう。求人情報を見て「この保育園がいい!」と思っても、実際の現場の雰囲気は分かりません。保育園の方針や、保育士同士の関係、子どもや保護者の方の雰囲気など、実際に見学することで得られる情報はたくさんあります。
多くの保育園は見学の受け入れをしているため、自治体や支援センターを介さず、直接アポを取ってみてもいいでしょう。一つの保育園だけでなく、複数の保育園を見学して、自分に合った職場を見つけましょう。
保育士専門の転職サービス
保育士専門の転職サービスもおすすめです。転職サイトでは、何千件もの保育園の求人を掲載しています。希望の地域や月収、保育方針に合致した求人が見つかるでしょう。サイトによっては保育園側からオファーが届く「スカウトサービス」も受けられます。
また、転職エージェントサービスを利用すれば、保育業界に精通するアドバイザーによる就職相談が無料で受けることができます。さらに、求人の紹介や面接日程の調整、履歴書の書き方や面接練習などのサポートも受けられます。転職活動に不安があるという人にはぴったりです。
まとめ
保母資格は保育士資格と同じ「保育のプロフェッショナル」の資格です。保育現場への復帰を考えている人は、保育士資格に切り替えを早めに済ませ復職の道を進んでみましょう。