保育士のひきだし
2020.07.08
保育士試験は独学で合格できる?独学の勉強法と試験の合格率を解説
保育士に必要な保育士資格。「働きながら保育士資格を取得したい!」「なるべく時間とお金をかけずに保育士になりたい!」と独学で保育士試験の合格を目指す方もいるでしょう。
そこで今回は、保育士試験の受験科目や合格率、勉強法のコツなど、独学で合格するために押えておきたい情報を徹底解説します!
独学でも受験できる!保育士資格の基本
まずは、保育士資格の基礎知識について改めて確認していきましょう。
保育士資格の取得方法は2つ
保育士資格を取得するためには、次の2つの方法があります。
- 保育士試験を受験する
- 厚生労働省に指定された保育士養成施設(大学・短大・専門学校)の課程をすべて終了する
保育士養成施設を卒業すれば無試験で保育士資格を取得できますが、最短でも2年必要です。もちろんその間は学生なので学費も納めなければいけません。
そのため、働きながら保育士への転職を目指す方、時間やお金をかけずに保育士資格を取得したい方には、保育士試験の受験がおすすめです。次に解説する、受験資格さえ満たしていれば、独学でも受験することは可能です。
保育士試験の受験資格と合格率
保育士試験の主な受験資格は次の通りです。
- 大学を卒業、または2年以上在籍して62単位以上取得(見込を含む)
- 短大・専門学校(修業年限2年以上)を卒業
- 平成3年3月31日までに高校卒業
- 平成8年3月31日までに高校保育科卒業
- 上記に該当しない場合:児童福祉士施設などで2年以上・2880時間以上の勤務経験
詳細は、『一般社団法人全国保育士養成協議会・受験資格』を参照してください。
また、厚生労働省の発表している『保育士試験の実施状況(平成30年度)』によると、全受験者68,388人のうち、合格した人は13,500人。合格率はおよそ19.7%で、超難関レベルというレベルではないものの、なかなか狭き門です。独学で合格を目指すには、しっかり準備することが必要です。
【参考】
独学で保育士試験を受けるための勉強方法
保育士資格の基本を押えたところで、ここからは、独学で保育士試験に合格するための勉強方法をご紹介いたします。
なお、保育士試験は、年に2回、春と秋に実施されています。受験料は、12,950円(※2020年4月時点)。2日間にわたり筆記試験が行われ、合格した方のみ実技試験を受けます。
それでは早速、筆記試験・実技試験それぞれの対策を詳しくみていきましょう。
筆記試験の基本と対策
筆記試験は、次の9科目について行われます。
- 保育原理
- 教育原理/社会的養護(2科目)
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
マークシートの択一式なので回答しやすいものの、筆記試験をクリアするためには、すべての科目において60%以上の正解率が必要です。
では、具体的な対策方法をみていきましょう。
テキストを読み込む
まずは、テキストを読むことからはじめましょう。
書店には保育士試験対策用のさまざまなテキストが販売されています。読みやすくわかりやすいと思えるテキストを1冊選び、徹底的に読み込んでください。
最初は理解できなくても、覚えられなくても構いません。毎日しっかりと目を通し、1冊まるごと読み切ることが大切。ざっくりとした情報でも、とにかく読むことに集中しましょう。
過去問や予想問題集をこなす
知識を定着させるためには、覚えた内容をすぐにアウトプットすることが重要です。ある程度テキストを読み込んだら、過去問や予想問題集を繰り返し解いてみましょう。ひとつひとつの問題に対して、丁寧に解説が載っている問題集がおすすめです。
最初は点数が低くても全く問題ありません!間違えたところや分からなかったところは、徹底的に解説を読んで理解を深めていきましょう。
なお、解説を読んでもわからない箇所がある場合は、テキストを読み返してみてください。わからないままにせず、必ずその場でしっかりと理解することが大切です。
無料動画を活用
YouTubeなどの無料動画共有サービスを活用するのも良策ですよ。
独学で試験に一発合格した方のおすすめのテキストや勉強方法が紹介されていたり、クイズ形式で問題が出題されていたりなど、保育士試験対策用の動画チャンネルがいくつもあります。
通信講座やオンライン講座を活用
一人で計画的に勉強を進めるのは、なかなか難しいものです。とくに、働きながら育児をしながらと、勉強時間が確保できない方にとっては、モチベーションを維持していくのも大変。
そんな場合には、通信講座を活用してみるのもおすすめです。
費用はかかってしまいますが、過去問から最新試験までの傾向が徹底的に分析されているため、効率よく勉強を進められるのがメリット。添削もしてもらえるので、理解が深まりやすいのもポイントです。
【参考】
実技試験の基本と対策
筆記試験をクリアした後には、実技試験が実施されます。実技試験は、次の3科目から2科目を選択。
- 音楽表現
⇒幼児に歌って聞かせることを想定して、課題曲の2曲を弾き歌いする(ピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかで演奏)。
- 造形表現
⇒保育の一場面を絵画で表現する。
- 言語表現
⇒3歳児クラスの子どもたち(20人程度)に「3分間のお話」をすることを想定し、最後まで集中して聴けるようなお話を行う。
では、具体的な対策をみていきましょう。
得意分野の科目を選ぶ
実技試験は、どの科目を選択するかが重要です。しっかり吟味して、得意分野を選ぶようにしましょう。
なお、音楽表現と言語表現は課題が事前に知らされているので、当日まで練習できるのがメリット。ただし、人前で歌ったり演じたりするため緊張しやすく、一発勝負でやり直しのきかない点がデメリットといえます。また、造形表現は筆記試験のような形式で一斉に行われますが、本番まで課題がわかりません。
これらのことを踏まえたうえで、「楽しんで取り組めそう!」と思える科目を選びましょう。
音楽表現の対策
保育士に必要な歌や演奏の技術を向上させることはもちろん、明るく元気に歌えることも大切です。
- 動画を活用する
YouTubeなどには、課題曲を弾き語りしている動画がいくつもアップされています。演奏する際のコツを詳しく解説している動画もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
- 自分の演奏を撮影する
自分の演奏している姿を撮影してみてみると、客観的に評価・分析でき、改善点がみえてきます。演奏しているときの姿勢、笑顔、声量などをしっかりとチェックしましょう。
- 人前で演奏する
試験本番は誰でも緊張するものですが、ガチガチになりすぎてしまうと集中できずミスしてしまいがちです。
そのため、つねに本番の緊張感を意識して練習しておくことが大切。できるだけたくさんの人に演奏を披露し、人前で演奏する緊張感に慣れておきましょう。
- 音楽教室を活用する
演奏に自信がない場合や専門家のアドバイスが必要な場合には、音楽教室を活用するのも良策です。近年、保育士試験の実技試験対策をメニューに取り入れた音楽教室が増えていますので、ぜひチェックしてみてください。
演奏技術はもちろん、アレンジ方法や子どもたちに聴かせる際の表現方法などを適切に指導してもらえますよ。
造形表現の対策
課題が当日に発表されるため、難易度は高め。動きや表情があること、色彩が豊かなこと、明るく温かみのあることなどといったポイントを踏まえて、子どもの興味を引くような絵に仕上げることが大切です。
- 時間内に絵を仕上げる練習をする
試験時間は45分。長いようにも感じますが、いざ描き始めるとあっという間に過ぎてしまいます。過去問を参考にしながら何度も絵をかいて、時間内に描き上げる訓練をしておきましょう。
- 人物・背景のパターンを用意しておく
絵に登場させる子どもや保育士の性別・髪形・服装などをあらかじめ決めておき、キャラクターを準備しておきましょう。
室内や野外、雨の日や晴れの日など、背景もいくつかパターンを用意しておくとより安心です。
- 画像や動画を参考にする
インターネット上では、保育士試験に合格した方の絵が画像や動画によっていくつも紹介されています。それらを活用して、登場人物の表情や動き、構図や色彩などを参考にするのもおすすめです。
言語表現の対策
話すスピードに注意し抑揚をつけたりと、子どもに適した話し方や表現力を身につけておきましょう。「3歳の子どもが最後まで集中して聞ける話を3分間にまとめる」ためには、課題の話に自己流のアレンジを加えることも大切です。
- 時間を計りながら声に出して練習する
話の内容を覚えたら、声の大きさやスピード、さらに時間を意識しながら必ず声に出して繰り返し練習しましょう。
なお、練習では3分きっちりにできていても、本番では緊張してつい早口になってしまいがちです。できるだけたくさんの人の前で披露し、本番に自信をもって挑めるようにしておくことも大切です。
- 動画を活用する
話すスピードや表現方法、アレンジ方法などを参考にしたい場合には、動画の活用をおすすめします。YouTubeなどに、言語表現対策についての動画がいくつもアップされていますので、チェックしてみてください。
- 自分の話す姿を撮影する
自分の話している姿を撮影してみてみると、客観的に評価・分析でき、改善点がみえてきます。話し方や表情、視線や身振り手振りなどをすみずみまでしっかりとチェックしましょう。
【参考】
生涯学習のユーキャン「よくあるご質問/『保育士』内のFAQ」
まとめ
保育士試験に独学で合格するためには、筆記試験・実技試験ともにモチベーションをキープしながらポイントを押えて勉強することが大切です。
筆記試験対策は、テキストを読み込んだ後に過去問や問題集を何度も解いて、知識を定着させていくことが基本。実技試験対策も、無料動画などを参考にしながら、繰り返し練習を重ねていきましょう。
合格率約2割の保育士試験。決して簡単なものではありませんが、しっかり対策すれば道は開けるはず!独学で保育士試験をクリアし、あこがれの保育士を目指しましょう。