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保育士のひきだし

2020.05.18

保育士の産休・育休取得について【事前にしっかりと知っておきましょう!】

どの業種にも産休・育休はあります。特に保育士は女性が多く活躍している職場なので、産休・育休はとても身近です。本記事では保育士の産休・育休の取得方法とその内容を解説します。また妊娠中や復帰後に活用できる支援援制度も併せてご紹介いたします。

そもそも産休育休の制度とは?

まず産休・育休とは、どんな制度なのか確認しておきましょう。

産休育休は法律で定められている制度!保育士も取得できる

保育士の間では「産休と育休が取れない」という声も挙がっていますが、産休と育休は労働基準法で定められた制度のため、条件さえ満たせば誰でも利用できます。産休は胎児や母体の安全と健康を守ることが目的で、雇用関係に関わらず誰でも取得できます。一方、育休は育児・介護休業法にて定められた制度。こちらは産休とは異なり、条件がいくつか指定されているため、事前に確認しておきましょう。

産休育休の期間はどれぐらい?

産休と育休は、それぞれ期間が定められています。どのくらいの期間、休暇が取れるのでしょうか。

産休は出産6週間前から産後8週間後まで

産休の期間は原則「出産予定日の6週間前から、出産の翌日から8週間後」と定められています。産前に休業する場合は保育園へ請求が必要です。一方で、産後8週間は就業できません。つまり、「産前の休業は自由選択だけど、産後は必ず母体を休めなければならない」というルールになっているのです。ただし、産後6週間が過ぎた際、本人が職場復帰を申し出て、それを医師が許可した場合は復帰することも可能です。産休の申請方法は保育園によって異なり、時間もかかってしまうケースがあるため、早めの準備が大切です。

【参考】厚生労働省 産休&育休

育休は原則子どもが満1歳になるまで

育休の期間は、主に「1歳未満の子どもが1歳になるまでの間」と定められています。こちらは男女問わずに取得できる休暇です。1歳になっても「保育園が決まらない」といった理由があれば育休の期間を1年6カ月に延長もできます。ただ、育休は産休とは違い、雇用期間・契約期間・労働日数などの規定条件を満たしていないと取得できないため、注意が必要です。

【参考】厚生労働省 産休&育休

産休育休が取得できる条件

産休は、申請すれば誰でも利用できますが、一方で育休を取得する場合は、いくつか条件を満たす必要があります。以下、厚生労働省のホームページに掲載されている育休の条件です。

1.期間の定めのある労働契約で働く方は、申出時点において、以下の要件を満たすことが必要です 

  • 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
  • 子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
  • 子どもの2歳の誕生日の前々日までに労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでない

 

2.以下の要件に該当する場合は育児休業を取得できません(対象外とする労使協定がある場合に限る)

  • 雇用された期間が1年未満
  • 1年以内に雇用関係が終了する
  • 週の所定労働日数が2日以下

 

3.日々雇用される方は育児休業を取得できません

つまり、転職してから1年未満に妊娠が分かった場合は「産休」は取得できますが、「育休」は取得できないということになります。今後、妊娠を考えている人は、少なくとも1年以上は同じ保育園に勤めた方が無難でしょう。とはいえ、保育園によっては「雇用期間が数カ月でも育休の取得が可能」という、独自の規定を設けています。詳しくは就業先に相談してみましょう。

【参考】厚生労働省 産休&育休

正社員とパート、雇用形態で条件は違う?

産休は、保育園の健康保険に加入していれば、雇用関係問わず取得できます。また、育休に関しても、以下の条件に当てはまれば正社員でもパートでも取得できます。

  • 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
  • 子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
  • 子どもの2歳の誕生日の前々日までに労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでない

ただし、以下の項目に当てはまる人は取得できません。

  • 雇用された期間が1年未満
  • 1年以内に雇用関係が終了する
  • 週の所定労働日数が2日以下
  • 日雇いの仕事をしている

【参考】厚生労働省 産休&育休

基本的に産休育休中は「給料」が発生しない

残念ながら、産休や育休中に給料は支払われません。一般企業の中には、産休や育休中も給料の何割かを支給するところもありますが、ほとんどの保育園では「給料」という形では支給されません。

給料は出ないけど大丈夫!産休育休に心強い3つの手当て

産休育休中は給料が出ませんが、「出産手当」「育児休業給付金」「保険料の免除」など、国からの援助を受けることができます。ここでは、それぞれの援助の特徴や内容を解説していきます。

出産手当

出産手当とは「産休中」にもらえる手当金のこと。手当がもらえる期間、金額、条件は次の通りです。

期間

1日の支給額

条件

出産42日前~産後56日間

日給の1/3の金額

保育園の健康保険、共済組合の被保険者に加入している人

日給の1/3とはいえ、あるのとないのとでは大きく変わります。出産が遅れた場合も支給されるのも大きなポイントです。保育園の健康保険に加入していれば、正社員だけでなくパートや派遣の人でも受け取ることができます。

【参考】厚生労働省パンフレット「働きながらお母さんになるあなたへ」

育児休業給付金

育児休業給付金は「育休中」に支給される給付金です。休業期間中の賃金が休業開始時の賃金と比べて 80%以下になった際に支給されます。期間、金額、条件は次の通りです。

支給される時期

支給額の目安

条件

育休開始から約2カ月後

月給の50~67%×育休月数

・「育児休業」を取得している

・雇用保険の加入者

・育児休業を開始した日までの2年間に、1カ月に11日間以上働いている月が12カ月以上ある

・育休中に就業している日数が月10日以下

ちなみに上限月額は454200円、下限月額は75000円(201981日時点)です。収入によって金額は異なりますが、ぜひ活用したい制度です。

【参考】厚生労働省「第11章 育児休業給付について」

保険料の免除

産休育休の間は、「厚生年金保険」「健康保険」を含む社会保険料が免除されます。支給期間は休暇開始から終了日まで。雇用主である保育園から手続き書類をもらって申請します。

産休育休を取得するにはどうすればいい?手順を紹介

産休や育休を取る際、具体的に何から始めればよいのでしょうか?手順ごとにポイントを解説します。

まずは保育園に相談する

現場の忙しさに遠慮して、産休や育休についてなかなか言い出せないこともあるでしょう。しかし、産休や育休は手続きに時間がかかってしまう場合もあるので、なるべく早く保育園に相談しましょう。出産予定日や、産前休暇を取るのかどうか、復帰はいつ頃になるのか、あらかじめ自分の考えをまとめてから相談するとスムーズです。

産休育休の申請をする

保育園と合意が取れたら、早速、申請しましょう。産休育休は別々に申請が必要になるため、注意が必要です。

産休の申請のポイント

産休の場合は、主に以下手続きを行います。

  • 産前産後休業取得者申出書の提出
  • 産休中の社会保険料の免除手続
  • 出産手当金の申請手続

育休の申請のポイント

育休の場合は、主に以下の手続きを行います。

  • 育児休暇中の社会保険料の免除手続
  • 育児休業手当金の申請手続
  • 育休中の社会保険料の免除手続

基本的に書類関係は雇用主が用意してくれます。出産手当金の書類は全国健康保険協会へ、育児休業給付金の書類はハローワークへ、保育園が提出してくれます。なお、社会保険料免除の申請も同様に、保育園が書類を年金事務所に提出してくれるため、自身で足を運ぶ必要もありません。

【参考】厚生労働省パンフレット「働きながらお母さんになるあなたへ」

妊娠中や復帰後の働き方!無理せず働くには?

妊娠中や復帰後は、これまでと同じように働くのは難しくなります。自身の体調や家庭の事情も考えて、新しい働き方に移行するのも1つの選択肢です。ここでは、妊娠中や復帰後に無理せず働くポイントについて述べます。

時短勤務を利用して家庭と仕事を両立

時短勤務とは、育児・介護休業法で定められた「短時間勤務制度」にならって、勤務時間を短縮させる働き方です。主に3歳未満を養育する人が対象で、1日の勤務時間は原則として6時間となっています。そのほか、条件は次にようになっています。

  • 日々雇用される者でないこと。
  • 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと。
  • 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと

また、次の項目に当てはまる人は時短勤務の対象外となる可能性があります。

  • 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

時短勤務になれば、肉体的な負担が軽減されます。特に妊娠中にはおすすめの働き方です。復帰後は早番勤務に固定されれば、子どもの保育園のお迎えも間に合います。正社員を続けながら、家庭と仕事を両立したい人にはぴったりです。

【参考】厚生労働省「短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)について」

残業や持ち帰りの少ない保育園に異動・転職する

人手不足の保育園の場合、残業や持ち帰りの仕事が多いため、家庭にしわ寄せがくることが予想されます。あなたが今勤めている保育園の労働環境に心配があるなら、同じ系列の保育園の中でも、イベントが少ない・人手が多い・時間外労働が少ないといった保育園へ異動するのも選択肢に入れておきましょう。どうしても改善されない場合は、労働条件のよい保育園へ転職することも一つの方法です。

子育て支援制度を利用する

中には、次のような子育て支援制度を取り入れている保育園もあります。

  • 系列保育施設に子どもを優先的に入所させ、保育料の半額を会社が負担
  • ベビーシッターや系列保育サービスの利用料が免除、割引される
  • 帰省休暇や家族休暇あり

子どもの入園先を確保しつつ、保育料も免除というのはうれしいポイントですよね。そのほか、帰省休暇や家族休暇など、家族との時間もとれるため、家庭と仕事のバランスもとりやすいでしょう。

まとめ

産休・育休制度は、条件さえ満たせば誰もが利用できます。安心して休暇に入れるよう、制度の内容や出産後の働き方を考え、早めに計画できるようにしましょう。


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