おやこのひきだし
2020.04.24
困った夜泣きの対処法とは?夜泣きの原因も解説します
連日の夜泣きに、「あぁまたか……」と悩んでいる親御さんも多いことでしょう。夜中に何度も起こされる、昼夜が逆転して寝不足がつらいなど、夜泣きの悩みは深刻です。
この記事では、夜泣きの原因とおすすめの対処法を7つご紹介しています。夜泣きに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
どうして夜泣きをするの?
子どもはなぜ夜泣きをするのか、夜泣きの原因を解説します。
そもそも夜泣きとは
夜泣きには医学的な定義はありませんが、生後6カ月くらいから1歳半または2歳くらいまでの子どもが夜中や明け方に突然目覚め、泣き出す状況を指します。夜泣きの程度は個人差があり、激しい泣き方やグズグズ泣き、何度も起きたり長く泣いたりとさまざまです。
いったん夜泣きが始まるとなかなか泣き止まず、寝つくまでに時間がかかるケースがほとんどです。中には毎晩夜泣きをする子どももおり、家族の睡眠不足や近隣への迷惑を心配し、
ストレスに感じている家庭も少なくありません。一方で、寝つきがよくほとんど夜泣きをせずに育つ子どももいます。
夜泣きの原因
夜泣きのはっきりとした原因は解明されていませんが、次の内容が考えられます。
体内時計が未発達
生後6カ月以降の赤ちゃんは昼と夜を区別し始め、だんだんと夜にまとまって寝るようになります。しかし、1日の生活リズムを整える体内時計はまだ成長の段階なので、睡眠のサイクルが狂い目覚めてしまうことがあります。
レム睡眠の回数
私たちが夜間に眠るときには、眠りが深い「ノンレム睡眠」と眠りが浅い「レム睡眠」が繰り返されます。赤ちゃんは眠りが浅いレム睡眠の回数が大人よりも多いので、目を覚ましやすいことも挙げられます。
体に感じる不快
赤ちゃんは、オムツの不快感や部屋の暑さや寒さのほか、空腹やのどの渇きなどを感じると泣いて知らせます。また、部屋の暗さや音・振動、怖い夢への恐怖や体調が悪いなどの原因も考えられます。
寝かしつけの環境
寝かしつける際に親が抱っこをしたり、おっぱいを与えながら寝かせる「添い乳(そいちち)」をしたりする家庭も多いことでしょう。しかし、子どもが目覚めたときに近くに親がいないと不安になり、夜泣きにつながる可能性があります。
生活の変化
1歳以上の子どもが夜泣きをする場合は、引っ越しや入園など、環境の変化が関係することがあります。しかし、ほとんどの場合は環境に慣れるにつれて落ち着いていきます。
夜泣きにおすすめの対処法7つ
子育て中の親御さんの多くが経験する夜泣き。ここでは、夜泣きにおすすめの7つの対処法をご紹介いたします。
① 抱っこをする
定番の対処法ですが、なかなか泣き止まないときは抱っこをしましょう。親子のスキンシップによって子どもが安心する上、オムツの状態や汗をかいた様子などもわかります。抱っこも変化をつけて、縦抱きや横抱き、親の上に寝かせるうつぶせの抱っこなどを試してみてくださいね。
抱っこをしながら言葉をかけたり、お気に入りの歌を歌ったりすると子どもは安心します。
② オムツを交換する
オムツが排せつ物で汚れたり長時間の使用で蒸れたりしたときも、夜泣きをすることがあります。オムツの状態も確認してみましょう。なお、子どもが眠いときに電気を急につけると、光に驚いて余計に泣いてしまうことがあるので、夜中のオムツ交換は間接照明などの優しい光を使用してくださいね。
③ 授乳をする
生後6~9カ月頃の赤ちゃんは、夜間に1~2回の授乳が一般的なので、空腹が理由で泣く場合もあります。授乳の際も、照明の明るさに気を配ってくださいね。添い乳は赤ちゃんが目覚めたときにおっぱいを探して泣く可能性があり、母親しか寝かしつけができなくなる心配もあるので、夜泣きがひどいときは座って授乳をするのがよいかもしれません。
④ 環境を整える
子どもの夜泣きは、寝室の環境が影響している可能性もあります。睡眠に適した部屋の温度は、夏はおよそ25~26℃、冬は22~23℃で、湿度は一年を通して50~60%が理想です。エアコンや加湿器などを利用して、気持ちよく眠れる環境を整えましょう。
小さい子どもは体温が高いので、布団やパジャマが暑いことも考えられます。背中に汗をかくなら薄手のパジャマにするか、背中とパジャマの間にタオルを1枚入れておき、汗をかいたらタオルを抜くという方法もあります。また、豆電球や家電のランプ、隣の部屋の話し声、テレビの音などが原因の場合もあります。
⑤ 目を覚まさせる
ウトウトしては泣き出す、グズグズ泣いて寝つかないというときは、子どもが思うように眠れないことも考えられます。長くグズっているときは、いったん子どもを起こして気分転換をする方法もおすすめです。
目を覚まさせるときは思い切って部屋の電気をつけて明るくし、抱き上げて起こしましょう。初めは泣くかもしれませんが、目が覚めると気分が変わって泣き止む可能性があります。しばらくして落ち着いたら、再び電気を消して寝かしつけましょう。
⑥ 対策グッズを使う
夜泣きにはさまざまな対策グッズがあります。古くから利用されているのは、テレビの放送が終了した後に流れる、いわゆる「砂嵐」です。「ザー」というノイズが胎内の音に似ていると言われ、ほかにも換気扇やドライヤーのモーター音、ビニールをカサカサする音が好きという子どももいます。
おしゃぶりをくわえさせたり、お気に入りのおもちゃを握らせたりするほか、ティッシュで顔をなでると安心して眠るという話もあります。ただし、ものを与えるときは親が見守りながら寝かしつけましょう。近年では夜泣き対策のアプリも開発されていますが、画面を見せると目が覚めてしまうので、使用する際は音だけを聞かせてくださいね。
⑦ 歩くまたは外に出る
何をやっても泣き止まないときは、抱っこやおんぶで歩いたり、ベビーカーに乗せたりして移動してみましょう。哺乳(ほにゅう)類の子どもには「輸送反応」と呼ばれる本能があり、抱っこなどで移動すると子どもの心拍数が下がりリラックスすることが研究で証明されています。
また、屋外に出て違う空気や音に触れると気分が変わり、泣き止む可能性もあります。抱っこなどで外を移動すれば、次第に眠くなって寝つくかもしれません。夜間の外出が心配なときには、家族にも協力してもらいましょう。
やってはいけない対処法
次に、夜泣きの対処法として避けたい行動をいくつかご紹介いたします。
すぐに相手をする
子どもが泣き出したとき、すぐに相手をすることはおすすめしません。様子を見るのはいいのですが、寝ぼけて泣いていることもあるので、すぐに声をかけたり抱き上げたりすると完全に目を覚ましてしまうからです。
少し様子を見て寝つくようならそのまま、夜泣きがひどくなるときは対処法を試してみましょう。
眠ってから布団に降ろす
特に赤ちゃんは、抱っこで寝かしつけた後に布団やベッドに降ろすと、目を覚まして泣くこともしばしば。そうならないためにも、できるだけ初めから布団やベッドに寝かせておき、傍らで見守りながら眠らせるようにしましょう。
「〇〇しないと寝られない」というクセがついてしまうと、子どもの寝つきにも影響が出ます。家庭の方針にもよりますが、親の負担を減らすには子どもが1人で寝られる環境も検討してくださいね。
揺さぶり
夜泣きがひどいときは親のストレスがたまり、子どもを揺さぶったりたたいたりする衝動にかられるかもしれません。頭を激しく揺さぶられた子どもは脳に損傷を起こし、危険です。イライラしたときは、深呼吸などをして気持ちを落ち着けたり、家族に助けを求めたりしましょう。
夜泣きを乗り越えるポイント
最後に、つらい夜泣きを乗り越えるヒントをまとめました。
生活リズムを作る
規則正しい生活を心がければ、成長に伴って夜はよく眠るようになります。生後6カ月以降の赤ちゃんは昼と夜を認識し始めるので、朝はきちんと起きて活動しましょう。午前中は散歩などで太陽の光を浴びて、体内時計をリセット。月齢が低いうちは午前と午後に1回ずつの昼寝をしますが、長く眠らせないこともポイントです。
目が覚めている間はおもちゃで遊ぶなどして、アクティブに過ごしましょう。夜はいったん眠り、授乳が必要なときは1度起きてから再び就寝します。個人差はありますが、6カ月の赤ちゃんの睡眠時間は合計でおよそ13~14 時間が一般的なので、月齢や年齢に合わせて昼寝の回数を調節し、メリハリがある生活を意識しましょう。
【参考サイト】厚生労働省 「未就学児の睡眠指針」
寝る前の環境を改善
デジタル機器から発する光は脳を興奮させるため、寝る直前に使用すると大人も子どもも寝つきが悪くなることがわかっています。寝る前の30分から1時間はテレビやパソコン、スマホの使用を控え、眠る環境を整えましょう。
寝室は電気を消して音や振動などが伝わらないようにし、温度や湿度、パジャマも季節に合わせて調節してくださいね。ある程度大きくなったら、絵本やぬいぐるみと遊んだりするなど、寝る前のルーティンを試してみましょう。
夜泣きは家族で対応
多くの家庭では、母親がメインで育児をしていることでしょう。つきっきりで子どもの世話をしていれば、ストレスがたまるのは当然です。夜泣きの悩みは1人で抱え込まず、父親や祖父母などにどんどん相談してくださいね。曜日によって夜泣きの担当を決めるなど、家族が皆で子育てをすることが大切です。
また、次のような考え方で夜泣きを受け入れ、気持ちを切り替えるのもおすすめです。
- 本来、子どもは泣くもの
- 夜泣きはいずれ泣き止む
- 夜泣きは一生続くわけではない
- 夜泣きは悪いことではなく、成長の一環
- ほかの子どもと比べない など
つらいときは専門家に相談を
しかし頭ではわかっているものの、「気がめいる」「つらい、苦しい」という親御さんは、市の相談窓口や小児科、夜泣きや睡眠の専門外来に相談しましょう。専門家に話を聞いてもらえば安心し、適切なアドバイスも受けられます。
夜泣きの状況がひどいときや、「夜驚症(やきょうしょう)」と呼ばれる症状のときは、子どもに漢方薬を処方する病院もあります。また、夜泣きをするときは発熱やそのほかの病気の可能性もあるので、気をつけて様子を見ることも大切です。「こどもの救急」サイトや救急の電話相談「#8000」、地域の夜間の診療所も確認しておきましょう。
夜泣きの一番の対処法は家族の協力
今回は、夜泣きの原因と7つの対処法のほか、気をつける点と夜泣きを乗り越えるヒントをご紹介いたしました。夜泣きが始まってもすぐに手を出さず、寝つく場合はそのまま、ひどくなるようなら対処法を試し、体調のチェックをしましょう。つらいときは家族や専門家に相談し、1人で悩まないことも大切です。
夜泣きは成長の一環と心得て、家族で協力しながら乗り越えましょう!