保育士のひきだし
2020.03.27
保育士のよくある人間関係の悩みと対処法を解説
「上司や先輩、同僚との関係がギスギスしている…」
「保護者の方との関係がうまくいかない…」
どんな職場にも人間関係の悩みはあるものです。東京都の調査では、退職の意向がある保育士のうち、「職場の人間関係」・「保護者対応の大変さ」といった人間関係の問題を理由に挙げている方は約6割です。
ここでは具体的な人間関係の悩みを例に挙げながら、対処法を解説していきます。これからも保育士として楽しく働いていくために、ぜひ参考にしてください。
保育士の人間関係の悩み
保育士は、一体どのような人間関係の悩みを抱えているのでしょうか。まずは、よくある悩みの例をご紹介いたします。
園長との保育方針のズレ
学び重視、体力重視、イベント重視など、それぞれの保育園にはアピールポイントとなる保育方針が掲げられています。
もし、園長の保育方針と自分の理想とする保育が異なると、園長との関係に悩みが生じてしまうことがあるでしょう。
たとえば、子どもたちを安全な環境でのびのびと保育したいと考えている方には、英会話教室に読み書きと、徹底的に厳しく指導するような保育園は合いません。
「もっとのびのびと保育したいです」と主張したところで、方針が変わることはないので、かえって園長との関係が悪化してしまいます。
保育士同士の関係
保育士同士でいつももめているような職場だと、その場にいるだけでうんざりしてしまいます。
陰口になるような話を振られても、一体どのように返事をしたらよいのか、困ってしまいますよね。さらに、陰では自分の悪口も言っているのではないかと不安にもなり、疲れがどっと溜まってしまいます。
女性が多い保育士の職場では、派閥やグループができてしまうこともあり、集団での陰口につながってしまうケースもみられます。
子どもたちを安全に保育するため、チームで連携を取り合うことが重要です。保育士同士の人間関係に悩んでしまうと働くことが辛くなってしまうでしょう。
先輩保育士との関係
とくに、新人の保育士にありがちな悩みが、先輩保育士との関係です。
理不尽なことで罵られたり、他人がやるべき仕事を押し付けられたりといった嫌がらせを受けてしまうケースもあります。
保護者からの理不尽な要求
クレーマー化して、なにかと無理難題を押し付けてくるようなモンスターペアレントの対応も大いに悩まされます。
「うちの子どもをずっとそばでみていてほしい」「〇〇先生のせいでケガをしたから、治療費を払ってほしい」など、保護者の方から理不尽なことばかり言われてしまい、その対応に悩んでしまう保育士も多くいます。
保育士の人間関係の対処法
具体的な人間関係の悩みを把握したところで、早速ここからは、そんな悩みを解決するための対処法をひとつひとつ探っていきましょう。
園の方針に共感できる点・妥協点を見つける
自分の理想にぴったりとはまる環境で働ければよいのですが、現実にはなかなか難しいことです。
園長の保育方針に不満を抱えているような場合には、その方針の中に共感できる点や妥協できる点がないか、改めて見直してみましょう。「△△なところは合わないけれど、〇〇な考えは共感できる」というプラス面が見つかれば、少しずつ園長との関係が良い方向に変わっていく可能性があります。
適度な距離を保つ
陰口が頻繁に飛び交っているような環境の中でうまくやっていくためのポイントは、適度な距離感を保つこと。
陰口を耳にしても、同調や反論すると、かえってトラブルに巻き込まれる可能性があります。話を振られても、「そうだったんですね、気づきませんでした」「知りませんでした」と、うまく受け流し、適度な距離を保つことでストレスを軽くできます。
仕事と割り切る
仕事上の人間関係に悩みを抱えているのなら、いっそのこと「人間関係のわずらわしさも仕事のひとつ」と割り切ってしまうのも対処法のひとつ。
職場の保育士も保護者の方も、友人ではありません。みんなと良い関係を築こうとしなくていいのです。
合わない保育士とは、「仕事で必要なことのみをやり取りする関係」と割り切った付き合いをすると、気持ちが楽になりますよ。
保護者へは共感を示しチームで対応
理不尽なクレームを入れてくる保護者の方への対応はなかなか難しいものですが、まずは共感する姿勢でしっかりと話を聞くように心がけましょう。
適当に話を受け流したり、最初から反論してしまうとトラブルはさらに大きくなってしまう可能性もあります。
クレームの内容が事実なら誠心誠意謝罪し、無茶な要求である場合にも、メモなどを取りながら折れることなく冷静に対処していきましょう。
また、保護者の方からの理不尽なクレームを受けた場合には、決して一人で抱え込まず、園長や上司、先輩保育士に相談するようにしてください。モンスターペアレントには、園一丸で対応することが一番の有効策ですよ。
笑顔であいさつする
あいさつは、コミュニケーションの基本です。「おはようございます」「お疲れさまです」と誰に対しても笑顔であいさつすることを心がけてみましょう。
合わない保育士でも、苦手な保護者の方でも、笑顔で声をかけられてイヤな気持ちになる人はいません。進んで明るくあいさつをしているうちに、自然と良好な関係を築けることもありますよ。
積極的にコミュニケーションをとる
良好な人間関係を築いていきたいと思っているのなら、積極的にコミュニケーションを図り、ある程度自分から歩み寄っていく姿勢が必要です。
笑顔でのあいさつはもちろん、仕事やプライベートの悩みが相談できるようになると、相手との距離が縮まり信頼関係が生まれます。
保育士のストレス発散法
職場の人間関係の悩みは毎日のことなので、精神的に大きな負担です。良い関係を築くための対処法も大切ですが、心身ともに疲弊することのないよう、日頃からストレスを発散しておくこともとても重要です。
そこで最後に、日々のストレスを上手に解消していく、おすすめの発散法をご紹介いたします。
質の良い睡眠と休息をとる
私たちは、眠っている間に脳を休ませ、疲労を回復させています。そのため、心身ともに健康な体を維持するためには、良質の睡眠をとることが基本です。
良質な睡眠をとって、ストレスに負けない心と体づくりをしましょう。
なお、睡眠の質を上げるためのポイントは次の通りです。
- 就寝前にはリラックスして心と体の緊張をほぐす
⇒情報量の多いテレビ・パソコン・スマートフォンの使用は、就寝1時間前までに
⇒ゆっくりとお風呂に入って体を温める
⇒寝る前にハーブティーを飲む、など
- 休日も早寝早起きを心がける
⇒生活リズムが乱れると、心身の健康に悪影響を与えます
- 昼寝を上手に取り入れる
⇒平日の睡眠不足の解消には昼寝がおすすめ。20分程度の仮眠をすると、睡眠が深くなる前に目覚めることができ、体の疲れも取れます
保育園以外の人間関係を楽しむ
休日には、仲の良い友人とランチや買い物などをして気分転換するのもよいストレス発散法です。
ただし、一緒に過ごす相手は、職場以外の人にしましょう。
保育園の同僚だと、話題がつい職場の愚痴になりがちです。余計にストレスが溜まってしまうばかりか、その悪口が職場に漏れて、新たなトラブルが発生してしまう可能性もあります。
また、職場の外で心が休まる自分の居場所があれば、保育園での人間関係に悩んだときにも心の支えとなってくれます。
休日にはぜひ、保育園以外の人と触れ合い、職場のわずらわしさから解放されましょう。
趣味を充実させる
休日になにもすることがないと、仕事のイヤなことばかりを思い出してしまうでしょう。そして憂鬱な気持ちのまま休日が終わり、仕事が始まるとまた職場の人間関係で悩み…、これではいつまでも悪循環から抜け出せません。心も体も疲れ切ってしまいますよね。
そんなときには、頭をからっぽにして没頭できるような、趣味の時間を充実させましょう。
読書でも、スポーツでも、DVD鑑賞でも、なにか趣味をもつことで、仕事とプライベートのメリハリがつきます。休日は、好きなことにひたすら打ち込む。そうすると気持ちがリフレッシュでき、「大変だけど明日からまた頑張ろう」と前向きな気持ちになれるはずです。
体を動かして汗をかく
運動には、次のようなうれしい作用があります。
- ネガティブな気分を発散させる
- 心と体をリラックスさせる
- 睡眠のリズムを整える
ランニングやサイクリング、ダンスや水泳など、有酸素運動を取りいれるとより効果的ですが、友人と公園でバドミントンをしたり、近所を散歩したりする程度の軽い運動でもかまいません。
休日には、ぜひ体を動かしてたっぷり汗をかきましょう。ストレスが発散でき、心身ともにリラックスできて、夜は質のよい睡眠がとれる。一石三鳥の効果が得られますよ。
まとめ
園長との関係、保育士同士との関係、保護者の方との関係と、さまざまな人間関係に悩みながら働いている保育士はたくさんいます。
まさに今、あなたが悩んでいるならば、ご紹介した対処法やストレス解消法をなにかひとつでも実践してみてはいかがでしょうか。
すべての悩みをスッキリと解決することは、なかなか難しいかもしれません。ただ、なにかをはじめてみることが、「大変だけど頑張ってみよう」「大変だけどなんとかなりそう」という明日への活力につながる場合もありますよ。いきいき働いている保育士の姿は子どもの目にも輝いて見えるものです。健全な保育のためには、あなた自身が心身ともに健康であることが大切ですよ。