保育士のひきだし
2019.12.18
楽しく保育に取り入れたい「言葉遊び」アイデア集
しりとりをはじめとする「言葉遊び」。
使うものは言葉のみで特別な道具は必要ありません。ルールもシンプルで、いつでもどこでも、みんなで気軽にはじめられる楽しい遊びです。
でも、言葉遊びの魅力はそれだけではありません。実は、シンプルなルールの中に、子どもたちの発達をうながす重要な要素がしっかりと詰め込まれたゲームなのです。
そこで、言葉遊びが子どもたちにもたらす効果と、保育に取り入れていきたい言葉遊びのアイデアを年齢別にご紹介いたします。
ぜひ、日々の保育に楽しく取り入れて、子どもたちの生きる力を育んでいきましょう。
言葉遊びの効果
冒頭でもお伝えした通り、言葉遊びはいつでもどこでも楽しめるうえ、子どもたちの発達をうながす重要な要素が詰められたゲームです。まずは、言葉遊びが子どもたちに一体どんな効果をもたらすのかを詳しく確認していきましょう。
語彙力と表現力が身につく
言葉遊びによって、語彙力や表現力を身につけることができます。
子どもは周りの大人や友だちから新しい言葉を聞いて、使える言葉を増やしていきます。そして子どもが覚えた言葉を引き出すことで、言葉に親しみ、使いこなせるようになるのです。遊びながら語彙を増やして言葉の感覚を磨き、表現力を豊かにしていきます。
なお、子どもたちの言葉は、保護者の方や保育士、友だちとのやりとりで獲得されていきますが、とくに、安心して話せる身近な大人とのかかわりから大きく影響を受けるといわれています。毎日の保育にさまざまな言葉遊びを取りいれ、言葉の楽しさやおもしろさをどんどん伝えてあげましょう。
思考力と発想力が身につく
言葉遊びのルールは、子どもでもすぐに理解できるようシンプルなのが特徴。たとえば、しりとりなら、前の人が言った言葉のお尻の文字から始まる言葉を見つけていくゲームで、とても簡単ですね。
このシンプルなルールが大事です。子どもたちが主体的に取り組み、ルールに合わせた言葉を自ら考えることで、思考力や発想力が鍛えられていくのです。
また、答えられたうれしさや伝え合う楽しさを味わうことで、言葉を表現する意欲が高まりコミュニケーション力も培われていきますよ。
子どもの年齢に合わせて、さまざまな言葉遊びを体験させてあげましょう。
言葉遊びの年齢別アイデア集
子どもたちが主体的に楽しみながら、さまざまな生きる力を養っていける言葉遊び。
言葉遊びの効果を確認したところで、ここからは年齢に合わせた言葉遊びのアイデアをお伝えします。
3歳児(年少)
3~4歳にかけて話せるようになる言葉の数は、1,700語程度といわれています。この年齢の頃には、言葉をつないでコミュニケーションを取れるようになり、さらに想像力も大きく発達しはじめるので、言葉だけでその場に無いものをイメージできるようになります。
そんな年少の子どもたちには、言葉の幅をどんどん広げてあげられるような言葉遊びがオススメです。
色探しゲーム
「色探しゲーム」とは、「このお部屋のなかで、赤いものはどこにあるでしょう?」と1つの色を指定し、子どもたちに教室にある物で当てはまる色を探してもらうゲームのこと。
「このお部屋のなかで丸いものはどこにあるでしょう?」とすれば、色を形に変えて遊ぶことができます。
楽しく遊びながらさまざまな色や形を覚えていくことができますよ。
指定した色に一番早くタッチした人の勝ち、などとゲーム形式にしても楽しめます。
しりとり
「しりとり」は、子どもが言葉に興味関心を持ち、楽しみながら語彙を増やすことができる言葉遊びの代表格。一緒に遊ぶ保育士や友だちからたくさんの言葉を聞くことで、子どもたちはどんどん新しい言葉を吸収し、その後自分で使っていくことでしっかり定着されます。
ちなみに、しりとりは言葉の音節を頭のなかで分解する力(「かさ」なら「か」と「さ」)が求められるため、簡単なようで実はなかなか高度な言葉遊び。しりとりのルールを理解しながら遊ぶことで、自然に言葉の音節に気づき、正しい発音ができるようになります。
言葉集めゲーム
「言葉集めゲーム」は、お題となる一文字を決め、その文字が頭につく言葉を集めていく言葉遊びのことです。
「頭に『あ』のつくものなんだ?」と子どもたちに質問。
「あり」・「あめ」・「あひる」・「あたま」、などできるだけたくさんの言葉を集めてもらいましょう。
「一度出た言葉は使わないこと」といったルールを決めて難易度を上げると、語彙力アップのほか、他の子どもたちの話をしっかりと聞く力も身につきますよ。
4歳児(年中)
4~5歳にもなると、言語能力がより発達します。自分の気持ちや経験を上手に伝えられるようになります。また、想像力も豊かになって想像でお話も作れるように。
そんな年中の子どもたちには、イメージする力を育てる言葉遊びがオススメです。
私は誰でしょうクイズ
「私は誰でしょうクイズ」とは、いくつかのヒントを聞いてクイズの答えを見つけ出していく言葉遊びです。
遊び方はとても簡単。たとえば、「すべりだい」が答えなら、
「私は、階段がついています」
「私は、お尻で坂道を滑ります」
「私は、保育園や公園にあります」
と順番にヒントをだし、最後に「私は誰でしょう?」と聞きます。
ヒントをもとにイメージを膨らませ、条件に合う答えを子どもたちが自ら考えていくことで想像力や思考力が育まれていきますよ。
連想遊び
「連想遊び」とは、抽象的なお題からイメージを膨らませて、具体的な答えを見つけ出してもらう言葉遊びです。
「白くてふわふわしているものなんだ?」といったような抽象的なお題を出し、お題から連想できるものを子どもたちに答えてもらいます。
「白くてふわふわしているものなんだ?」
このお題には、「雲」や「うさぎ」、「わたあめ」など、さまざまな答えが出てくることでしょう。答えは1つだけではありません。たくさんの答えを聞きだして、自由にイメージを膨らませてあげましょう。「たくさん答えられた人の勝ち」とゲーム形式にしても楽しめますよ。
答えを合わせようクイズ
「答えを合わせようクイズ」とは、連想遊びのひとつで、お題からさまざまな言葉をイメージし、答えをみんなで合わせる言葉遊びです。
たとえば、「『あ』からはじまる甘い食べものなんだ?」というお題を出すと、「アメ」や「アイスクリーム」、「あんこ」などいくつかイメージがわきますよね。そこでさらに、「口の中で少しずつ小さく溶けていくものです」などとヒントを追加していき、最後に「せーの!」でみんな一斉に答えを言います。みんなの答えがそろっていたら成功。
子どもたちが盛り上がること間違いなしの言葉遊びですよ。
5歳児(年長)
5~6歳になると、言語能力、思考力、記憶力などがさらに発達します。2枚の絵を見てお話を作れたり、色や形、話の内容などをしっかりと理解し、同時に記憶できるようになってきます。
そんな年長の子どもたちには、イメージする力に加えて、言葉や文字を使って楽しみながら論理的思考力を高める、少し高度な言葉遊びがオススメです。
なぞなぞゲーム
「からだにある5人兄弟のなかで、一番小さくて一番太っちょ。これなんだ?」
このなぞなぞの答えは「てのおやゆび」。
問題を最後まで聞き、答えを考える「なぞなぞゲーム」。楽しく遊びながら、人の話をしっかりと聞いて考える力、思考力や推理力が鍛えられていきます。
最初は保育士が出題者、子どもたちが回答者となって遊び、慣れてきたら子どもたちになぞなぞを出題してもらいましょう。物事を伝える力、説明する力が育くまれます。
逆さ言葉遊び
言葉を逆さに読んでみたり、上から呼んでも下から読んでも同じ言葉になる回文を作って楽しむ「逆さ言葉遊び」。
「りんご⇒ごんり」、「ほいくえん⇒んえくいほ」、など子どもたちの知っている言葉を逆さまにして言葉の楽しさや面白さを味わいつつ、記憶力を培っていきましょう。
また、「しんぶんし」・「たけやぶやけた」などの回文を作って遊ぶのもオススメ。言葉と言葉の組み合わせによって面白い回文ができあがり、楽しみながら発想力もアップしますよ。
アナグラム
「アナグラム」とは、ある単語や文字の順番を並べ替えて、全く別の単語や文字にする言葉遊びです。
たとえば、
「けいと(毛糸)」なら、並べ替えると「とけい(時計)」
「みらい(未来)」なら、並べ替えると「ミイラ」
というそれぞれ全く別の言葉を見つけ出すことができます。アナグラムによって適切な言葉を選び出す判断力や、想像力、思考力を培うことが可能に。
慣れてきたら文字数をどんどん増やして難易度を上げるとより楽しめますよ。
まとめ
道具がなくても、いつでもどこでも気軽にはじめられるうえ、子どもたちの言葉の発達を伸ばす言葉遊び。
言葉を通して楽しく遊びながら、語彙力、表現力、思考力、集中力など、さまざまな力が養われていきます。
ぜひ、年齢に合わせた言葉遊びを日々の保育に取り入れて、子どもたちの生きる力を楽しく伸ばしてあげましょう!