おやこのひきだし
2019.12.11
ワンオペ育児はどこから?その定義と乗り越えるポイント
子どもが生まれると、やるべきことが一気に増えます。そんな中で、一人で育児や家事のすべてをこなさなければならない状態を「ワンオペ育児」と言います。ワンオペ育児が続くと、育児疲れから体調を崩してしまうこともあるでしょう。
ワンオペ育児とは具体的にはどんな状態を指すのでしょうか。そして、ワンオペ育児を乗り越えるためのポイントについて見ていきます。
毎日育児をがんばる方に知ってもらいたい、ワンオペ育児の乗り越え方をご紹介いたします。
ワンオペ育児とは
ワンオペ育児とは、家庭で一人の方が、育児や家事のすべてを担っている状態です。子育てを主に担っている母親が、ワンオペ育児の状態になるケースが多く見られます。
母親と父親のどちらかが一人で育児をしていて、育児を負担に感じているなら、ワンオペ育児であると言えるでしょう。ワンオペ育児になる理由はさまざまです。
- パートナーが単身赴任
- パートナーの仕事が多忙で家にいる時間が短い
- シングルマザー
- 実家が遠くて頼れる人がいない
- パートナーが子育てに協力的ではない
パートナーが単身赴任中、またはシングルマザーの方は、ほとんどが一人で育児をせざるを得ない状況です。しかし、パートナーが自宅にいても育児に協力的でなければ、ワンオペ育児の状態になってしまうでしょう。
育児疲れに注意
ワンオペ育児が続くと、体力的にも精神的にも疲れます。ゆっくり休息する時間が取れず、身体を壊してしまうことも。
子育ては保護者の方も楽しむことが一番です。以下では参考にしてもらいたい育児疲れのチェック方法をご紹介いたします。
行政のチェックリストでチェック
京都府が、育児中のお父さんやお母さんのために提示しているのが「自己診断・子育てお疲れチェック」というチェックリストです。22個の質問に答えるだけの簡単な自己診断です。全ての質問に答えると、結果に沿ったアドバイスがもらえ、育児疲れの度合いを診断できますよ。
【参考】京都府 自己診断 子育てお疲れチェック
https://www.pref.kyoto.jp/kateishien/gyakutai_06check.html
状況によっては公共機関に相談しよう
育児疲れを実感していて、イライラや不安な気分を感じたときには、積極的に公共機関の育児相談を利用しましょう。各市区町村の保健センターや児童館では、随時育児相談を実施しています。迷ったらまずは連絡してください。
育児相談では子どもの発達だけではなく、保護者の方の育児の悩みや不安を相談できます。児童館には保育士がいるので、子どもとの遊び方や関わり方のアドバイスをもらえます。
一人で悩まず、人と話すことでリフレッシュにもなりますよ。
ワンオペ育児を乗り越えるポイント
ワンオペ育児を乗り越えるためには、公共機関で相談するだけではなく、普段の生活から少しずつ変えていく必要があります。ワンオペ育児を乗り越えるポイントを見ていきましょう。
家族の過ごし方を見直す
まずは家庭の状況を見直す必要があります。
パートナーに協力を求める
パートナーが育児に協力的でない場合は、育児の大変さや自分が負担に感じている状況を正直に話し、協力を求めましょう。パートナーは気付いていないだけかもしれません。
協力を求めるときには、具体的に協力してほしい内容を伝えるとよいですね。漠然と「育児に協力して」と言うのではなく、「夕食を作っている間に子どもをお風呂に入れてほしい」「休日はまとめて家事をしたいから、公園に連れて行ってもらいたい」など、具体的に伝えると分かりやすいですよ。仕事が多忙で家にいる時間が短い場合は、休日にオムツ替えや子どもと遊んでもらえるだけでも負担は軽減されます。
一人の時間を作る
子育て中は、一人の時間がなかなか作りづらいものです。しかし、短時間であっても一人の時間を作ることは重要です。
パートナーが休日に子どもを外に連れて行ってくれれば、一人の時間ができます。それが難しい場合には、他の家族がリビングにいる間に10分でも20分でも寝室にこもり、一息つく時間を設けましょう。少しの時間であっても誰とも関わらない時間は、気持ちのリフレッシュになりますよ。
家族での楽しみを作る
毎日の育児と家事で、どうしてもイライラしたり疲れがたまります。そんなときには、あえて家族で出かける計画を立ててみましょう。日常とは違う楽しみがあると、子どもが喜ぶだけではなく、自分自身もリフレッシュできます。その日はできるだけパートナーを頼り、子どもと関われるよう手助けをしましょう。パートナーの育児参加のきっかけづくりになります。
家事をスリム化する
思い切って家事をスリム化しましょう。全て自分で完璧に行おうとする必要はありません。家事をスリム化する方法を見ていきましょう。
家事代行を使う
家事代行とは、有料で家事を代わりに行ってくれるサービスです。掃除や洗濯、料理など、依頼した家事を引き受けてくれます。育児で忙しい中、家事を代わりに行ってもらえたら、生活に余裕ができますね。
有料なので毎日というわけにはいきませんが、仕事が忙しい時期や自分の時間が欲しいときに活用するのもいいでしょう。
食事は手作りでなくてもよい
料理は負担が大きい家事です。特に共働きの場合は、夕方保育園に子どもを迎えに行き、急いで帰宅して夕食を作って…。目の回るような忙しさです。専業主婦であっても、他の家事をこなしながら子どもの世話をして、子どもが疲れて機嫌が悪くなってくる夕方に夕食作りを始めるのは大変です。
食事は毎日手作りが理想という方も多いと思いますが、無理をしなくても大丈夫です。ときには、おそうざいを買ってきたり外食でもよいのです。栄養バランスのとれた食事を配達してくれるサービスもありますね。手作りではなくても、お父さんやお母さんと一緒に食卓を囲むことが、子どもの心を豊かにしてくれます。
掃除のハードルを下げる
掃除は細かいところまでこだわると、いくらでも時間がかかってしまいます。ワンオペ育児で時間がない中、完璧に行うのは不可能です。育児中は割り切って、掃除のハードルを下げるとかなり気持ちが楽になりますよ。
たとえば、毎日の掃除は5分間と決めて、フロア用ワイパーやモップを使って、床に落ちたほこりを拭くだけでも、だいぶ部屋がきれいに見えます。棚や家具のほこりは、ハンディモップをいつでも使える場所に置いておき、気になったらさっと拭くだけでも十分です。
「掃除をするための時間を設ける」と考えると負担になります。すみずみまできれいしようと考えず、「気付いたら拭く」を続けていくと、きれいな部屋を保つことができますよ。
子どもと一緒に家事をする
子どもに家事を手伝ってもらうと余計に時間がかかる、と考えるかもしれません。しかし、親といる時間が長い小さい頃こそ、一緒に家事をやってみましょう。
ワンオペ育児だと、家事の最中に子どもから「遊んで」と言われ中断してしまう。もちろん遊んであげたいのですが、それでは家事が進みません。
そんなときこそ、子どもと一緒に家事がよいのです。子どもにとっては、家事も遊びの1つ。洗濯物を畳んだり、料理で野菜をちぎったりするくらいは、2〜3歳の子どもでも十分にできます。畳み方がぐちゃぐちゃでも、野菜が大きくてもそこは目をつむりましょう。
お母さんやお父さんの近くにいられて、できたことをほめてもらえれば子どもは大満足。子どもの一緒に遊ぼうという要求に答えながら家事を行うよりも、よほど家事が早く終わります。
育児を一人で抱えない
ワンオペ育児は、育児を一人で抱えてしまいがちです。子どものために頑張ることはすてきですが、常に子どもと向きあっている状況に息がつまり、追い詰められてしまうことも。ワンオペ育児の方こそ、上手にリフレッシュして、周りを頼ることが大切です。
友人とリフレッシュ
子どもと離れて仲のよい友人と会う時間は貴重です。独身時代のようにランチを楽しみながらいろいろな話をしたり、ショッピングをしたり…。同じように子育て中の友人なら、子育ての話で盛り上がったり、悩みも相談できるでしょう。
子どもを預けることが難しいという場合には、子連れで会うという方法もあります。子どもを遊ばせながらランチができる店や、ショッピングセンター内には子どもを預けられるサービスがある場合も。預けられないからといって諦めずに、子連れでも楽しめる場所をリサーチして、友人と有意義な時間を過ごし、リフレッシュしましょう。
一時保育やファミリーサポートの利用
保育園の一時保育や、地域のファミリーサポートを利用する方法もあります。一時保育やファミリーサポートは、働いていなくても利用が可能なので、リフレッシュのために利用してももちろん大丈夫!自分の体調不良など、もしものときのためにも登録をしておくと安心です。子どもと離れて自分の時間を持つことで、身体も心もリフレッシュし、子育てに余裕を持てるようになりますよ。
子育て仲間を作る
一人で育児をしていると、孤独感にさいなまれることもあるでしょう。そんなときに、同じように子育てをしている仲間がいると心強いものです。公園や児童館で同じ年ごろの子どもを持つ方に話かけてみたり、近所にママ友を作るなど、子育ての悩みを話せる存在を作りましょう。話を聞いてもらうことが、ストレス解消になりますよ。
子ども同士が遊べるようになると、もっといいですね。ただ、気が合わない方や話していると反対に疲れる場合には、かえってストレスがたまりますので、見極めるようにしましょう。
育児に完璧を求めない
育児を完璧にしようとすると、自分も疲れますし子どもも息が詰まってしまいます。休日は子どもと一緒に朝寝坊をしても、ときには一緒に遊んでいて夜眠るのが遅くなってしまっても大丈夫。完璧を目指してピリピリしている家庭よりも、少しくらい失敗しても笑顔が多い家庭の方が、子どもにとってよい環境です。
パートナーにも完璧を求めるのはやめましょう。普段育児に関わる時間が少ないと、自分と同じようにはできません。そこで文句を言ってしまうと、さらに育児に参加しなくなってしまうかもしれません。多少の間違いは多めに見て、パートナーのやり方も尊重しましょう。
まとめ
さまざまな理由から、ワンオペ育児をしている方も少なくありません。ワンオペ育児は育児や家事を全て自分一人で担っています。家庭にこもりがちなので孤独を感じやすく、頑張り続けていると身体を壊してしまいます。
ワンオペ育児を乗り越えるためには、まずはパートナーや家族に相談をしましょう。自分の思いや状況を伝えれば、パートナーが変わってくれる場合もあります。
そして、全てを完璧に行おうとせず、周囲に頼りながら、頑張りすぎない育児を目指しましょう。お父さんやお母さんが笑顔でいてくれることが、子どもにとって一番よい環境です。