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保育士のひきだし

2020.03.13

主任保育士(保育士リーダー)の役割と仕事内容。気になる給与についても解説

主任保育士は、園長の補佐や保育士をまとめる役割を担う保育現場のリーダーです。保育園を円滑に運営し、より良い保育を子どもたちに提供するためには、なくてはならない存在です。主任保育士には、どうすればなれるのでしょうか?ここでは主任保育士へのキャリアアップを目指す人に向けて、給与や仕事内容についてご紹介いたします。

主任保育士の役割と心構え

主任保育士には、一般の保育士とは異なる役割があり、主任保育士として働くための心構えが必要です。詳しく見ていきましょう。

役割

まずは、主任保育士の役割をご紹介いたします。

園長のサポート

主任保育士には、保育園の責任者である園長のサポートを行うという重要な役割があります。より良い保育や運営が行われるために、現場の様子を園長に報告し、協議をしたり、必要な場合には会議を設けます。また、園長が不在の際には、園長代理としての責任を負います。行政対応に立ち会うこともあるでしょう。そのため、園長との連携を密にとり、園の運営を常に把握しておく必要があるのです。現場の保育士は、まずは主任保育士に報告や相談するので、保育士と園長をつなぐ役割も担っています。

担任は持たない現場のリーダー

主任保育士は、保育の現場の責任者です。基本的には、担任は持たずにフリーで動きながら、現場の様子を把握し、臨機応変に対応することが求められます。例えば、保育士の設置人数は足りていたとしても、子どもの様子によっては手が足りなくなることもあるでしょう。そんなときには、保育士の人数を調整したり、自ら保育に入るなどして対応します。また、他の保育士にアドバイスをしたり、保育内容の提案をすることもあります。主任保育士には現場の様子を即座に把握し、判断できる豊富な保育経験が必要です

保育士の相談役

主任保育士は、現場の保育士にとって良き相談役です。保育内容や子どもとの関わり方に悩んでいる保育士がいたら、アドバイスや指導を行います。また保育は保育士同士の連携が不可欠です。個人的に話をしたり、話し合いの場を設け、人間関係が円滑に保てるように対応します。常に保育士の様子に気を配り、日頃から信頼関係を築くことも主任保育士の大切な役割です

心構え

主任保育士として働くための、心構えについて見ていきましょう。

保育士全体のリーダーであるという自覚

主任保育士は、園で働く保育士全体のリーダーです。保育士は、何かあったときには一番に主任保育士を頼りますし、保護者の方も「主任保育士」として見ています。主任保育士として、保育士に指導やアドバイスを行うためには、保育経験に裏付けされた豊富な知識が必要です。また、保護者の方から相談を受けることも少なくありません。現場のリーダーとして、保育士や保護者の方に適切なアドバイスができるように、常に知識を求める姿勢が求められます。また、担任を持たないことがほとんどですが、積極的に保育に入り、保育経験を現場の保育士に伝えることも大切です

重責を負う自覚

主任保育士は、一般企業では管理職にあたります。園の管理職として、他の保育士以上に責任を負う立場です。園長が不在時に子どもにけがが起これば、担任とともに保護者の方に説明や謝罪を行いますし、保護者の方とのトラブルが起きたときには、現場の責任者として対応をします。現場の責任者として、子どもたちだけではなく、保育士を守るという責任もあるのです。主任保育士を任せられたら、一般の保育士以上に責任を負う立場であることを自覚しましょう。

園長と保育士のかけ橋となる自覚

主任保育士は、園長と保育士とのかけ橋の役割が求められます。運営者である園長と現場の保育士との意見の食い違いから、板挟みとなることもあるでしょう。そんなときにも、現場の意見をくみ、円滑な運営ができるよう努めなくてはなりません。園長と現場の保育士、双方の立場や現状を理解しながら、より良い関係を築くための心構えが大切です。

主任保育士の仕事内容

主任保育士には一般の保育士とは異なる仕事が多くあります。その仕事内容についてご紹介いたします。

園行事の企画運営

保育園には、さまざまな行事があります。行事が滞りなく安全に開催されるためには、保育士の入念な計画と準備が必要です。現場の責任者である主任保育士は、全ての行事を把握し、管理する立場にあります

  • 保育士が立てた行事計画を確認し、アドバイスや修正を行う
  • 園長に行事の概要を伝え、協議をする
  • 職員会議などで行事を議題として挙げ、保育士全員が共通理解できるように努める
  • スムーズな行事運営ができるように、全体に目を配り保育士に指示を出す

これらは全て主任保育士の仕事です。子どもたちと保護者、そして保育士にもより良い行事となるように、主任保育士が担う役割はたくさんあります。

保育カリキュラム等の作成サポート

保育士は、子どもの発達や興味に合った保育カリキュラムを作成します。それらの保育カリキュラムを確認し、適切なアドバイスとサポートを行うことも主任保育士の仕事です。特に、経験が浅い保育士には、保育カリキュラムの作成は手探りかもしれません。子どもの発達を知識として理解していても、実際の保育は想定外のこともたくさんあります。そんなときには、自分の経験を交えながら、より良い保育カリキュラム作りの手助けをする必要があります。

保育士の相談対応

一般の保育士にとって、主任保育士は保育や人間関係について相談できる存在です。子どもとの関わり方、職場の人間関係など、その相談内容は多岐に渡ります。主任保育士は、保育士の相談を真摯に受け止め、解決に向けて話し合いを重ねたり、相談内容によっては他の保育士も含めて意見交換できるような場を設けましょう。常日頃から保育士の様子を把握し、相談しやすい雰囲気作りを行うことも大切です。保育士が気持ちよく仕事ができ、安心して子どもと関わることができるように、保育士の話に耳を傾けるようにしましょう

園児の全体把握と園児への対応

主任保育士は、クラス担任を持つことは少ないですが、子どもとの関わりが少ないわけではりません。むしろ、保育園に通う全ての子どもの様子を把握し、対応する必要があるのです。園児一人ひとりについて把握できていなければ、保育士への保育指導はできません。いつどのクラスの保育に入っても、対応ができるように、常に子どもの様子を把握し、対応できるスキルを身に付けておくことが大切です。

保護者の相談対応

保護者の方にとって、主任保育士は園長よりも身近な相談相手になるでしょう。特に、クラス担任の保育に不満を持っていたり、クラス担任に相談がしづらい場合には、主任保育士に相談することが多くなります。保護者の方から相談を受けたときには、まずは相談内容を真摯に受け止めることが大切です。クラス担任への意見は、クラス担任からも話を聞き、改善点を見出します。保護者の方が安心できるよう配慮しつつ、保護者の方とクラス担任との関係改善の手助けをしましょう。

勤務シフトの作成

保育士はシフト制で勤務をします。勤務シフトを管理するのも、主任保育士の大切な仕事です。子どもの人数に合わせた保育士人数の確保や、有給や振休の調整を行いながら、安全な保育ができるようシフトを管理します。また、早番や遅番が続かないよう配慮も必要です。保育士が無理なく働けるための、勤務時間や配置を考えるのは簡単なことではありません。園全体の動きを把握し、子どもや保育士の様子を理解する力が求められます

主任保育士へのキャリアアップ

主任保育士にキャリアアップするためには、どんな条件が必要になるのでしょうか。またキャリアアップによる待遇の違いもご紹介いたします。

主任保育士の給与相場

まずは、主任保育士の給与の待遇を見ていきましょう。

主任手当がつく

主任保育士に就任すると、多くの園で給与のほかに主任手当が支給されます。手当額の規定はなく、3万円から5万円に設定している園が多く見られます。主任手当は園によって差があるので、必ず確認をしておきましょう。

私立保育園の平均年収5075592

厚生労働省の調べでは、私立保育園で働く常勤の主任保育士の平均月額は、賞与込みで422966円という結果で、年収に換算すると5075592円です。同じく厚生労働省のデータによると、私立保育園で働く保育士の平均月額は、301823円で平均年収は3621876円。約150万円の差がみられます。主任手当の他に、経験年数を考慮した昇給もあり、責任の重い主任保育士の仕事に対する評価といえるでしょう。

【参考】厚生労働省 令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果

20年程度の経験年数が求められる

令和元年の厚生労働省の調べによると、私立認可保育園で働く主任保育士の平均勤続年数は、21.7年でした。多くの主任保育士が、20年の勤務経験があるということです。保育士をまとめ、園長補佐としての役割を担う主任保育士には豊富な保育経験が役立つ場面が多くあります。例えば、保育士や保護者の方から相談を受けた場合には、保育経験に裏付けされたアドバイスが信頼されるでしょう。これまでの経験は、主任保育士の業務にも存分に活かされます。

【参考】厚生労働省 令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果

副主任保育士からステップアップ

厚生労働省は、保育士確保のための処遇改善の一環として、保育士のキャリアアッププランを構築しました。キャリアアッププランとは、職務分野別リーダー、副主任保育士、専門リーダーという新しい役職を目指すものです。まず主任保育士へのステップアップとして副主任保育士の経験が必要です。副主任保育士について見ていきましょう。

経験年数7年以上

副主任保育士を目指すためには、おおむね7年以上の経験年数が必要です。また、園における副主任保育士の人数は専門リーダーと合わせて、園長、主任保育士を除く保育士全体のおおむね3分の1であることという規定もあります。副主任保育士を目指す経験年数7年以上の保育士が多い場合には、副主任保育士へのキャリアアップが難しいかもしれません。

職務分野別リーダーを経験

副主任保育士になるためには、職務分野別リーダーの経験が必要です。職務分野別リーダーとは、3年以上の経験年数があり、担当する職務分野の研修を修了している保育士です。乳児保育や幼児教育、障害児保育など6つの研修分野があります。副主任保育士になるためのステップアップとして、まずは職務分野別リーダーを経験できれば、副主任保育士へのキャリアアップに挑戦できます。

キャリアアップ研修修了

経験年数や職務分野別リーダーの経験など、副主任保育士になるための条件を満たした保育士は、副主任保育士が受けるべき研修を修了することで、副主任保育士の役職に就くことができます。必須研修はマネジメント研修です。その他に定められた研修の中から3つ以上の分野を修了する必要があります

  • 乳児保育
  • 幼児教育
  • 障害児保育
  • 食育、アレルギー
  • 保健衛生、安全対策
  • 保護者支援、子育て支援

これらの6つの研修の中から、3つ以上受講する研修を選び修了しましょう。研修修了までの全ての条件を満たすと、副主任保育士として認められます。

【参考】厚生労働省 保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ

同じ園で経験を積む

主任保育士に就任している保育士の平均勤続年数からも分かるように、同じ園で経験を積むことが、主任保育士へのキャリアアップを目指す一般的な方法です。しかし、現在の主任保育士が退職することで次の主任保育士が選ばれることが通常なので、勤続年数の長い保育士が多い場合は、なかなかキャリアアップができない実情もあります。

主任保育士として転職

現在勤めている園では、主任保育士を目指すことが難しい場合には、主任保育士を求めている園へ転職する方法もあります。新規保育園が多く開設される中で、20年程度という経験年数を積んでいなくても、保育のスキルや知識が十分身に付いており、高い意欲があれば、主任保育士を目指した転職も一つの方法です。また、既存の保育園であっても、主任保育士候補がいない場合には、外部から主任保育士を雇用することも少なくありません。自分の保育観や勤務条件に合う転職先を選び、主任保育士へのキャリアアップを目指すという選択肢もありますよ。

まとめ

保育園で働く主任保育士についてご紹介いたしました。主任保育士は一般の保育士とは異なる役割が多く、責任も重い役職です。しかしその分、保育士や保護者の方に信頼してもらえたときには大きなやりがいを感じますし、園全体の子どもたちと関わることができるというメリットもあります。一般の保育士からのキャリアアップを目指す場合には、まず副主任保育士を目指すのがおすすめです。自分に合ったキャリアアップの道筋を選べるよう視野を広く持つと良いでしょう


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