おやこのひきだし
2020.01.23
なかなか寝てくれない…寝ない子どもを早く寝つかせるコツ
「子どもがなかなか寝ない」「寝たと思ったらすぐ起きる」と、寝かしつけに悩む親御さんは多いでしょう。また、子どもの寝つきが悪いと「成長に関わるのでは?」と心配になってしまいますね。この記事では、子どもの一般的な睡眠時間と寝ない理由を解説し、対策とすぐに実践できる寝かしつけの方法をご紹介いたします。子どもが寝ないと悩んでいる親御さんは、さっそく今日の夜から試してみましょう!
子どもの一般的な睡眠時間
子どもの一般的な睡眠時間は以下の通りですが、必ずしも毎日同じように寝つくとは限らず、体質や日々の予定によっても異なるので、あくまでも目安です。
生後28日未満の新生児
1~4時間の睡眠と1~2 時間の目覚めを繰り返す生活で、1日の睡眠時間は合計で16~20 時間ほどです。昼夜の区別がないため、睡眠と目覚めのパターンは夜中も変わりません。
3カ月頃の乳児
3~4時間ほどまとまった睡眠を取るようになりますが、まだ睡眠と目覚めを繰り返す生活です。昼夜の区別はなく、1日の睡眠時間は合計で14~15 時間くらいです。
6カ月頃の乳児
6~8 時間ほどまとまって寝るようになり、だんだんと昼夜の区別がついてきます。2~4 時間の昼寝を1~2回取り、1日の睡眠時間は合計で13~14 時間ほどに減ります。
1~3歳の乳幼児
ほとんど夜間に睡眠を取るようになり、昼寝は1.5~3.5 時間ほどで1回に減ります。1日の睡眠時間は、合計で11~12 時間ほどです。
3~6歳の幼児
1日の睡眠時間は合計で10~11 時間ほどで、昼寝の時間はさらに短縮するか、昼寝をしない場合もあります。大人と同様に、睡眠のサイクルがおよそ90分に変化します。
【参考】厚生労働省 「未就学児の睡眠指針」
子どもが寝ないのはなぜ?
続いて、夜になっても子どもがなかなか寝ない理由をみていきます。
親の生活習慣
現代では、幼児の就寝時間が22時を過ぎる夜型の家庭が少なくありません。働く親のライフスタイルに合わせて夕食や入浴が遅くなり、一緒にテレビやスマホなどを見てなかなか寝る体制に入れないのが現状です。
また、ちょうど子どもを寝かせる時間に家族が帰宅し、遊び始めて寝ないというケースもあります。さらに、夜中のおむつ替えや授乳で突然電気をつけてしまうと、目が覚めて寝なくなることもあります。
親のストレスやイライラ
ストレスを抱えていると、だれでも言い方がきつくなったり態度が横柄になったりしますね。ストレスがたまった親の言動を見た子どもが不安を抱え、落ち着いて寝られないことも考えられます。また、「うるさいから早く寝て」「寝たらこれをやらなきゃ」などのイライラした気持ちや焦る雰囲気が子どもに伝わり、なかなか眠れなくなってしまうのです。
昼寝の長さとタイミング
長時間の昼寝をさせてしまうと、夜になかなか眠気がやってきません。昼食後に子どもが昼寝をしたときには、午後の3時くらいには起こしましょう。また、夕方以降に昼寝をさせると、体の内部の体温である「深部(しんぶ)体温」がいったん下がって本来の体のリズムが狂ってしまい、夜の睡眠にも影響が出ます。
普段と異なるお出かけ
遊園地やショッピング、旅行など、普段は行かない場所に出かけた日の夜はなかなか寝てくれないでしょう。日中の刺激で子どもの神経が興奮しているのです。また、電車や長距離のドライブなど、移動中の車内でいつもと異なるタイミングで寝たときにも、夜の寝つきが悪くなる可能性があります。
カフェインの影響
子どもがカフェインを含む飲み物を摂取すると、カフェインの作用により脳が興奮して寝られない場合もあります。カフェインは緑茶や紅茶、コーヒー牛乳、コーラ飲料などに含まれるので、小さい子どもは飲み過ぎに注意しましょう。
また、授乳中の母親がカフェインを摂り過ぎたときは、母乳に微量のカフェインが含まれ、間接的に赤ちゃんが摂取する可能性があります。国内では基準を設けていませんが、海外の機関では授乳中の1日あたりのコーヒーは2杯までとしているところもあります。
添い乳(そいちち)との関係は?
母親が赤ちゃんと添い寝しながら授乳することを「添い乳」と言います。添い乳は寝かしつけに便利ですが、子どもが何度も起きてしまうと心配する親御さんも少なくありません。しかし、子どもが寝ない原因は必ずしも添い乳ではないと考えられます。
月齢が低い乳児はまだ数時間ごとの眠りと目覚めを繰り返すので、何度も起きるのは自然な状態です。添い乳の赤ちゃんが目覚めて泣くのは、授乳のタイミングのほかに、「母親がそばにいない」と不安になることが理由だと考えられます。
寝ない子どもの対策とポイント
それでは、寝ない子どもに悩む親御さんに向けて、生活の改善策をご紹介いたします。子どもの睡眠には個人差がありますが、あまりにも不自然なときは専門家に相談しましょう。
生活時間を見直そう
私たちの体は、朝の光をしっかり浴びると、体のリズムを整える「体内時計」が正しく管理されます。また、朝の光によって夜に眠くなるホルモンの「メラトニン」の分泌がうながされ、およそ14~16時間後に眠くなるのです。生活環境にもよりますが、朝はできるだけ7時までの起床を心がけましょう。
なお、成長に必要なホルモンは、就寝してから数時間後の最も深い眠りに入ったときに分泌されることがわかっています。子どもが質のよい睡眠を取るためにも、早寝早起きを意識しながら家族で生活時間を見直してみてくださいね。
昼寝や授乳の時間を調整しよう
子どもの昼寝は長さだけでなく、寝るタイミングも見直してみましょう。子どもが夕方に眠くなる場合は、入浴をして気分転換をする方法もおすすめです。保育園に通っていて「昼寝が長い」「昼寝は必要ない」と感じるときは、保育士に相談してみてくださいね。
乳児は就寝する前の3時間は授乳を控え、寝る直前に与えるとスムーズに寝つきやすくなります。ただし、通常の食事は、就寝の3時間前くらいに済ませましょう。食事の後は胃腸の活動によって深い睡眠が得られない上に、目覚めているときよりも胃腸の働きが悪いことから、消化不良を引き起こす可能性があります。
昼間は体を使って遊ぼう
アクティブに過ごした日は、子どもの寝つきがよいと実感している親御さんも多いのではないでしょうか。未就園児の場合、天気がよい日は公園や散歩などに出かけ、外の世界にどんどん触れさせましょう。雨の日は、行き慣れた児童館や商業施設、お友だちの家などに遊びに行くといいですね。
自宅で過ごすときは、お遊戯やダンスで体を動かしたり、新聞紙、タオル、風船などで遊びましょう。室内で運動するときは広いスペースを用意し、けがをしないようにしてくださいね。
ルーティンを作ってみよう
子どもがなかなか寝ないときには、睡眠までの「ルーティン」を決めてはいかがでしょうか。ある程度大きい子どもには、親が一方的に指示せずに「この後はどうしようか?」と考えさせましょう。子ども自身が決めたことは、比較的スムーズに取り組めるからです。
寝る前のルーティンの例は、次の通りです。①や②に歌や音楽を取り入れれば、さらに楽しく準備ができるでしょう。
- 8時になったら布団の用意、着替え
- 歯みがき・トイレタイム
- 読む絵本を選ぶ(〇冊まで)
- 布団に入って読み聞かせ
- 今日の楽しかったことのお話
- 消灯してお休みの抱っこ
- 就寝
1度決めたルーティンを同じ順番で続けると、子どもは徐々に「次は何をやる」と理解し、寝る心構えができます。ただし、体を激しく動かす遊びや、スマホなどの使用は脳が興奮するので、ルーティンには入れないようにしてくださいね。
寝る前はスマホを控えよう
スマホやパソコン、テレビなどのデジタル機器から出る光は、脳を刺激して興奮させます。寝る前の30分ほどは使用を避け、子どもが落ち着いて眠れるように環境を整えてあげましょう。
なお、寝かしつけ用のスマホアプリが多数ありますが、子どもが画面を見てしまうと寝ない原因につながるので、どうしても必要なときは音だけを聞かせるようにしましょう。
寝ない子どもに試してみよう!寝かしつけの具体例
ここまで、寝ない子どもに悩む親御さんに向けて、生活で改善できる点を挙げました。ここからはさらに掘り下げ、すぐに実践できる寝かしつけの具体例をご紹介いたします。
寝る部屋の環境を整えて
睡眠にふさわしい温度は、夏が25~26℃、冬は22~23℃くらいで、湿度は1年を通して50~60%くらいが理想です。部屋が乾燥しすぎるときには、加湿器の使用やぬれタオルを干してください。季節に合ったパジャマや布団を使うことも大切です。
なお、暗い寝室の方が眠りの質はよくなりますが、子どもが真っ暗な部屋を怖がるときには光が目に入らない場所で間接照明をつけてあげましょう。そのほか、隣の部屋の話声やテレビの音も落ち着いて寝られない原因になるので、気をつけましょう。
絵本やオルゴールなどの楽しみ
子どもに「これから布団で楽しいことがある」と思わせるのも、寝かしつけの工夫のひとつです。先述したルーティンに、絵本やオルゴール、ぬいぐるみや人形との会話など、子どもが好きなものを取り入れましょう。なお、読み聞かせの絵本は、子どもが気に入っているのであればいつも同じものでも構いません。
親御さんは忙しいと「早く寝かしつけたい」と思うかもしれませんが、少しの時間だけ子どもと一緒にゆったりと過ごし、成長のためにも安心して寝られる環境を整えてくださいね。
音楽やぬいぐるみできっかけ作り
ルーティンにうまく移行できないときには、子どもが反応しそうなきっかけを作ってはいかがでしょうか。準備をする時間に好きな音楽のアラームを設定したり、お気に入りのぬいぐるみやおもちゃが子どもに話しかける、これらが寝る準備のきっかけになります。
前もって「これが鳴ったらはじめるよ」「〇〇が話しかけたら用意しようね」と子どもに伝えておくと、気持ちの準備ができるかもしれません。
スキンシップで安心感を
小さい子どもは、何と言っても親のスキンシップによって心が安定します。子どもが寝ついた後に布団から出るとしても、いったん一緒に添い寝をし、抱っこをしたり手をつないだりして安心させてあげましょう。心臓の音や、呼吸のリズムを聞くと落ち着きます。
さらに、親が「今日も楽しかったね~」「また明日も遊ぼうね~」など言葉をかけてあげれば、子どもはリラックスして眠れるでしょう。
寝ない子どもには寝かしつけの工夫を
今回は、「子どもが寝ない」と悩む親御さんに向けて、子どもが寝ない理由と生活の対策、寝かしつけの方法をご紹介しました。生活環境や日中の過ごし方を工夫して、寝る前のルーティンもぜひお試しくださいね。寝かしつけは布団で心地よく眠れるように、子どもが安心できる環境を作ることがポイントです。