保育士のひきだし
2019.09.10
子どもと楽しむ保育園のハロウィン。事前準備や当日の出し物を紹介!
もともとは、宗教的な意味合いの強い行事として、ヨーロッパで始まったハロウィン。しかし、日本では季節のイベントとして、盛り上がりを見せています。保育園でもさまざまなねらいを持って、ハロウィンを取り入れる園が増えてきました。いつもとは違った雰囲気の中で仮装をして、イベントに参加する。そんなハロウィンは、子どもたちにとって楽しみな行事の1つです。
ハロウィンをより楽しい行事にするために、事前準備や子どもが喜ぶ出し物をご紹介いたします。
ハロウィンとは
ハロウィンとは、秋の収穫を祝うお祭りとして、ヨーロッパで始まった行事です。また、先祖の霊を迎え悪霊を追い出す、という宗教的な意味合いも強く、魔女や悪魔などの仮装には悪霊から身を守るという理由があります。
その後、ヨーロッパからアメリカに伝承され、宗教的な意味合いはほとんどなくなり、イベントとして楽しむようになりました。仮装をしながら「トリック・オア・トリート(何かくれるか、いたずらするか)」と言いながら近所の家を子どもが訪れお菓子をもらう、という現在のハロウィンの誕生です。
日本でも、仮装をしてパレードを楽しんだりお菓子を配ったりするイベントとして、定着しつつあります。
保育園でハロウィンをするねらい
昨今、多くの保育園で行事としてハロウィンを取り入れています。では、保育園でハロウィンを取り入れることには、どんなねらいがあるのでしょうか?
友だちと協力しあって対人関係を築く
ハロウィンは、周囲の人と一緒に仮装をして盛り上がる。そんな楽しさが経験できるイベントです。保育園でハロウィンを取り入れるときにも、友だちと一緒に仮装を考えたり飾りつけをすることで、協力して楽しい行事を作り上げるという経験ができます。1人では難しい飾りつけも、友だちと協力することですてきな装飾に仕上がるという経験を通して、対人関係を築く方法を学ぶことができますよ。
工作やお絵描きなどの表現力
ハロウィンの楽しみの1つが、当日に向けて好きな仮装や装飾を考え、作り上げることです。ぜひ、子どもたちが自分でアイデアを出して、作り上げる仮装や装飾を取り入れましょう。仮装はクラスごとに「魔女」「おばけ」などテーマを決めても良いですが、どんな魔女にするのか、おばけにするのかは子どもの想像力と表現力に任せます。装飾には、子どもが描いたハロウィンにちなんだ絵を飾っても楽しいですね。
子どもが想像力を膨らませ、表現力を発揮できるよう、さまざまな材料を用意しておくと良いでしょう。
歴史や文化に触れる
日本では、宗教的な意味合いはほとんどないハロウィンの行事。しかし、行事の起源や元の意味合いを知ることは、歴史や文化への興味につながります。
子どもにも分かりやすいように、絵本や紙芝居などを使って、ハロウィンの由来を伝えることもおすすめです。
行事に関心を持つこと
ハロウィンは季節の行事として、日本で定着しています。そんな季節の行事に関心を持つことは、子どもの心を豊かにしてくれますよ。行事の存在を知り、関心を持つ良い機会ともなるでしょう。
地域との交流
園によっては、近隣の商店や他の保育園などを回って、お菓子を受け取るというイベントを取り入れている場合もあります。事前にお菓子を渡しておくことで、快くイベントの参加を引き受けていただける場合もあります。保育園にとって、近隣の方との交流を持つことは、大きな安心感につながります。ハロウィンに近隣の方との関わりを取り入れる場合には、地域との交流というねらいを持って行うと良いでしょう。
ハロウィンの準備
ハロウィン当日を思い切り楽しい1日にするためには、事前の準備が欠かせません。当日までに整えておきたい準備についてご紹介いたします。
保育園の飾り
まずは園内の飾りつけです。最近では10月に入ると町中がハロウィン一色になりますので、保育園でも10月に入った頃から、徐々にハロウィンの装飾を作り上げていくと良いでしょう。
魔法使いの飾りつけ
魔法使いは、ハロウィンでは定番の装飾です。子どもの年齢に合わせた製作として、取り入れても良いでしょう。
0〜1歳児は、保育士が黒い画用紙で作った魔法使いの帽子に、シールを貼ったり指スタンプでの飾り付けがおすすめです。2歳児になれば、クレヨンや絵具で自由に色を塗ることができます。黒い紙に色を付ける経験は少ないので、どんな色を使えば良いのかという学びにもつながりますよ。
3歳児クラスでは、毛糸や紙テープなどさまざまな材料を使って装飾を楽しんでみましょう。自分だけの魔法使いの帽子ができ上がります。
4〜5歳児クラスでは、魔法使いの絵を描いたり、立体的な帽子を作っても楽しいですね。子どもたちからアイデアを募りながら、どんな飾りつけが良いかを決めていきましょう。
かぼちゃランタンやおばけの切り絵
ハロウィンと言えば、かぼちゃをくり抜いて作る「ジャック・オー・ランタン」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
ジャック・オー・ランタンとは、かぼちゃをくり抜いて目と鼻と口を作り、キャンドルの日を灯した魔除けです。日本でも、ハロウィンのシンボルとして目にすることの多い装飾ですね。
保育園では本物のかぼちゃを使うことは難しくても、画用紙で簡単に作ることができます。
0〜3歳児では、保育士が作ったかぼちゃ型の台紙に、目と鼻と口のパーツを貼り付けて好きな顔を作ってみましょう。3歳児になれば、パーツを自分で切ることに挑戦しても良いですね。
4〜5歳児では、かぼちゃ型に自分で目と鼻と口をくり抜いてみましょう。2つに折ってくり抜くと、簡単に顔を作ることができますよ。切り絵の方法を学ぶこともできるので、おすすめです。
もう1つ、切り絵を使った装飾として、おばけの切り絵があります。
【作り方】
- 細長い紙をじゃばらに折る
- 手の部分を折り目でつなげた状態で、おばけの絵を描く
- 描いた絵に沿って切り抜く
- 手をつないだおばけの完成
4〜5歳児クラスになると、自分で作ることもできます。折り方を間違えると、手の部分がつながりませんので気を付けましょう。
ハロウィンリース
クリスマスのリースは定番ですが、ハロウィンも定番になりつつあります。さまざまな材料を使いながら、自由にリース作りを楽しみましょう。
まずは土台を選びましょう。厚紙や画用紙をリース型にくり抜いても良いですが、おすすめは紙皿。紙皿の真ん中をくり抜けば、簡単に土台が完成します。土台には、思いおもいに装飾を楽しみます。
クレヨンや絵具で色を塗ったり、毛糸を巻き付けても楽しいですね。また、どんぐりが落ちている季節ですので、散歩中に拾ったどんぐりを接着剤でつけたリースもおすすめです。季節を感じられるリースができ上がりますよ。どんぐりは事前に熱湯で消毒をして使うと安心です。
最後にかぼちゃやおばけなどのハロウィンにちなんだパーツを付ければ、すてきなリースが完成します。
子どもたちの仮装
ハロウィンイベントでは欠かせない仮装。いつもとは違った衣装を着ることで、子どもたちの気分も盛り上がること間違いなしです。子どもにおすすめの仮装をいくつかご紹介いたします。
魔女
魔女と言えばハロウィンの定番の仮装ですね。女の子だけではなく男の子にもおすすめです。必須アイテムは、黒い帽子と黒いマント。それぞれの作り方を見ていきましょう。
魔女の帽子
【材料】
- 黒い画用紙
- 装飾(シール、クレヨンなど)
- ゴムひも
【作り方】
- 画用紙を扇型に切る
- 円すいにして貼り付ける
- 円すいの下の部分に切り込みを入れる(つばの部分に貼り付けるのりしろになる)
- 画用紙を丸く切り、円すいの形に合うように真ん中をくり抜く
- 円すいののりしろ部分を丸くくり抜いた部分にはめて、貼り付ける
- 長さを合わせてゴムひもをつける(実際に子どもにかぶってもらって調節する)
装飾は立体的に組み立ててからでも可能ですが、0,1,2歳児クラスでは画用紙が平面の状態で装飾をしてから組み立てた方が良いでしょう。
魔女のマント
【材料】
- 黒いポリ袋
- 太めのリボン
- 装飾(キラキラシールなど)
【作り方】
- ポリ袋を横にして、上の部分をリボンの太さに合う長さに折る
- 折り曲げた部分をテープで止める
- ポリ袋にシールなどで装飾をする
- 折り曲げて作った穴に、リボンを通す
折り曲げた部分は襟になります。子どもが身に付ける時に、リボンの両端を引っ張って結ぶと襟の部分がクシャっとなりかわいいですよ。
黒猫
黒猫もハロウィンの仮装では、よく登場します。耳としっぽをつけてかわいい黒猫に変身しましょう。
黒猫の耳
【材料】
- 黒画用紙
- 輪ゴム
【作り方】
- 黒い画用紙で三角の耳を作る
- 黒の画用紙を細長く切り、2つに折って貼り付け丈夫にする(頭に付ける部分になる)
- 2の両端を折って輪ゴムを付け、ホチキスで止める
(ホチキスは必ず外側になるように止め、テープで芯の部分を覆う)
- 三角の耳を3に付ける
台紙となる細長い画用紙を、子どもの頭囲より少し小さめに作ることがポイントです。輪ゴムで調節することで、ちょうど良い大きさになりますよ。
黒猫のしっぽ
【材料】
- 黒いポリ袋
- 綿
- リボン
【作り方】
- ポリ袋を細長く切り、袋状になるようにテープで止める
- 中に綿を詰める
- 入り口を止め、2つに折る
- 3で2つに折った部分にリボンを通す
- 子どもの腰の部分にリボンで結ぶ
リボンも黒や紺など目立たない色にすると良いでしょう。ハロウィン当日は、黒っぽい服で登園してもらえば、さらに黒猫らしくなりますよ。
おばけ
黒っぽい仮装が多い中で、白いおばけの仮装は目をひきます。子どもの製作も取り入れながら楽しみましょう。
おばけのお面
【材料】
- 白い画用紙
- 黒い画用紙
- 輪ゴム
【作り方】
- 白い画用紙をおばけの形に切り、子どもにおばけの顔を描いてもらう
(目や口など顔のパーツを作って貼り付けてもOK)
- 黒い画用紙を細長く切って2つに折り、台紙を作る
- 2を子どもの頭囲に合わせ、輪ゴムを付ける
- 3に子どもが作ったおばけを貼り付ける
おばけの洋服
【材料】
- 白いポリ袋(小さめのもの)
- ビニールテープ(白・黒・赤)
【作り方】
- 白いポリ袋に、子どもがかぶれるように首と手の部分を切り取る
- 切り取った部分がやぶれないように、白いビニールテープで補強する
- 黒と赤のビニルテープでおばけの目と口を作り、ポリ袋に貼る
ポリ袋の裾を波型やギザギザに切ると、さらにかわいいですよ。製作で作ったお面は、当日まで壁面製作として飾ってから仮装に使っても良いでしょう。
ハロウィンのお菓子
ハロウィンと言えば、「トリック・オア・トリート」と子どもたちが言いながらお菓子をもらうイベントが定番ですよね。保育園でも子どもたちにお菓子を配り、ハロウィンを盛り上げたいところです。
お菓子を用意する時には、アレルギーの有無に注意しましょう。市販のお菓子に表示が義務付けられているアレルギー物質以外にも、アレルギーを引き起こす物質はあります。普段の給食やおやつに使用していないお菓子を配る場合には、必ず販売元に確認をすることが大切です。
ハロウィンを盛り上げるゲームや出し物
ハロウィン当日には、子どもの仮装以外にも出し物やゲームを用意すれば、さらに盛り上がりますよ。おすすめの出し物をご紹介いたします。
保育士の仮装
ハロウィン当日には、ぜひ子どもだけではなく保育士も仮装をしてみましょう。いつもとは違った先生たちの姿に、子どもたちが盛り上がること間違いなし!それぞれ違った仮装を用意しても良いですし、皆で合わせて作っても楽しいですね。
あまりに本格的な衣装を用意してしまうと、子どもたちが怖がる恐れがありますので、気を付けましょう。
ビスケットなどのお菓子配り
ハロウィンの定番イベントと言えば、お菓子配りです。園内を「トリック・オア・トリート」と言いながら回りお菓子をもらう、それだけでも子どもたちは大喜びです。紙コップにハロウィンの装飾をして、手作りのお菓子バッグを作っても楽しいですよ。
また、近隣の環境が良い場合には、園外でのハロウィンパレードもおすすめです。近隣の商店や他の保育園などにお菓子配りをお願いすれば、地域との交流の一環ともなります。お菓子は事前に園側で用意し、依頼するようにしましょう。
園外でハロウィンパレードをする時には、個人情報の問題もありますので、写真を撮られることのないように注意して見守ることが大切です。
ハロウィンに関する絵本や紙芝居
ハロウィンを楽しみに待つという雰囲気を作るためには、保育の中にハロウィンに関する絵本や紙芝居の読み聞かせを取り入れることが効果的です。当日だけではなく、飾りつけが始まったらぜひ取り入れてくださいね。
ハロウィンの由来が分かりやすく描かれている絵本から、仕掛け絵本まで子どもの年齢や興味に合った絵本を選びましょう。
かぼちゃ探しゲーム
保育室でのイベントにおすすめなのが、かぼちゃ探しゲームです。ルールは簡単!画用紙で作ったかぼちゃを保育室のさまざまな場所に隠し、時間内に何個探し出せるかを競います。
乳児クラスではわかりやすい場所に隠し、見つけられたことを楽しめるようにしましょう。
幼児クラスでは、保育園全体を使ったかぼちゃ探しもおすすめです。かぼちゃの場所を示す地図を作り、グループごとに地図を見ながらかぼちゃを探します。全部見つけられたら景品にお菓子をもらえるなど、お菓子配りと組み合わせれば、ますます盛り上がりますよ。
当日気を付けるポイント
保育園でハロウィンを取り入れることには、さまざまなねらいがあります。しかし、1番大切なことは子どもが楽しめるイベントにすることです。乳児クラスでは特に、いつもとは違った雰囲気に泣き出してしまったり、仮装を嫌がることも少なくありません。そんな時には無理をせず、子どもの様子に合わせて臨機応変に対応しましょう。
子どもが笑顔で参加できることを、最優先に考えてくださいね。
まとめ
保育園でのハロウィンについて、ご紹介いたしました。日本中でハロウィンという行事が定着する中で、ハロウィンを行事として取り入れる保育園も増えてきています。
まずは保育士がハロウィンという行事と園で取り入れるねらいについて、よく理解することから始めましょう。ねらいを把握することで、行事がより有意義なものとなります。そして、準備や当日のイベントを子どもと一緒に楽しみましょう。保育士が楽しむことで、子どもたちにも楽しさが伝わりますよ。