保育士のひきだし
2019.06.25
保育士が仕事でストレスを感じることと解決するための方法
保育士は人との関わりを仕事とする職業です。子どもとの関わりだけではなく、保護者の方との関わりや複数担任制では欠かせない保育士間の関わりなど。多くの人との関わりの中で関係がうまくいかず、ストレスを感じることも少なくありません。また、仕事量の多さや体力面、責任の重さもストレスの一因となります。
ストレスを感じながらも頑張り続けることで、体調を崩してしまうことも。そうならないためには、まずストレスの原因を知り、改善策を探ることから始めましょう。
この記事では、ストレスの原因と改善案・ストレスを解消する方法をご紹介いたします。
保育士が抱えるストレスの種類と原因
保育士がどんな部分にストレスを感じているのか。その種類と原因、そして改善案も併せて見ていきましょう。
先輩保育士や同僚との関係
保育士1年目の頃や経験年数が浅いときには、先輩保育士との関係にストレスを感じるという声が多く聞かれます。
- 先輩が怖くて委縮してしまう
- 仕事内容について聞きづらい
- あいさつをしたり話しかけても無視されることがある
先輩を前にすると委縮してしまい仕事に支障をきたすことも…。
また、経験年数を積んでいくうちに先輩との関係に対するストレスは減っていき、後輩や同僚との関係に対するストレスへと変わっていきます。
- 後輩保育士に何度伝えても仕事を覚えてくれない
- 後輩保育士のミスを上司から責められてつらい
- 同僚との保育観の違いから保育がしづらい
周りの保育士との関係がうまくいかないと、保育がスムーズにいかずにストレスを感じる場面も多くなります。
【改善案】
先輩保育士との関係にストレスを感じる場合には、あえて自分から積極的に話しかけてみましょう。まずは笑顔であいさつから。午睡中などの時間があるときに、子どもとの関わり方など保育に関することをたずねてみても良いですね。
自分を頼ってくれる後輩は先輩保育士からするとかわいいものです。保育中の忙しい時間に話しかけるのは難しいので、手の空いている時間を見計らうことが大切。「かわいい後輩」という立場で関係が作れれば、コミュニケーションがとりやすくなりますよ。
それでも関係が築けないという場合には、主任や園長に相談することをおすすめします。
後輩や同僚との関係にストレスを感じている場合には、話し合う時間を設けましょう。後輩保育士に対しては、分からない部分をゆっくりと聞き出すことで適切な指導につながります。同僚との関係は、互いの意見を出し合い良さを認め合うことが関係作りの第一歩へとつながりますよ。
保護者との関係が難しい
保護者対応は保育士の大切な仕事の1つです。しかし、保護者の方にもさまざまなタイプの方がいますので、関係がうまくいかなかったりクレームが発生することもあります。子どもとの関わり以上に難しい保護者の方との関係作りに、ストレスを感じることも少なくありません。
【改善案】
保護者の方との関係作りの第一歩は、笑顔で気持ちの良いあいさつです。子どもに対しては、「○○ちゃんおはよう」と名前を呼んであいさつをすると、保護者の方にも好印象。
保護者の方の1番の関心は子どもをしっかりと見てくれているか、かわいがってくれているかということです。降園時には、園での子どもの様子を丁寧に伝えると、「良い先生」という印象を持ってもらえますよ。
クレームが発生してしまったときには、保護者の方の気持ちを受け止め真摯に対応しましょう。自分一人での対応が難しいと感じたときには、遠慮なく主任や園長に頼ることも大切です。一度クレームが発生したからと言って、関係改善が不可能なわけではありません。より一層丁寧に子どもの様子を伝え明るく対応することで、十分に関係を修復することは可能です。
子どもが言うことを聞いてくれない
保育士は子どもとの関わりのプロですが、いつでも悩みや迷いがなく子どもと関われるわけではありません。むしろ真剣に関わっているからこそ、子どもへの対応に悩むことも。
「子どもが言うことを聞いてくれない」という状況も、そんな悩みの一つです。
- 活動内容を伝えたいのに聞いてくれない
- 話を聞かない子どもが多くクラスがまとまらない
- 危険なことなどを注意してもやめようとしない
話を聞いてくれないことでけがや事故につながることは絶対に避けたいですし、日々の保育の中で大きなストレスを感じることも。
【改善案】
まずは、子どもがどうして言うことを聞いてくれないのかを考えてみましょう。言うことを聞いてもらおうという思いが強すぎて、常に大声で話している状態になってはいないでしょうか?常に大声で話していると本当に伝えたい場面で伝わりません。
活動内容を伝えたい、子どもが話を聞いてくれなくてクラスがまとまらないという場合
には、話を聞ける雰囲気を作ることが大切です。
- 手遊びをする
- ピアノ伴奏つきで歌をうたう
- 絵本や紙芝居、ペープサートなどで子どもの注意を引く
まずは子どもに注目してもらいましょう。活動内容の導入となるような歌や絵本が選べるとより良いですね。子どもの気持ちが保育士に向いたところで話を始めれば、大声を出さなくても落ち着いた雰囲気で聞いてくれますよ。
けがや事故につながるような危険がある場合には、大声を出してでも止める必要があります。「危ない」「止まって」と短く分かりやすい言葉で。その後子どもの目線になり、どうして危ないのか、どうしていけないのかを真剣に伝えるようにしましょう。
友達同士でのトラブルがあったときにも同じです。けがにつながりそうなときには、まずその状態を止めます。その後、真剣に話をすると効果的。保育士の真剣さは必ず子どもに伝わります。
子どもは学習途中ですので何度も同じことを繰り返しますが、「また同じことをして…」という気持ちはぐっとこらえて、何度でも繰り返し伝えてあげてくださいね。
勤務時間が長い
保育士の仕事はシフト勤務が多いですが、勤務中に仕事が終わらないと残業をせざるを得ないことも。特に行事前は、勤務中だけでは準備が終わらず残業続きという人も少なくありません。
日々の残業で勤務時間が長く、プライベートな時間が確保できないという状態は、身体的にもつらく精神的にも大きなストレスとなります。
【改善案】
勤務中に仕事が終わらず残業ばかりという場合には、仕事の優先順位をつけることが大切です。優先順位の高い仕事から先に終わらせ、まだ期限に余裕がある仕事はひとまず後回しにします。優先順位の高い仕事が終わったら、思いきって残業をせずに帰る日を作ってみましょう。残業せずに帰る日を作ることでストレスが軽減され、残業をしているときよりも仕事の効率が上がる場合もありますよ。
早く帰宅できたときには、自分の好きな時間を思い切り楽しんでくださいね。
身体的な重労働
保育士は体力勝負の仕事です。子どもを抱っこしたり、子どもと一緒に走り回ったり。女性中心の職場ですので力仕事もこなします。また、仕事量の多さに体力的なつらさを感じることも。日々の重労働でからだが疲れると気持ちにも余裕がなくなり、ストレスを感じることも少なくありません。
【改善案】
保育をする中でからだを動かさないということは難しいのですが、工夫次第では負担を軽減することはできます。例えば、体力的なつらさを感じたらからだに負担の少ない活動を取り入れる。室内で座って遊べる活動や、戸外では虫探しなどの自然に触れる活動も良いですね。子どもはからだを動かす遊びばかりが好きなわけではありません。保育士と一緒になって、ゆっくりと過ごす時間も子どもたちは大好きです。
帰宅後はゆっくりとお風呂につかってマッサージをするなど、自分のからだをいたわってあげてくださいね。
給料が安い
保育士は給料が安いと言われることが多くあります。実際に、子どもの命を預かる責任と仕事量を考慮すると、仕事内容に給料が見合っていないと感じている保育士は少なくありません。給料の額は生活に直結しますので、「こんなに頑張っているのに給料が上がらない」という思いは、大きなストレスとなることも。
【改善案】
給料を上げるためには、働いている園でキャリアアップを目指すか、転職するかの2つの方法があります。キャリアアップを目指す場合には、主任や園長を目指すこととなります。
また、保育士の処遇改善の一環として新しく誕生した、副主任保育士や専門リーダーなどの役職を目指すことで処遇改善が受けられることも。
どの役職を目指す場合にも、まずは保育士としてのキャリアを積み、周囲に認められることが大切です。しかし、ベテラン保育士が多い職場ではキャリアアップの機会が少なく、給与アップが望めない場合も。そんなときには、思い切って、給与条件が良い園への転職を目指すという方法もあります。
ストレスの解消法
多くのストレスを抱える保育士の仕事。仕事のやり方を工夫するなど、ストレスの原因を改善することも大切ですが、改善しようと努力しても全てのストレスがなくせる訳ではありません。
原因の改善とともに、上手にストレスと付き合い日々の生活の中で解消することも大切です。すぐにでも取り入れられるストレス解消法をご紹介いたします。
一人で悩まず相談する
ストレスの原因について一人で悩んでいると、結局解決策が見つからずにさらに気持ちが落ち込んでしまうことも。そんなときには、遠慮せずに周りの人に相談しましょう。家族や友人、職場の同僚など、話を聞いてもらうだけでもすっきりとした気持ちになり、ストレスが軽減されることもあります。特に、他の園で働いている学生時代の友人は貴重な存在です。他の園のやり方を聞くことで、思わぬ解決策が見つかる場合もありますよ。
泣ける映画やドラマを見る
泣くことでおさえていた感情を開放し、ストレスを解消するという方法があります。実際に思い切り泣いたらなんだかすっきりしたという経験がある方も多いのではないでしょうか?
しかし、子どもの頃に比べて大人になると泣く場面は急激に少なくなります。そんなときにおすすめなのが、泣ける映画やドラマを一人で見ながら思い切り泣くことです。誰に気兼ねすることなく思い切り涙を流すと、泣いた後は気持ちが晴れたと感じることができますよ。
運動をする
適度な運動でからだを動かすことは、気持ちをリフレッシュさせてくれます。寝る前のストレッチや休日のウォーキングなど、無理のない程度で十分です。少し汗ばむ程度の軽い運動でからだをほぐし、からだも気持ちもリフレッシュしましょう。
おいしいものを食べる
いつでも気軽にできるストレス解消法と言えば「おいしいものを食べる」こと。おいしいものを食べるとおなかだけではなく気持ちが満たされ、満足感を得ることができます。「おいしい」という幸せな気持ちを感じることで、ストレス解消にもつながるのです。
好きなお菓子やデザートを買うだけでもすぐにできる、気軽さもうれしいですね。
旅行をする
連休が取れたら、思いきって旅行を計画してみましょう。家族や友達と一緒に行く旅行も楽しいですが、一人旅もおすすめです。非日常を味わうことで日々のストレスを忘れ、リラックスして過ごすことができますよ。
ただ、いつもとは違う環境の中では疲れも感じますので、旅行の翌日は休みという状況がベストです。
カラオケに行く
ストレスがたまってなんだか叫びたい気分。そんなときには、カラオケがおすすめです。好きな歌を大声でうたうと、イライラした気持ちから解放されリフレッシュできますよ。歌うことで唾液の量が増え、ストレスの値を示すコルチゾールというホルモンが軽減されるという研究結果もあります。
友達を誘ってワイワイ楽しんでも良いですし、一人カラオケで自分の好きな歌を思い切り歌うのもおすすめです。歌い終わったあとは、ストレスが軽減されているはずですよ。
ショッピングを楽しむ
物を買うことは、気持ちを満たしてくれます。ストレスで息詰まっているときには外に出て、毎日頑張っている自分へのご褒美として、ショッピングを楽しんでみましょう。好きなお店を見て回るだけでも、嫌なことを忘れさせてくれますよ。
ゆっくりとお風呂につかる
毎日の忙しさに追われて、シャワーで済ませてしまうという方も多いかもしれませんが、忙しくて疲れているときこそ、ゆっくりと湯船につかっての入浴がおすすめです。
お湯につかると、からだの疲れを癒やしてくれるだけではなく、副交感神経の働きで心もリラックスさせてくれます。お湯の温度は38度から40度くらいが最適。熱すぎると交感神経の働きが活発になり、リラックス効果が軽減してしまいます。
お気に入りの入浴剤やアロマオイルなどを使うとさらにリラックス効果が高くなり、ストレス解消につながりますよ。
どうしても今の園で働き続けていく自信がない
ストレスの原因を探り改善策も試してみた。自分なりのストレス解消法も工夫してみた。それでも日々のストレスがひどく、今の園で働き続けていく自信がないという場合には、他の保育園へ転職するという選択肢もあります。
働く園によって、人間関係も仕事量も給与額も違います。転職をすることで、ストレスが大幅に減少する可能性もあるのです。
特にストレスで体調に異変を感じているという場合には要注意。転職も視野に入れ、自分のからだを1番に考えた働き方を探しましょう。
まとめ
ストレスを感じる原因の多い保育士の仕事。ストレスを解消するためには、原因の元を改善する工夫と自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
忙しい仕事の中で、自分のからだや心のケアは後回しになりがちですが、自分の気持ちやストレスと向きあい、自分自身をいたわってあげましょう。ストレスでどうしてもつらいというときには、他の園への転職という選択肢もあります。
保育士として働き続けるために、ストレスと上手に付き合い、自分が納得できる働き方を大事にしてくださいね。