保育士のひきだし
2019.06.14
保育園のプールで気を付けるポイントと水遊びのアイデアを紹介
夏が訪れると、多くの保育園でプール開きが行われます。プールは子どもたちが大好きな活動の1つです。ただプールに入るだけではなく、工夫した水遊びを取り入れれば、より楽しめます。夏ならではの楽しさを子どもたちに感じてもらいましょう。
しかしその反面、とても危険な活動でもあります。プールは命に関わる事故が起きる可能性が高いのです。
子どもたちが安全に楽しくプール遊びに参加できるように気を付けるべきポイントと水遊びのアイデアをご紹介いたします。
プールで注意すべきこと
まずはプール遊びを取り入れる際に、注意するべきポイントを見ていきましょう。保育士全員で共有することが大切です。
事前準備
プールを始める前に事前の準備や打ち合わせを念入りに行うことで、安全性が高まります。
プールの点検
プールや水遊びのおもちゃに破損がないかを必ず確認しましょう。特にビニールプールを使用する場合には、1年使わない間に劣化して破れている可能性があります。事前に膨らませて確認をすることが大切です。また、プールに入れる塩素の使用期限や量の確認も行いましょう。
保育士同士で打ち合わせ
プール活動中は普段の保育とは時間や流れが変わりますので、必ず保育士同士で時間や入る順番の打ち合わせをしましょう。また、プールを見守るときの注意点や危険性、準備や片づけの方法についても、保育士間で共有することが大切です。プール活動中は、担任だけでは安全面が守れない場面もありますので、主任やフリー保育士など活動の補助をしてくれる保育士を決めておくと良いですね。
子どもと遊び方を約束
プールは楽しい反面、危険性を伴う活動でもあります。プールに入る前には、必ず子どもたちと遊び方の約束をしましょう。
- プールサイドで走らない
- プールに飛び込まない
- 具合が悪いときにはすぐに保育士に伝える
- プール内でふざけない
- 保育士の話をしっかりと聞く
約束は、プールに入る前には必ず確認し合うようにしましょう。特に年齢が上がると、友達同士でふざけ合って事故につながる恐れもあります。プールは楽しいけれど、危険なものでもあるということをしっかりと伝えてくださいね。
準備運動はストレッチがおすすめ
事前準備を整えていよいよプール開き!の前に準備運動をしましょう。乳児クラスでは子どもが好きな音楽に合わせた体操、幼児クラスではストレッチがおすすめです。ストレッチは難しいようにも感じますが、意外と子どもたちは楽しんで行ってくれます。
準備体操におすすめのストレッチ
- 足を伸ばして伸脚
- 膝を曲げて伸ばして屈伸運動
- 全身の力を抜いてジャンプ
- 手足をブラブラ
プールの前はテンションが上がっていますので、ゆっくりとストレッチを行うことで落ち着いた気持ちでプールに入ることができますよ。
プール活動中の注意点
プール活動中は、一瞬たりとも気が抜けません。子どもの安全を守るための注意点を見ていきましょう。
必ず監視者を置く
プール活動の際には、必ず監視者を置く必要があります。監視者とは、プール活動中に子どもや他の保育士と携わらずにプールの外で監視に専念する人です。
保育施設や教育施設でのプール活動中の事故防止のために、内閣府より各施設や自治体に向けて通達が出されています。
プール活動を進める保育士の他に、必ず監視者を置くことができる人員配置を徹底しましょう。
【参考】教育・保育施設等においてプール活動・水遊びを行う場合の事故の防止について
子どもから目を離さない
プールでは目を離した一瞬で事故が起こります。絶対に子どもから目を離さずに見守りましょう。特に水の中にもぐっている子どもは見えづらく、事故につながる可能性が高まります。必ず複数の保育士で見守ることで、安全性を確保しましょう。クラス人数が多い場合には、少人数ずつに分けて行うことも効果的です。
休憩をとりながら遊ばせる
プール遊びの楽しさで、子どもは自分が「疲れている」と実感しにくいものです。知らないうちに疲れがたまり、事故やけがにつながることも。そのため、適度に休憩をとりながら遊ばせましょう。また、プールに入っていても熱中症になることがあります。休憩の際は、水分補給も忘れずに。
プールサイドは走らない
プールサイドはぬれていますので、走ると転倒する可能性が高いです。転倒して頭を打ったり、プールに落ちてしまうこともありますので、絶対に走らないように声をかけましょう。保育士の姿を子どもたちはよく見ていますので、保育士も走らないように心がけてくださいね。
プールから上がった後の注意点
プールから上がった後も、普段とは違った配慮が必要です。上がった後の注意点を見ていきましょう。
水分と休息をとらせる
水に入るということは想像以上に体力を消耗します。また、汗もかいていますので熱中症や脱水症状も心配です。
プールから上がったら必ず水分補給を行い、ゆっくりとした雰囲気の中で休息をとるようにしましょう。エアコンは切り、涼しすぎない室温も意識してくださいね。
子どもたちの身体をチェック
プール遊び中には気付かないうちにけがをしている可能性もあります。プールから上がったらけががないかを必ず確認しましょう。また、唇が紫になっていたり寒そうな様子が見られたりする場合には、室温が低いかプールに長く入りすぎてからだが冷えている可能性があります。プールの時間を短くするなどの配慮をしてくださいね。
保育士間でプールの様子を共有する
プール遊びの様子は必ず保育士間で共有します。
- 危険な様子はなかったか
- プールに入る順番や時間は適切だったか
- 準備で足りないものはないか
各クラスの様子や反省点を共有することで、より安全に楽しいプール遊びが実現できますよ。
プールの中でできる遊び
プールは遊びを工夫することで、より楽しい活動となります。プール活動におすすめの遊びを見ていきましょう。
ジョウロ遊び
ジョウロは乳児クラスの子どもたちに大人気のおもちゃです。水を入れて出てくる様子を楽しんだり、ジョウロの水をカップなどの入れ物に入れてみたり…。プールを怖がる子どもには、ジョウロで足に水をかけることから始めると、無理なく水に親しむことができますよ。
市販の物でも良いですが、ペットボトルに小さな穴をたくさん開けた手作りジョウロは、水の出方が面白く子ども達に大人気です。
おさかな釣り
幼児クラスでおすすめなのが魚釣り遊びです。プールサイドに、たらいやビニールプールを置いて楽しんでみてくださいね。
【用意する物】
- たらい(小さめのビニールプール)
- おもちゃの魚(スポンジを魚の形に切ってもOK)
- 網でできたポイ(お玉でも可)
- バケツ
たらいやビニールプールの中に魚を泳がせ、魚釣りを楽しむ遊びです。幼児クラスはもちろん、ポイをお玉に変えれば1,2歳児クラスでも楽しむことができますよ。
水鉄砲
どの年齢の子どもも大好きな水鉄砲遊び。容器を押して水を入れるタイプの物やタンクに水を入れるものなど、さまざまなタイプの水鉄砲が販売されていますね。市販の物でももちろん良いですが、おすすめは手作り水鉄砲。
マヨネーズや食器用洗剤の容器を良く洗って水を入れれば、水鉄砲の出来上がり。材料さえ集めれば子どもの人数分がすぐにできるので、取り合いになることなく楽しめます。
容器は口が細く、子どもの力でも押すことができる柔らかさのものを選びましょう。
水のかけ合いっこ
少しくらいならば顔に水がかかっても怖がらないようになったら、水のかけ合いっこを楽しんでみましょう。「先生にはかけないでね」と約束事を決めてしまうと楽しさが半減しますので、保育士も水着を着用して一緒になって楽しみましょう。
ただ、水がかかることを嫌がる子どももいますので、無理に行うのではなく子どもの様子に合わせて取り入れてくださいね。
プールの中でワニさん歩き
4,5歳児におすすめなのが、プールの底に手足をついて歩く「ワニさん歩き」。手足をついても子どもが顔を出せる深さのプールで挑戦してみましょう。中には自分から顔つけに挑戦できる子どもも。慣れてきたら、フラフープを使ってワニさん歩きでトンネルくぐりをしても楽しいですよ。
プールのときの保育士の服装
プール活動では、保育士も普段の保育とは違った服装が必要です。おすすめの服装をご紹介いたします。
肌の露出が少ない水着
プールの見守りはTシャツにハーフパンツなど水着でなくても大丈夫ですが、水着を着用すればぬれることを気にすることなく活動に集中できます。
園でのプール活動では、あまりに露出の多いものや動きにくいものは避けましょう。ビキニやパレオが付いた水着はおすすめできません。上は半そで、下はスパッツタイプのセパレートの水着は、着替えがしやすく露出も少ないのでおすすめです。
上に羽織るものがあると安心
プール遊びの見守りでは、常に水の中に入っているわけではなくプールサイドにいる時間も長くなります。そこで気になるのが日焼けです。日焼けをすると体温が上昇し、意外と体力を消耗します。また、日差しの強いときにはやけどのような状態になることも…。1枚上に羽織れるものがあると、そんな状態を防ぐことができますよ。おすすめはUVカット機能のあるラッシュガードです。そのまま水に入ることもできるので、着脱の手間がかかりません。
また、プール活動が終わり室内に戻るときには、子どもの着替えを優先させますので自分はなかなか着替えることができません。そのため、水を吸収するタオル地の上着があると便利です。
サンダルは滑りづらいものを
プール活動では、サンダルの着用がおすすめです。園で用意されているものを共用する場合もありますが、自分で用意することも。戸外活動用の運動靴とは別に用意しましょう。
おすすめなのが、滑り止めが付いたタイプのサンダルです。「プールサイドは保育士も走らない」が基本ですが、子どもに事故やけがの危険があるときや何かトラブルが起きたときには、いち早く駆け付ける必要があります。そんなときに、走っても滑りづらく脱げにくいサンダルを着用していると安心です。
保護者の方にお願いしておくこと
プール活動を安全に楽しく行うために、保護者の方にも協力してもらう必要があります。特別に難しいことではありませんが、プール開きの前に手紙や口頭で必ず伝えるようにしましょう。
十分な睡眠をとる
子どもの生活や発達にとって十分な睡眠は不可欠です。特にプール活動中は、いつも以上に体力を使います。そのため、睡眠不足によって疲れがとれずに体調を崩してしまったり、活動に集中できずに事故につながる可能性も。そういったリスクを減らすためにも、プール活動中はいつも以上に十分な睡眠がとれる環境作りをお願いしましょう。
朝食をしっかり食べる
これは子どもだけではなく大人にも言えることですが、朝食を食べないと、体力だけではなく脳が活性化しないことで気力も低下すると言われています。何だか体調がすぐれない、頭がボーとするという症状が出ることも。そのため、文部科学省では、「早寝早起き朝ごはん」という国民運動を推進しています。
プール活動では体力を使うことはもちろんですが、保育士の話を理解して活動することが安全な活動には不可欠です。
普段の生活から意識してもらいたい部分ではありますが、プール活動中はあらためて朝食をしっかり食べてもらえるように声を掛けましょう。
【参考】文部科学省 「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進について
身体を清潔にする
保育園は集団生活ですので、プールにも複数の子どもたちが一緒に入ります。そのため、プールに入る前にはシャワーで身体を流したり消毒液におしりをつけるなどの配慮が必要です。しかし、全身をせっけんで洗うことまではなかなか保育園ではできません。
集団で同じプールに入ることを理解してもらい、自宅でも身体を清潔にしてもらうことが大切です。
子どもの体調の変化は詳しく保育士に伝える
普段の保育でも、登園時には体調の変化を伝えてもらうことが基本です。しかしプール活動が始まったら、いつも以上に詳しく伝えてもらうようにしましょう。
- 熱や目立った症状はないけれど何だか機嫌が悪い
- 夜中に眠りが浅かった
- 食欲がなかった
- 皮膚の状態で気になる部分がある
- けがの様子がいつもと違う
- 頭をかゆがったり気にする様子がある
登園時にいつもと違った様子がある場合には、保育士から保護者の方に確認をすることも大切です。風邪などの体調不良の他に、注意したいのが感染症です。夏に多い水いぼやアタマジラミ。小さなけがや蚊に刺され引っかくことによって、とびひになる可能性もあります。
少しでも気になる部分があったら伝えてもらうこと。そして、必ず確認をとることを徹底しましょう。
プールカードは必ず記入してもらう
プールカードの記入は子どもの体調を判断するとともに、プールに入ることに保護者の方が同意しているという証明になります。カードの形式は園によって異なりますが、記入漏れのないように記入し、必ず提出してもらいましょう。
しかし、保護者の方がプール活動可と記入していたら全て入って良いというわけではありません。着替えのときに水いぼやとびひと思われる症状が見られたなど、子どもの体調不良や感染症の恐れがある場合には、園の判断でプールを控えるということも伝えておくと良いですね。
まとめ
子どもたちが楽しみにしているプール活動。事前の準備をしっかりと行い、保育士同士が声をかけ合いながら見守ることで、安全に楽しめる環境を整えましょう。
中には水を怖がる子どももいますが、無理をせずに子どものペースに合わせること。そして楽しいと感じられるような水遊びを用意することで、水への恐怖を減らすことができます。
安全面に十分配慮し、保育士も一緒に楽しみながら夏ならではの遊びを体験させてあげてくださいね。