保育士のひきだし
2019.04.18
院内保育とは?一般保育との違いや特徴を紹介
保育園にはさまざまは形態の施設がありますが、その中の1つに「院内保育」があります。院内保育の1番の特徴は、利用者が病院内で働いている医師や看護師であることです。そのため、一般の保育園とは異なる特徴もあります。働く保育士にも、一般の保育園とは違った業務内容や勤務形態が求められることも。
院内保育ならではの特徴や働く保育士が感じる魅力。そして院内保育士を目指したときに、求人を選ぶポイントも含めてご紹介いたします。
院内保育の仕事内容
院内保育とは、病院内で働く医師や看護師が子どもを預けるための保育施設で、病院内もしくは病院に併設した場所に設置されます。
保育士の仕事としては、登園した子どもたちを受け入れ、子どもの年齢や発達に合わせた関わりをする。食事や排せつ、着替えなどの身の回りの援助も行います。園庭がない施設が多いですが、天気の良い日には近くの公園での戸外活動を取り入れている場合も。
夜間保育では、夕食の提供や寝かしつけを行い、子どもたちが安心して過ごせるように関わります。
院内保育の1日の流れ
施設によって保育内容はさまざまですが、基本的な院内保育の保育スケジュールをご紹介いたします。
登園した園児の受け入れ |
自由遊び |
一斉保育(戸外活動など) |
昼食 |
午睡 |
おやつ |
自由保育 |
順次降園 |
夜間保育 |
スケジュールを見ても分かるように、保育内容は一般の保育園と大きな違いはありません。
しかし、利用者の勤務時間によって子どもの登降園時間が大きく異なるという違いがあります。一般の保育園以上に子ども1人ひとりに合わせた保育が求められるので、一斉保育よりも自由保育を充実させている施設が多いです。
一般の保育園との違い
一般の保育園と同じ保育や仕事内容も多い院内保育ですが、異なる部分もあります。どんな部分が一般の保育園と違うのでしょうか。その違いを見ていきましょう。
医師、看護師が利用する施設
院内保育と一般の保育園の1番の違いは利用する保護者です。一般の認可保育園は、両親が働いているなど子どもが保育に欠ける状態であれば、職種に関わらず利用を申請できます。
一方、院内保育を利用するのは病院で働く医師や看護師です。ただ、院内保育も企業内保育の一種ですので、地域枠として一定数の地域の子どもを受け入れることができます。
開園時間が長くシフト勤務
一般の保育園であっても、保育士はシフト勤務をこなすことがほとんどです。しかし、院内保育では一般の保育園よりもさらに開園時間が長い場合が多いので、シフトによって勤務時間の差が大きくなります。夜間保育の実施がある場合は夜勤も含めてのシフト勤務となりますし、夜勤がない場合にも一般の保育園と比べて朝早く、夜遅くまで開園している場合には早番と入れ替わりに遅番が出勤という状況もあるのです。
毎日の勤務時間に大きな差があることで慣れるまでは大変ですが、夜勤がある分平日休みが多いというメリットもあります。
夜勤がある施設が多い
院内保育を利用する医師や看護師は、夜勤をこなすことも少なくありません。夜勤があるかことが、認可保育園の開園時間と勤務時間が合わずに一般の保育園を利用できない1つの理由になっているのです。
そのため、院内保育では医師や看護師の勤務時間に合わせて夜間保育を実施する施設も多くあります。夜間保育を実施するということは、夜間に働く保育士も必要です。利用者に合わせて保育士にも夜勤があることも、一般の保育園との大きな違いです。
昼間は楽しく過ごしていても、夜になると寂しさを感じ泣き出してしまう子どももいますので、夜勤の保育士には子どもの気持ちに寄り添い安心して眠れる環境を整えることが求められます。夜勤中に仮眠はとれますが、子どもの様子を確認しながらですので、ゆっくりと休むことができずにからだがつらいと感じる人も少なくありません。ただ、自分がいることで子どもが安心して眠る様子に子どもとの親密さをより一層感じ、大きなやりがいにつながります。
施設によっては夜間保育の実施がない場合もあるので、夜勤ができないからと言って絶対に院内保育で働けないというわけではありません。
子どもの登降園時間が一定ではない
一般の保育園でも、保護者の方の勤務時間によって子どもの利用時間は異なります。しかし、毎日の登降園時間が大きく変わることはありません。今日は朝の7時に登園するけれど明日は夕方の16時に登園、ということはないのですよね。
一方院内保育は、保護者の方の勤務時間によって日々の利用時間が変わります。そのため、毎日子どもの登降園時間を把握しておく必要があるのです。
また、それぞれが異なる時間に登園してもスムーズに遊びに入れるように、丁寧な受け入れが求められます。
院内保育の特徴や魅力
一般の保育園と異なる特徴も多い院内保育ですが、違う面があるからこそ働く保育士が感じる魅力もあります。院内保育ならではの特徴や魅力を見ていきましょう。
子どもとじっくりと向きあえる
院内保育は一般の保育園と比べて、園児定員が少ないという特徴があります。そのため子どもとじっくりと向きあい、丁寧に関わることが可能です。また、登降園時間がさまざまですので、一斉保育よりは自由遊びを充実させている施設が多く見られます。
夜間保育の実施がある施設も多いので、子どもにとっては「第2のおうち」となるようなアットホームな雰囲気も特徴。子どもの好きな遊びを一緒に楽しみながら、1人ひとりに合わせた丁寧な関わりができることは院内保育の大きな魅力です。
一斉保育が多く子どもとじっくりと関われない…という悩みを抱えた保育士にとっては、理想的な環境であると言えるでしょう。
保護者の方と連絡が取りやすい
院内保育は病院内、もしくは病院に併設した場所に設置されることがほとんどです。そのため、子どもの急な体調不良やけがなどの際に、保護者の方に連絡が取りやすいというメリットがあります。
また、院内保育で働く保育士も保護者の方も同じように病院内で働く従業員ですので、関係が築きやすことも大きな魅力です。
大がかりな行事が少ない
保育士の仕事の1つに、行事の計画実行があります。子どもの成長を感じられる行事は大きなやりがいにつながりますが、行事が多すぎると行事の準備や練習に追われて子どもと関わる時間が持てない、という状況におちいることも。毎日残業が続いてしまうということもありますよね。
院内保育は一般の保育園に比べて小規模なので、行事も大がかりなものが少ないという特徴があります。保護者の方もシフト勤務ですので行事の日程が決めづらく、保護者参加の行事がない施設も少なくありません。行事の準備や練習の時間が少ないので保育士の負担も少なく、子どもと関わる時間が多く持てることも魅力の1つです。
しかし施設によっては、病院との合同行事があることも。病院と連携しての計画や準備が求められる場合もありますので、行事の有無は必ず確認しましょう。
夜勤手当などで給与面が充実している
院内保育で実施されることの多い夜間保育。夜勤をこなす保育士は慣れるまではからだがつらいという悩みを抱えることも多いですが、収入面においてはかなりのメリットがあります。求人を見ていると、夜勤には1回ごとに手当がつく場合がほとんど。支給額は2,000円から1万円くらいと施設によってさまざまですが、給与に上乗せされますのでその分給与面での充実が期待できます。
例えば、夜勤1回につき6,000円が支給される施設で月に4回夜勤をこなせば、夜勤手当だけで24,000円支給されるという計算です。自分の頑張りが、手当という目に見える形で分かるのはうれしいですね。
求人を選ぶ際のポイント
一般の保育園とは違った魅力を感じることができる院内保育は、保育士にも人気の職場です。では、院内保育で働きたいと考えたときには、どんな部分に注目して求人を選べばよいでしょうか?院内保育の求人を選ぶ際のポイントをご紹介いたします。
未経験でも応募ができるか?
院内保育で働く際に必要な資格は、保育士資格のみです。しかし施設によっては、「〇年以上の保育士経験」「保育施設での経験がある方のみ応募可」などの応募条件を定めている場合もあります。
院内保育は保育士の人数も少ないので、即戦力となる人材を求めている施設も少なくないのですよね。
保育士経験がある場合には経験者のみの求人にも応募できますが、保育士経験がないけれど院内保育で働きたい!という場合には、未経験可という記載がある。もしくは経験者などの応募条件がない求人を選びましょう。
「経験者優遇」という求人は未経験でも応募が可能ですので、挑戦してみる価値は十分にあります。
勤務時間体制はどのようなものか
次に注目したいのが勤務時間の体制です。夜間保育の実施や長時間開園している施設が多い院内保育。夜勤が可能であれば夜勤ありの求人を選ぶことができますが、夜勤ができない場合は夜勤がない求人を選ぶ必要があります。早朝や夜遅くまでの勤務も、自分の生活スタイルや家庭の事情を考慮して、無理のない求人を選びましょう。
また、夜勤の場合は翌日が休みになっているか。夜遅い時間までの遅番の翌日が早朝出勤になっていないかなどの、勤務体制の確認も大切です。
求人情報からは分からないという場合には、見学に行った際に必ず確認をしてくださいね。
自分にとって難しい勤務時間を無理にこなしていると、体調を崩したり長く続けられない状況になる場合もあります。働き始める前の確認が肝心です。
就業形態を確認する
院内保育の求人には、正社員の他に契約社員やパート勤務があります。まずは自分がどんな形態で働きたいのかを決めた上で求人探しを始めましょう。正社員の求人ですと給料が安定している。パート勤務ですと自分の生活スタイルに合わせて勤務時間を選べる、などそれぞれの働き方に異なるメリットがあります。契約社員の求人の中には、正社員よりも月給が良いものも多いですが、賞与が支給されない場合がほとんどですので、年収としての収入を考えるようにしましょう。
また院内保育の運営は、病院とは限りません。設置は病院であっても、保育事業者に運営を委託することも可能なのです。最近では院内保育の運営を専門に行う企業も増えてきています。院内保育で働きたいと考えたときには運営元を確認するようにしましょう。
企業に運営を委託している場合には、その企業に雇われるという形態になります。企業によっては、院内保育以外の系列園への異動がある場合もありますので、異動の有無も確認してくださいね。
求人情報だけではなく必ず園見学をする
求人情報でとても条件が良いとしても、必ず園見学をして自分の目で見て応募の決定をするようにしましょう。
保育士の様子や園内の環境など、実際に見ないと把握できないことはたくさんあります。どんなに条件が良かったとしても、見学の際に魅力を感じない場合には、応募はやめておいた方が無難です。
- 保育士が笑顔で働いている
- 園内が清潔に保たれている
- 子どもたちが楽しそうに過ごしている
このような点に注目し、自分が働いているところを想像しながら園見学をしてくださいね。
まとめ
少人数の子どもたちと丁寧に関わることができる院内保育は、保育士の勤務場所として人気が高まってきています。まずは、院内保育の特徴を把握することから。その特徴が自分の生活スタイルや保育観に合っているかということを考えてみましょう。
一般の保育園とは違った魅力も満載の院内保育。求人情報はもちろんですが園見学で感じた自分の感覚も大切にしながら、求人を選んでみてくださいね。