保育士のひきだし
2019.04.18
保育園の遠足で気を付けたいこと。事前の確認から当日の流れまでを解説
保育園で子どもたちが楽しみにしている行事の1つに「遠足」があります。子どもの頃に、遠足の前日は楽しみで眠れなかったという方も多いのではないでしょうか?
また、保護者の方も参加をする「親子遠足」では、子どもと保護者の方が思い切り触れ合える良い機会ともなります。
遠足を成功させるためには、保育士の事前準備と連携が不可欠。子どもたちが安全に心から楽しめるように、保育士がするべき事前確認や当日気を付けたいことをご紹介いたします。
保育園で行われる遠足とは?
保育園で行われる遠足にはいくつか種類があります。
- 春の遠足
- 秋の遠足
- 芋ほり遠足
- 親子遠足
- お別れ遠足
園によって取り入れている遠足はさまざまで、春の遠足は親子遠足。お芋ほりやお別れ遠足は子どものみでなど、年に1回から2回取り入れている園が多く見られます。親子遠足、子どものみの遠足、お芋ほり遠足と3回取り入れている園も少なくありません。
また乳児クラスでは、子どもと保育士のみでの遠出は難しいので、親子遠足のみという場合もあります。
遠足の目的・ねらい
遠足は保育園の大切な行事であり保育の一環ですので、目的やねらいは保育士間でしっかりと共有しておきましょう。遠足の時期や内容ごとのねらいをご紹介いたします。
春の遠足
- 保育士やクラスの友達との親睦を深める
- 春の花や虫に興味を持ち、気持ちの良い気候の中でからだを動かす
秋の遠足
- 季節の移り変わりを感じ、秋ならではの遊びを楽しむ
- 公共のマナーを知り、慣れ親しんだ保育士や友達と楽しく過ごす
親子遠足
- 親子での触れ合いを楽しみ、満足して過ごす
- 保護者同士が関わる機会を作る
お別れ遠足
- 一緒に過ごしてきた保育士や友達との思い出を作る
- 進級や卒園に向けて、園外で過ごすことで自信をつける
他にも、動物園に行く場合は動物との触れ合いを楽しむ。博物館に行く場合は展示物に興味を持つ、など場所によっても目的は変わります。ねらいを把握した上で、事前準備に入りましょう。
保育士が事前に準備すること
楽しい遠足にするためには、事前準備が不可欠です。詳しく見ていきましょう。
遠足の行き先を決める
遠足の行き先は観光バスを借りるのか、電車などの公共機関を利用するのかによって大きく変わります。まずは目的地に向かう方法を決めましょう。観光バスを使う場合は駅から離れた場所でも可能ですが、電車の場合は駅から近いことが必須です。
次に親子遠足なのか子どもだけの遠足なのかが重要なポイント。親子遠足の場合は人が多く広い場所でも可能ですが、子どもだけの場合は安全面も考えると人が多すぎる場所は避けた方が良いでしょう。子どもだけの場合は、普段の保育では行ったことのない広い公園など自然の中で遊べる場所がおすすめです。
目的地までの時間も考慮する必要があります。集団での移動となりますので、トイレ休憩が1人ひとりの子どもに合わせて取れるわけではありません。また、行き帰りに時間がかかり目的地で過ごす時間が少ないという状況を避けるためにも、遠くてもバスで2時間。途中で1度トイレ休憩を入れる、1時間程度の場所で園から目的地まで休憩を入れず向かうなど、子どもの様子にも配慮して行き先を選びましょう。
行き先を下見する
遠足の行き先候補が決まったら、必ず下見を行いましょう。
- 駐車場(駅)から目的地までの道順とかかる時間
- トイレの場所(トイレットペーパーの有無も確認)
- オムツ替え、授乳ができる場所の確認
- 写真撮影の場所
- 当日のルートを確認
- お弁当を食べる場所の確保
- 当日レクを行う場合には、音楽やマイク使用可否の確認
下見は、当日の流れや子どもの様子を想定しながら行うことがポイントです。遠足の下見ということを事前に伝えることで、入園料が無料になる施設もありますので、事前に確認をしてくださいね。
当日の役割を決める
当日は、保育士間の連携が遠足成功のひけつです。事前に役割を決め、1人ひとりが責任をもって行いましょう。また、想定外の状況が起こる場合もありますので、自分以外の役割も把握し臨機応変に動くことも大切です。それぞれの役割を見ていきましょう。
先頭に立って子どもを引率
子どもたちの先頭を歩き、引率する係です。子どもと他の保育士に見えやすいように旗などを持っていると良いでしょう。基本的には先頭を動かないので、トイレ援助なども行いません。全体を見ながら、手助けが必要な場合には他の保育士に声を掛けましょう。
タイムスケジュールの管理
遠足は、ある程度タイムスケジュールに沿って動くことも大切です。時間を見ながら他の保育士にも伝えるようにしましょう。
各クラスの人数確認
遠足ではこまめに人数確認をする必要があります。係を決めて、名簿をチェックしながらこまめな人数確認を行いましょう。
救急係
子どもや保護者の方がけがをしたとき、体調が悪いときに対応をします。救急セットを必ず持参しましょう。
写真係
遠足の写真を保育士が撮り、後日販売をする場合もあります。記録としても撮影をしておくとよいですね。
係についていない保育士は?
それぞれの係についていない保育士は、意外と1番忙しいものです。子どものトイレ援助、列から遅れている子どものフォロー、保育士間の伝達など全体を見ながら臨機応変な動きが求められます。
保護者への連絡はおたよりと口頭で
遠足の詳細はおたよりで伝えます。集合場所や集合時間、持ち物や費用などを分かりやすく記載しましょう。
遠足だから新しい靴で…と考える保護者の方もいますが、動きやすく歩きやすいことが1番です。動きやすい服装、歩きやすい靴、背負いやすいリュックのお願いも忘れずに。
また、集合時間に遅れる子どもがいると、他の子どもを待たせることとなります。遅刻のないように赤字などで強調して記載することをおすすめします。おたよりで連絡することに加えて、遠足の前日には口頭でも集合時間を伝えておくと安心です。
しおりの作成
遠足のしおりを受け取ると、子どもたちの気持ちも盛り上がります。当日の流れやうたう予定の歌。施設内のマップなどを載せるようにしましょう。
親子遠足の場合は、保育士の連絡先や自由時間後の集合場所も記載しておくとよいですね。
事前に配布しても良いですが、当日忘れてしまうことも…。持ち物など事前準備に必要なことは手紙でお知らせをして、しおりは当日に配布した方が安心です。
子どもたちが興味を持てるように導入をする
遠足を楽しみに待つ、ということも遠足のねらいの1つです。そのためには、遠足当日に向けての導入が大切!
例えば、動物園に行く場合には動物の絵本を読んだり歌をうたう。目的地のマップを見ながら何をして遊びたいかを話す。遠足に食べたいお弁当を、箱や折り紙などで作ってみる、など子どもたちの気持ちが盛り上がるように、保育の中に遠足に関連した活動を取り入れてみましょう。
バスレクを考える
バスで遠足に行く場合に必要なのが、バスでのレクリエーション(バスレク)です。バスに長時間乗っていると子どもは飽きてしまいます。歌をうたったり手遊びやクイズなどを用意して、バスの中でも楽しく過ごせるようにしましょう。
親子遠足では、自己紹介や保護者の方から一言あいさつをいただくのもおすすめ。保護者同士が関わるきっかけ作りにもなりますよ。
保育園の遠足の当日の流れ
遠足のスケジュールは園によってさまざまです。しかし、大まかな流れを頭に入れておくとスケジュールが立てやすくなります。スケジュールの一例とポイントをご紹介いたします。
集合(園または駅) |
バス、電車で出発 |
目的地に到着 |
記念撮影 |
順路に沿って見学 |
昼食 |
自由時間 |
集合して帰園 |
解散 |
目的地に到着
目的地に到着したら初めにトイレの時間を確保し、人数確認を行います。
順路に沿って見学
動物園や水族館など、順路に沿って皆で見学をする場合には昼食前がおすすめです。メインの場所では、見学時間をゆっくり設けるなどの配慮をしましょう。
昼食
昼食の前には、歌をうたったりレクを取り入れる場合もあります。事前にどんな流れでお弁当を食べるのかを決めておきましょう。
自由時間
広い公園などで思い切りからだを動かして遊ぶことを目的とする場合には、自由時間を長めに設けると良いでしょう。いつもとは違う場所ですので、自由時間中もこまめな人数確認が大切です。
遠足当日の保育士の持ち物
遠足当日には普段の保育とは違った持ち物が必要です。必要なもの、あると便利なものをご紹介いたします。
リュックサック
荷物を入れるものは、両手が空くリュックが最適!背負いやすく、荷物の出し入れがしやすいものを用意しましょう。
カメラ
遠足中の子どもの様子を撮影し、後日販売する場合には必須です。保育士全員がカメラを持っている必要はありませんが、カメラ係を決めて持参するようにしましょう。販売する写真はプロのカメラマンに依頼する園もありますが、記録用や後日おたよりに載せるためにも撮影をしておくと良いですね。
笛
防犯のために散歩の際に笛を持って行く園は多いと思いますが、遠足でも持参しましょう。防犯以外にも、集合の合図などにも使えて便利です。
救急セット
遠足中にはけがが起きたり、体調を崩す子どもがいる可能性もありますので、救急セットは必須です。
- ガーゼ
- ばんそうこう
- 脱脂綿
- ウエットティッシュ
- 冷却材
- 包帯
- ビニール手袋
- ごみ袋
- はさみ
- エチケット袋
- 体温計
救急セットの中にこれらの救急用品が入っていることを確認して、担当者が責任を持って管理しましょう。
子どもの名簿、連絡票
人数確認をするときに必要なのが子どもの名簿です。ただ人数を数えるだけでは、数え間違いが起きてしまう可能性も。数え間違いを防ぐためには、必ず子どもの顔を確認しながら名簿にチェックをつけることをおすすめします。
連絡票とは、保護者の連絡先が書いてある書類です。遠足先で大きな怪我や事故が起きた場合には、直接保護者の方に連絡をする必要がありますので用意をしておきましょう。
タオルと子どもの着替え
遠足中におもらしをしてしまったり、飲み物をこぼしてしまったときのために、大きめのタオルと園の貸し出し用の着替えを持参すると安心です。
トイレトレーニング中などで着替えを多く使う場合には、自宅からも着替えを持参してもらいましょう。
雨天の場合はどうすれば良い?
雨天の場合の対応策は3つ。延期、場所の変更、中止です。
延期の日程は事前に保護者に伝えることが多いですが、バスの手配などもあり日程が事前に確定できない場合も…。そんなときには延期の旨を伝え、日程は後日調整となります。
場所を変更する場合には、室内でも楽しめる水族館や博物館が人気です。雨天の場合の場所も必ず下見をしておきましょう。
延期や場所の変更の場合は、当日の朝に保育園の決定を保護者に連絡をします。難しいのが小雨の場合です。パラパラ降ってはいるけれど、天気予報では止む予定…。そんな状況では、園長の判断を仰ぐことが一番です。園長の判断によって、決行でも延期でも場所の変更でも、すぐに対応できるようにしておいてくださいね。
親子遠足の際の注意点
親子遠足での一番の注意点は、子どもたちの様子が園での様子とは大分変わることです。大好きなお父さん、お母さんと一緒にいることでテンションも上がりますし、保育士の話を聞けなくなってしまうことも…。思いもよらないけがが起こる可能性もありますので、いつも以上に気を付けて見守るようにしましょう。
また、保護者同士が話に夢中になってしまい気付いたら子どもがいなかった、という迷子が起こりやすい状況でもあります。保護者の方がいるから大丈夫と思わずに、必ず人数確認をしてください。
子どもにとっても保護者の方にとっても、特別な行事である親子遠足。楽しい思い出になるように、しっかりとフォローしていきたいですね。
まとめ
保育園の遠足にはさまざまなねらいがありますが、1番の目的は子どもたちが楽しい1日を過ごすことです。そのためには保育士自身も楽しむことが大切。事前にしっかりと準備を整えることで、当日楽しむ余裕を持つことができます。
保育士同士で連携をとりながら、子どもたちの思い出に残る遠足にしてあげたいですね。