保育士のひきだし
2019.03.25
子どもを伸ばす「言葉かけ」の仕方を紹介。保育士の声かけで子どもが変わる!
言葉って、とても繊細でとても難しいもの。かけた言葉によって、相手を伸ばしてあげることもできますし、傷つけてしまうことだってあります。
そんな中、感受性の豊かな子どもたちと接する保育士は、日々、子どもたちにどのような言葉を使い、どのように声をかけてあげればよいのでしょう。
言葉がとても影響力のある重要なものと分かっているからこそ、子どもたちへの言葉かけは悩んでしまいますよね。
そこで、子どもたちによい影響を与える効果的な言葉かけのポイントや、避けたい言葉かけなど、言葉かけについて徹底解説します。
保育士の声のかけ方次第で子どもたちは変わりますよ!子どもたちを伸ばす言葉かけのコツをじっくり探っていきましょう。
効果的な言葉かけのポイントとは?
保育士にとって、言葉は子どもたちと信頼関係を築いていくための最も大切なコミュニケーション方法です。しかし、子どもはとても繊細なため、言葉のかけ方によっては全く言うことを聞いてくれなかったり、ときには何気ない一言で傷つけてしまうこともある、とても難しいものですよね。子どもたちによい影響をあたる効果的な言葉かけとはどのようなものなのでしょうか。
まずは、言葉かけの基本となるポイントをみていきましょう。
自己肯定感を伸ばす言葉かけをしよう
自己肯定感とは、「自分は生きる価値のある存在なんだ」、と自分の存在価値を認めることによって自分自身を肯定できる感情のことです。自己肯定感が高いと、自分を大切な存在だと感じ、ダメな部分も含めて自分を認めることができます。そして、自信を持てるようになるので、何か困難な壁にぶつかっても、自分を信じてチャレンジできるようになるのです。
自己肯定感の高い子ども |
・自分自身を受け入れ、信じることができる |
・壁にぶつかっても乗り越えていける |
・何事にも意欲的にチャレンジできる |
・よい人間関係を築くことができる |
つまり、自己肯定感は、社会性や人間性の土台となるもの。自分に自信をもって前向きに生きていくために、自己肯定感を伸ばしてあげることが、子どもの成長にとってとても重要なのです。
基本は褒めること
子どもにとって、褒められる経験はとても重要なこと。褒められることによって、子どもたちは「自分が認められている」、と感じられるようになり自己肯定感が高められていきます。
努力して達成したことは、どんなに小さなことでも褒めて自信を深めてあげましょう。達成感を経験し、「次も頑張ろう!」という気持ちを持てるようになります。
また、失敗した場合でも、一生懸命取り組んだ過程、頑張った過程をしっかりと認めて褒めてあげましょう。「もう一度チャレンジしてみよう!」と失敗しても前向きな気持ちを持てるようになります。
なお、自己肯定感の土台は、0~6歳頃の間に作られると言われています。そのため、この時期に多くの時間を一緒に過ごす保育士はとても重要な存在です。普段から意識的に褒める言葉かけをして、子どもたちの前向きに生きていく姿勢、自己肯定感を伸ばしてあげましょう。
褒める言葉かけのコツ
「どのように褒めてあげればよいのか分からない…。」褒める言葉かけが大切なのはわかっていても、実際にはどのような場面で、どのような言葉で褒めればよいのか、なかなか難しいことも。
そこでここからは、効果的な褒め方をご紹介いたします。コツをつかんで、子どもたちを上手に褒めてあげましょう!
- 子どもの目を見て笑顔で褒める
子どもを褒めるときは、子どもの目を見て褒めるようにしましょう。
相手の目を見て話すことは、会話の基本ですよね。目を見て褒めることで、子どもは「自分のことを褒めてもらえてるんだ。」と認識できます。
きちんと子どもの目線まで下がって、笑顔で褒めてあげましょう!
- その場ですぐに褒める
子どものよいところを見つけたら、その場ですぐに褒めてあげましょう。
時間が経ってから褒めても、「いったい何のことに褒められているのだろう…。」と子どもが混乱してしまう場合があり、褒める効果が半減してしまいます。
褒めるにも、タイミングが重要ですよ。子どもの褒めるポイントを見つけたときは、どんなに小さなことでも後回しにせず、言葉にしてすぐに褒めてあげましょう!
- 具体的に褒める
子どもを褒めるときは、なるべく具体的な言葉で褒めてあげましょう。
「頑張ったね」「えらいね」という褒め言葉。つい言ってしまいがちですが、子どもにとってはとてもあいまいで、なぜ褒められているのか伝わらない場合があります。
例えば、「逆上がりができるようになったんだね。すごくかっこよかったよ。毎日一生懸命練習を頑張っていたもんね」と、具体的にどのような点がすごいのか、よかったのかをしっかり伝えながら褒めてあげましょう!
- 結果ではなく過程を褒める
子どもを褒めるときは、結果だけではなく頑張った過程を褒めてあげましょう。
かけっこで1位になった、逆上がりができるようになったなど、つい結果を重視してしまいがちですが、大事なのは頑張ってきた過程です。子どもたちの努力した過程を見ずに、結果や成果ばかりを褒めてしまうと、「よい結果をださなくちゃ…。」と子どもにプレッシャーを与えてしまいます。
努力してきた過程や頑張り、チャレンジしようと思った気持ちをしっかり認めて褒めてあげましょう!子どもたちは結果がすべてではないと学ぶことができ、たとえ失敗しても、「次も頑張ろう!」と前向きに捉えられるようになります。
- 感謝の気持ちを伝える
子どもがお手伝いをしてくれたときなどには、「ありがとう」「すごく助かったよ」と、感謝の気持ちを言葉にして伝えてあげましょう。
感謝の言葉を伝えると、子どもが「自分は認められた」と感じることができ、褒めることと同じような効果があるのです。
また、誰かに感謝する気持ち、感謝される喜びを理解できるようになるでしょう。
保育士が避けたい言葉かけとは?
子どもたちはとても感受性が豊かで、大人からかけられた言葉にとても敏感に反応します。何気ない一言が、子どもたちの心を深く傷つけてしまう場合もあるので、言葉のかけ方には注意も必要です。
では、保育士が避けたい言葉かけには、どんなものがあるのでしょうか?
つづいては、保育士が避けたい言葉かけについて、しっかり確認していきましょう!
他の子どもと比較する言葉かけ
「〇〇ちゃんはちゃんとできたのに」「お兄ちゃんはきちんとできたのに」など、他の子どもとの比較や、兄弟・姉妹との比較をするような言葉かけは避けましょう。同様に、「○○くんと比べて上手にできたね」など、他の子と比較して褒めるような言葉かけもNGです。
他の子と比べて常に劣等感を抱くようになってしまったり、反対に、比較することで優越感を抱き、競争意識ばかりが先行するようになってしまったりと、子どもに悪影響を与えてしまう可能性があります。
強制的なの言葉かけ
「先生の話を聞きなさい」「早くしなさい」などといった、「〇〇しなさい」という命令口調の強制的な言葉かけはNG。このような言葉かけが必要となるケースもありますが、子どもたちに恐怖を与えてしまう可能性があります。そして、どうして怒られているのか理解できないけれど、怒られることが怖いから言うことを聞く、という状態になってしまうことも。
もちろん、注意したり、叱ったりすることも大切ですが、頭ごなしに怒るのではなく、きちんと理由を伝えるようにしましょう。
存在を否定する言葉かけ
「どうせ○○ちゃんにはできないでしょ」「〇〇ちゃんは悪い子ね」「〇〇くんがいなければ静かだね」など、子どもの存在を否定する言葉かけは絶対にNG。このような言葉かけは、子どもの自尊心を傷つけてしまいます。
自尊心とは、自分を大切に思う気持ちのこと。自尊心が傷つけられると、自分に自信がもてなくなってしまい、結果的に自己肯定感の低下につながってしまいます。
外見に関する言葉かけ
「背が小さいね」「ぽっちゃりしているね」など、外見に関する言葉かけは絶対にNG。大人からみればかわいらしく魅力的に思うような部分でも、本人は気にしている場合があります。外見を指摘すると、心に傷がついて、コンプレックスとして残ってしまうこともあるので注意しましょう。
性別への言葉かけ
「男の子なんだから、それくらいで泣かないで」「女の子なんだから、やめようね」など、性別に関する言葉かけも絶対にNG。性別の勝手なイメージを子どもに押し付けてしまいます。その結果、「男の子だから強くならなくちゃ」と、自分の気持ちを素直に伝えられなくなってしまったり、「女の子だからおしとやかにしないと」と、好奇心やチャレンジする気持ちを奪ってしまうことになりかねません。
脅すような言葉かけ
「言うこと聞けないなら、赤ちゃん組にいきなさい」「給食を残すとオバケがでるよ」など、脅すような言葉かけも絶対にNG。これは、子どもをコントロールするために、大人の都合で脅しているにすぎません。子どもを傷つけてしまったり、子どもの自主性、主体性を奪ってしまうことにもつながります。
言葉かけの効果をアップさせる方法とは?
「子どもたちがざわざわしていて、なかなか動いてくれない…」「静かに話を聞いてくれない…」
連休明けなど、子どもたちがハイテンションでクラスがなかなか落ち着かないことってありますよね。そんなときは、言葉かけによって、子どもたちのやる気をいかに引き出すかがポイントですよ。
そこで最後に、言葉かけの効果が数倍アップする!とっておきの方法をご紹介しますね。
音楽を取り入れる
「○○しようね」とただ言葉をかけるより、「この音楽が鳴ったら○○しようね」「この音楽が終わるまでに○○しようね」と感覚で覚えてもらったほうが、子どもたちには分かりやすいものです。
例えば、「お片付けしようね」と言うより、「この音楽が終わるまでにお片付け頑張ろうね」と言ったほうが、子どもたちは喜んで動いてくれますよ。
習慣になれば、言葉をかけなくても、音楽が鳴っただけで行動してくれるようにもなります。
ぜひ、音楽の力を上手に活用してみてくださいね。
ゲーム感覚でやる気を引き出す
子どもたちに何かをしてほしいときには、子どもの好奇心を刺激してあげるのもよい方法です。
とくに子どもはゲームや競争が大好き!「男の子チームと女の子チーム、お片付けが早く終わるのはどっちかな?ヨーイドン!」「誰が一番早くおイスに座れるかな?ヨーイドン!」とゲーム感覚で競争心をくすぐる要素を取り入れると、目を輝かせて動いてくれますよ。
すぐに動いてほしいときなどには、競走大会などを開催し、ゲーム感覚でやる気を引き出してみましょう!
子どもが知っている言葉を使う
子どもたちが落ち着かず、なかなか静かになってくれないときは、子どもが知っている言葉を使ってみましょう。
例えば、甘くておいしい『アメ』。「みんな、アメをどうぞ」と言って、アメをなめるまねをします。すると、子どもたちも一緒になってマネをしてくれるので、自然と口が閉じて静かにできるようになりますよ。
また、小さい『アリの声』や大きな『ダンボの耳』も分かりやすい言葉かけです。「先生はアリさんの声でお話しするので、ダンボの大きなお耳でよく聞いてくださいね」と言えば、子どもたちは楽しみながらしっかりと話を聞いてくれるようになります。
まとめ
言葉は、とても大きな力を秘めているもの。
何気ない一言で傷つけてしまうことがある一方、努力や頑張りをしっかりと認めて褒めてあげたり、ありがとうと感謝の気持ちを伝えてあげることで、子どもをぐんぐん伸ばしてあげることができるのです。
言葉かけのコツは、認めてあげること、褒めてあげること、感謝の気持ちを伝えること。
使う言葉を吟味して、子どもの自己肯定感、前向きな姿勢をしっかり育ててあげ
ましょう!