保育士のひきだし
2019.03.22
保育園の入園式に必要な準備と当日の流れについて解説
4月の初めに行われる保育園の入園式。保護者の方と子どもにとって、園生活の記念すべき1日目です。入園式は保護者の方も子どもも緊張していますので、保育士が温かく迎え安心感を与えたいですね。そのためには、保育士自身が入園式の流れをしっかりと把握し、準備を整えておきましょう。
入園式に向けて保育士が行うべき準備。そして知っておくべき当日の流れについて。詳しくご紹介いたします。
なお、保育園ごとにさまざまな歴史があり、入園式の流れもそれぞれ異なります。ここでは一般的な入園式の流れをご紹介しますので、参考にしていただきつつ、ご自身の園の園長や先輩保育士と確認しあいながら取り組んでいきましょう。
入園式での保育士の服装や持ち物
入園式は式典ですので、普段の保育とは違った服装や持ち物が求められることもあります。保育士の服装と持ち物について見ていきましょう。
保育士の服装、まずは正装と保育着の確認を!
保育士が入園式に出席するときにまず確認するべきことが、スーツなどの正装なのか普段の保育と同じ服装で良いのかということです。
全ての認可保育園は4月1日が入所日となります。入園式も4月1日に行われることがほとんどです。1日が平日の場合は、在園児の保育が普通にある状態ですね。
そのため、園によっては園長、主任、0歳児の担任のみ正装で出席し、他クラスの担任は普段の保育と同じ服装で出席ということも少なくありません。各クラス担任紹介のときのみ、クラスから出てあいさつをするという形になります。
しかし、4月1日入所だけれど入園式は土日に行うという園もありますし、平日であっても全クラスの保育士が正装という場合もありますので、事前に必ず確認をしましょう。
スーツは明るい色を意識する
スーツで出席をする場合には、春らしく明るい色合いのスーツを選びましょう。ベージュや白、薄いグレーなどがおすすめ。明るい色ですと表情も明るく見えますし、1年の始まりにふさわしい華やかさが演出できます。
保護者の方も入園式は明るい色を着てくることが多いので、保護者の方の服装との差が出にくいというメリットもあります。しかし、派手に見えすぎるスーツは避けた方が無難。スカート丈が短すぎたり、ラメが多く入っているようなものは避けましょう。
入園式では、保護者の方は初めて出会う保育士の様子をよく見ています。第一印象は大切ですので、明るい色合いの中にも落ち着いた印象が与えられるスーツを選ぶようにしましょう。
ワンピースにジャケットもOK
フォーマルな服装を意識したときにはスーツが基本ですが、ワンピースにジャケットという装いもOKです。ひざ丈のワンピースにジャケットを合わせれば、入園式にふさわしい服装になりますよ。
スーツのときと同じように、明るい色を意識しましょう。暗い色のワンピースでも明るめの色のジャケットを合わせると明るい印象になります。保育士として毎年正装で入園式に出る場合には、ジャケットだけ替えて着まわすなどの工夫もおすすめ。ジャケットを替えるだけでも印象が変わりますよ。
普段の服装でも清潔感を意識して
在園児の保育との兼ね合いで、普段の保育と同じ服装で入園式に出席することもあります。普段の服装であっても、いつも以上に清潔感を意識するようにしましょう。
汚れやしわのチェックはもちろんですが、ジャージやキャラクターの靴下などは控え、チノパンや白の靴下がおすすめ。保育がしやすく動きやすい服装の中にも、入園式で保護者の方に見られていることを意識した服装を心掛けてくださいね。
入園式の持ち物
入園式では服装だけではなく、いつもとは違った持ち物が求められる場合もあります。入園式で必要な持ち物をご紹介いたします。
正装の場合はパンプスが必須
スーツやワンピースなどの正装で入園式に参加する場合には、パンプスが必須です。戸外で記念撮影をしたり、保護者の方と子どもの出迎えや見送りで戸外に出ることもあるからです。
普段着で出勤して園でスーツに着替える場合には忘れがちなので、必ず持参するようにしましょう。
ストッキングは肌色
スーツやワンピースで出席する時には肌色のストッキングを着用しましょう。入園式はお祝いの行事ですので、黒いストッキングやタイツはNG。また、柄やワンポイントが入っているものも控えましょう。
メモ帳とボールペンがあると便利
入園式の後には、保護者会総会やクラス案内の時間を設ける場合もあります。初めての保育園で保護者の方は分からないことが多いので、さまざまな質問が出ることも。その場で答えられる場合は良いですが、はっきりとした返答ができない場合には確認をして後日答える状況もあります。
そんな時には、質問内容と質問をされた保護者の方の名前を必ずメモをしておきましょう。すぐに取り出せるようにポケットにメモとペンを入れておくと安心ですよ。
事前の準備
入園式前にはいつもの保育とは違う事前準備が必要です。どんな準備が必要なのか、詳しくご紹介いたします。
保育室の環境を整える
入園式の会場はもちろんですが、入園式後に保護者の方に保育室を案内する可能性もありますので、全ての保育室の環境を整えましょう。
保育室の整理整頓
普段から整理整頓しているつもりでも、意外と細かい部分が見られているものです。しっかりと整頓されている環境を見ると保護者の方に安心感を持ってもらえます。
- 棚の上に物がたくさん乗っていないか
- 絵本は同じ向きでそろえられているか
- おもちゃは同じ種類別にわけられているか
- 床におもちゃが散らばっていないか
入園式の機会に、保育室の整理整頓をもう1度見直してみましょう。また、個人情報が保護者の方の目に触れることは絶対に避けたいので、視診表などの書類は棚の上に出しておかないように注意してくださいね。
いつも以上に清掃に気を配る
普段から清潔に保たれている保育室ですが、入園式はいつも以上に清掃にも気を配りましょう。
- 窓枠や棚の上などにほこりがたまっていないか
- ガラスや鏡に手あかが付いていないか
- 水道周りに水が飛び散っていないか
特に、水道は在園児が使った後には水が飛び散っていることが多いので、こまめなチェックが必要です。
会場の雰囲気作り
入園式会場となる保育室の装飾は、春らしく保護者の方と子どもの緊張を和らげるかわいらしいものがおすすめ。
チューリップやつくし、桜などの春らしい植物や子どもの好きな動物の壁面も良いですね。華やかさを演出するためには風船装飾もおすすめですが、0歳児ですと触ってしまうことも多く、割れると恐怖感を与えてしまうので入園式にはおすすめできません。
「にゅうえんおめでとう」の文字と春らしい装飾で、子どもと保護者の方を歓迎する気持ちを表しましょう。
保育室の雰囲気作り
会場以外の保育室も春らしい装飾をすると、入園・進級にふさわしい雰囲気作りができます。各保育室で違った装飾があると、子どもも保護者の方も楽しめますね。
新入園児だけではなく、進級児も保育室が変わると登園を嫌がる場合もあります。子どもの目を引く装飾はそんな子どもたちの気持ちも和ませてくれますよ。
配布物の確認
入園式では、献立表や園だよりなど新年度の書類を配布する場合もあります。献立表はアレルギーを持っている子どもには違うものを配布するなど、子どもによって配布する書類が違うこともありますので要注意。
どんな書類を配布するのか、全員同じもので良いのかを必ず事前に確認しましょう。配布物が多い場合には、1人ずつ封筒に入れ名前を書いておくと安心です。
当日のプログラムを確認
入園式は卒園式と違って、子どもがいる状態でのリハーサルができません。入園式当日は泣いている子どももいるため、落ち着かない状態になることも。そんな状態でもプログラムをしっかりと頭に入れておくと、落ち着いて行動ができますよ。
入園式の流れは司会担当の保育士が中心となり、職員会議などで決定します。話し合っているうちに変更が出る場合も多いので、最終的に決定した流れを確認しておくことが大切。保育士全員が共通理解を持って、当日を迎えましょう。
保育園の入園式プログラム
細かい流れは各園によって違いますが、大まかなプログラムは共通しています。しっかりと頭に入れておくことで、安心して当日を迎えられますよ。入園式当日のプログラムと各プログラムのポイントをご紹介いたします。
園長先生のあいさつ |
先輩園児による歌 |
新入園児の紹介 |
職員とクラス担任の紹介 |
保育士による出し物 |
記念撮影 |
式典終了後の保護者会総会 |
クラス案内 |
先輩園児による歌のポイント
先輩園児による歌は、春らしく新入園児や保護者の方にも耳なじみのある童謡が良いでしょう。
- チューリップ
- ちょうちょう
- 春がきた
- 春の小川
歌が終わった後に、先輩園児から新入園児へ折り紙で作ったメダルやお花のプレゼントも喜ばれますよ。
新入園児の紹介のポイント
新入園児紹介は保護者の方から一言もらう場合と、保育士が名前を呼んで返事をするだけという場合があります。名前を呼ぶのは担任の役割ということも多いので、名前の読み方には要注意。絶対に間違いがないように読みにくい名前にはふりがなを振っておくようにしましょう。
職員とクラス担任の紹介のポイント
新入園児担当クラスの保育士以外は、担当クラスと名前、お祝いの言葉とあいさつを一言そえれば十分です。長くなりすぎないように注意しましょう。新入園児の担任は、保護者の方に安心してもらえるようなあいさつを心掛けましょう。
保育士による出し物のポイント
入園式自体は1時間程度と行事としては短いですが、集団生活を経験したことのない子どもたちにとっては長く、途中で飽きてしまうことも。保育士からの出し物はそんな会場の雰囲気を変え、子どもたちを楽しませるという意図があります。子どもが好きな手遊びや大型絵本、紙芝居やエプロンシアターなどがおすすめ。
保護者の方に保育の様子を見てもらえる良い機会ともなりますよ。
式典終了後の保護者会総会のポイント
式典終了後の保護者会総会は、園からのお願いや決まりを伝えたり、保護者の方からの質問も受け付け、園主導で行います。役員や父母会の制度がある保育園では、役員決めをする場合も。どんな内容を話し合うのかを事前に確認しておきましょう。
クラス案内のポイント
入園式の翌日から早速登園が始まりますので、下駄箱やロッカーの場所、登園時の準備の方法などを保護者の方に伝えます。保育士によってやり方が違うということが起こらないように、事前に確認をして説明しましょう。
担任として保護者の方に伝えること
新入園児の保護者の方にとって1番気になることは、子どもの担任がどんな保育士なのかという部分です。保護者の方に安心してもらえるように、担任として伝えるべきことを見ていきましょう。
入園のお祝い
入園式はおめでたい場です。まずは入園のお祝いを伝えましょう。保護者の方だけではなく子どもにもお祝いの言葉を伝えると、子どもを尊重してくれる保育士という印象を持ってもらえます。
【例】
「〇〇組の皆さん、ご入園おめでとうございます。先生はみんなに会えることをとっても楽しみにしていました。保護者の皆さま、本日は誠におめでとうございます。」
相談しやすい保育士をアピール
入園式では、初めての園生活に不安を抱いている保護者の方も少なくありません。そんな気持ちを少しでも和らげるためには、この保育士ならばしっかりと相談に乗ってくれると思ってもらうことが肝心。
【例】
「保護者の皆さまとたくさんお話をさせていただきながら、保育をしていきたいと思っておりますので、いつでも気軽に声をかけてくださいね。」
「不安なことや分からないことは、遠慮せずにいつでもご相談ください。お子さまの成長を一緒に見守らせていただけることを楽しみにしております。」
保護者の方とたくさん話をしたいと思っている。子どもの成長について一緒に考えながら見守っていきたい、という思いを伝えることで相談しやすい保育士と感じてもらえますよ。保護者の方に親近感を持ってもらうことが、信頼関係の第一歩です。
クラスの抱負を話す
担任からのあいさつでは、どんなクラスにしていきたいかというクラスの抱負も伝えると良いでしょう。しかし、子どもにできるようになってほしいことを伝えるのは逆効果。子どもに求めることが多いと、厳しい保育士と受け取られる場合もあります。
- 毎日子どもたちが笑顔で過ごせるクラス
- 第2のお家のような温かな雰囲気のクラス
- 友だち同士の関わりを楽しめるクラス
このように、子どもの目線で抱負を伝えることがポイント。園の方針に沿いながらも、保育士自身が子どもに寄り添い、愛情を持って接していくという保育が伝わる抱負を考えてみましょう。
入園式は保育士が新しい一年の心構えをする日
入園式は保護者の方と子どもにとって保育園生活が始まる大切な1日です。保育士にとっても、新入園児や保護者の方と出会う日。そして、これから始まる新しい一年の心構えをする日でもあります。
子どもとどのように関わって成長を見守っていくのか。保護者の方とどのように信頼関係を築いていくのか、ということを、入園式で実際に顔を見てあらためて考えてみましょう。
何年保育士をしていても、出会う子どもは1人ひとり違います。一年間をかけて子どもたちと関わっていくという心構えを持って、入園式に出席してくださいね。
まとめ
入園式は子どもと保護者の方、そして保育士にとって新たな出発の日となります。保護者の方は入園式での保育士や園の様子を見て、安心感を持ったり反対に不安を抱いたり…。それほどまでに入園式での第一印象は大切なのですよね。だからこそ服装や装飾、保育室の環境設定など、いつも以上に細かなところにまで気を配りましょう。保護者の方に安心感を持ってもらうことが、子どもとの信頼関係にもつながりますよ。