おやこのひきだし
2019.03.11
【年齢別】子どもにどんなお手伝いをしてもらうとよいのか
子どもにお手伝いをさせたいけれど、どのようなことをさせればいいのか分からないという保護者の方も多いのではないでしょうか。お手伝いは子どもの健やかな成長を促します。それならできるだけ楽しくできて、そして習慣習慣として身に着いたらうれしいですよね。
けれども、保護者の方としてはお手伝いの種類だけではなく、「お手伝いできたらお小遣いをあげた方がいいの?」「料理のお手伝いは何歳から?」「うまくお手伝いしてくれなくてこまってしまう…」など、気になることや悩みが次から次へと出てくるものです。
そこで今回は、子どもにしてもらいたいおすすめのお手伝いを年齢別に、そしてお手伝いをしてもらうときに保護者の方に注意していただきたいことまで、まとめてご紹介いたします。
子どもに合ったお手伝い選びをし、保護者の方がほんの少しお手伝いに対する意識を変えるだけで、子どもの心身は発達していきますよ。
子どものお手伝いはいつから始める?
お手伝いは、意思の疎通が取れるようになった1~2歳の年齢から始めさせる人が多いです。そうとはいえ、2~3歳はイヤイヤ期と重なる時期なのでうまくいかずに苦戦することがあるかもしれません。しかし、この年齢は好奇心旺盛な時期でもあるので、保護者の方は辛抱強く向き合うことが重要になってきます。
そして、お手伝いができるようになってきたら、子どもに合わせて少しずつレベルアップしていきましょう。5~6歳では道具を使ったものにチャレンジし、7歳以上は子どもだけに任せる機会を増やしていくと子どもの成長につながりますよ。
子どもにお手伝いしてもらうのは面倒…という保護者は多い
「子どもにお手伝いをしてもらった方がいいのは分かるけど、正直面倒臭い…」という保護者の方が多いのは事実。子どもに教えるのがおっくう、子どもにさせるより自分でやった方が早く終わる、忙しいときに失敗されるとイライラしてしまうなど、お手伝いをさせたくないという保護者の方にもさまざまな事情がありますよね。
特に、共働き家庭では朝から晩までアクセル全開で家事や育児、仕事に追われているもの。ある程度、時間と気持ちに余裕がなければ子どもにお手伝いをしてもらう機会を作るのは、難しいかもしれません。
しかし、子どもがお手伝いから得られることはたくさんあります。保護者の方には負担がかかりますが、それ以上に子どもにはメリットが多くあるので、少しの時間でもお手伝いをしてもらう機会を作ってみてはいかがでしょうか。
お手伝いすることによって得られる5つの効果
ここからは、子どもがお手伝いすることによって得られる5つの効果についてご紹介いたします。
① 自信がつく
お手伝いがうまくできたという達成感によって、子どもは自信がつきます。それだけではなく、親から褒められることで認められたと感じ、自己肯定感が育つのです。
自信が持てるようになると自分のことが好きになりますし、自分のことを大切に思う気持ちは誰かを大切にしたいという気持ちを持つことにもつながります。
このように子どもがお手伝いをすることは、心を発達させることにも役立つのです。
② 責任感
お手伝いをすることにより、責任感が生まれます。保護者の方に頼られることで、子どもは家族の一員であることを自覚するのです。例えば、まだまだ幼いと思われている3歳児も、自分の役割を与えられると家族のために奮闘するものです。
少しでも嫌なことがあると投げ出す人が多い中、最後まで成し遂げることができる責任感が強い人は、信頼を生みます。将来的に見ても、責任感を養うことは大切なことです。
③ 家族間でコミュニケーションがとれる
子どもにお手伝いをしてもらうと、自然と家族間でコミュニケーションをとることができます。子どもにお手伝いの仕方を教え、一緒に行うことで子どもと過ごす時間が充実してくるのです。
たとえ共働きで子どもと一緒に過ごす時間が少なくても、子どもと関わる時間を積極的に作ると信頼関係が深まるもの。お手伝いを通じてコミュニケーションをとると、子どもは心が満たされ、保護者の方も子どもと関わることで成長するにつれて複雑になる心境の変化に気づくことができます。
子どもと関わる時間が少ない…と感じたら、ぜひお手伝いをさせコミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか?
④ 手指の発達
お手伝いで細かな作業をすると、手指の発達につながります。手先が器用になり反射神経が身につくだけではなく、脳が活性化する効果が期待できると言われているのです。
お手伝いは心だけではなく、体の成長にも役立ちます。
⑤ 工夫することを覚える
お手伝いによって、子どもは工夫することを覚えます。お手伝いは失敗の積み重ね。何度もチャレンジしていくうちに、次はどうすればうまくいくのかを考えるようになります。つまり、自分で考えて行動する力が身につくのです。
子どものころに行うお手伝いは、大人になってからの生活にも影響するくらい大切なことだと言えるでしょう。考える力と行動力は、生活力を養うためにも重要です。
子どもが楽しみながらお手伝いをするコツはある?
子どもが楽しみながらお手伝いができれば、習慣化しやすくなります。年齢が低いうちは、保護者の方と一緒に遊びを交えながらお手伝いをしてもらいましょう。ご褒美シールを作ったり、お小遣い制にしたり、子ども専用の料理グッズやお掃除グッズを用意するのも楽しくできるコツです。
はじめは遊びの一環だったお手伝いも、成長するにつれて家事は家族が生活していくうえで必要なことだというのを理解していきます。保護者の方の姿を見ていくうちに、自主的にお手伝いをしてくれるようになるのです。
年齢別!おすすめのお手伝いの種類と内容
お手伝いをしてもらうときは、子どもの年齢に合わせたものを選びましょう。そこで、おすすめのお手伝いの種類と内容を年齢別にご紹介します。
「1歳」
1歳児なら、子どもだけに任せるよりも保護者の方と一緒になって行いましょう。遊びの一環として、「楽しく」を心掛けるとお手伝いが習慣化しやすくなりますよ。
おもちゃの片づけ
1歳児には、おもちゃや絵本を箱や本棚に片づけるお手伝いをしてもらいましょう。おもちゃを片づけるというのは、物を大切にすることと同じ。子どもが1~2歳なら、おもちゃ箱をおもちゃのお家にたとえて伝えると理解されやすいですよ。
ただし、1~2歳の子どもにとって出したおもちゃを1人で片づけるのは難しいことです。できないとすぐに辞めてしまったり、飽きてしまうので、お片付け競争をしたり歌を歌うなど、保護者の方と一緒に楽しく片づけるようにしましょうね。はじめはできなくても、成長するにつれて1人でできるようになるので根気強くお手伝いをしてもらいましょう。
ゴミを捨てる
ゴミをゴミ箱に入れるのも立派なお手伝いのひとつ。保護者の方が子どもにゴミを渡し、片付けてもらいましょう。部屋をきれいに保つことの大切さを教えていきましょうね。
ゴミ捨ては失敗することが少ないので、1歳児の子どもも簡単にできますよ。
オムツをとる
オムツをとってもらうお手伝いもおすすめです。
オムツは、あらかじめオムツセットを作っておくといいです。例えば、100均のプラスチックケースにオムツやおしりふき、袋を入れておくのです。そして、オムツ交換のときに「オムツセットをとってきてちょうだい」とお願いすると、取ってきてくれますよ。できたときは笑顔で「ありがとう」と、伝えましょうね。子どもは褒められたことがうれしくて、次も手伝ってくれますよ。
もしくは、下の子のオムツセットをとってきてもらうというお手伝いにしてもいいでしょう。下の子どものためにお手伝いをすると、子どもはお兄ちゃん、お姉ちゃんになったという意識が芽生えます。
「2歳」
次に2歳児におすすめのお手伝いの種類を見ていきましょう。自我が生まれ、イヤイヤ期に突入する時期でもあるので、保護者の方の思うようにはならないかもしれませんが根気強く行いましょう。1歳児と同じように遊びを取り入れると、楽しくお手伝いをしてくれますよ。
スプーンや箸を並べる
保護者の方と子どもが座る位置に合わせて、食器類をテーブルに並べるお手伝いをしてもらいましょう。誰がどの食器を使うのかを丁寧に教え、はじめは一緒に並べていきます。食事の時間はほぼ決まっていますし、毎日行うことなので習慣化されやすいです。次第に教えなくても1人でできるようになりますよ。
食べた後の食器を運ぶ
食事が終わったあと、使い終わった食器を子どもと一緒に運びましょう。「みんなで片づけるぞ!」などと、遊びの感覚で始めると子どものやる気スイッチが入りやすくなりますよ。
ただし、誰か1番多く片づけられるかな、といった競争にしてしまうと、急ぎ過ぎて転倒したり、食器が割れて大変危険です。2~3歳の頃は楽しくなると注意散漫になるので、はじめは割れない食器や調味料だけをお願いするといった工夫が必要です。慣れてきたら、少しずつ大人のお皿にレベルアップしていくといいかもしれません。
ハンカチなどの洗濯物をしまう
洗濯物をしまうお手伝いは、幼い子どもも簡単にできるのでおすすめです。
例えば、子どもと一緒に洗濯バサミから洗濯物を一つひとつ外したり洗濯物を取り込むときに一旦子どもに渡して、たたむ位置まで運んでもらいます。
たたんだ洗濯物をタンスに収納するお手伝いでもいいでしょう。ただし、2歳の子どもにとって収納は簡単なことではありません。お願いするときは、ハンカチや靴下、下着など、たたんだものが少々崩れても問題ないものにすると「せっかくやったのに…」と、保護者の方がイライラすることが減りますよ。
「3歳」
保護者の方がやっていることにますます興味を持ち、自分もやってみたいと思う時期。ただし、当然ながら完璧にできるわけではないので、やってみたいとチャレンジする分、失敗することも多いでしょう。怒らず、温かく見守ることが大切です。
タオルなどの洗濯物をたたむ
タオルなど、簡単にできる洗濯物をたたんでもらいましょう。いつも子どもの目の前で洗濯物をたたんでいるのであれば、子どもは保護者の方のことを観察しているので、教えると案外器用にやってくれるもの。
はじめはタオルやハンカチなどをお願いして、慣れてきたら子どもの靴下や下着にレベルアップしていくといいでしょう。子ども用の服であればサイズが小さいので、子どももたたみやすいです。
かき混ぜる、ちぎるといった簡単な料理
この時期からは、料理にもチャレンジしていきましょう。
おすすめは、ホットケーキ作り。ホットケーキは簡単にできますし、子どもも好きなので張り切って手伝ってくれますよ。火を使うのはまだ危険なので、粉を入れる、牛乳を入れる、混ぜるといったお手伝いをしてもらいましょう。
それ以外にもレタスをちぎったり、トマトやイチゴのヘタをとるお手伝いもいいですね。お皿に盛りつけるところまでやってもらうと、子どもは自分が作った料理だと言って喜んで食べてくれます。
お米をとぐ
お米をとぐお手伝いをしてもらうときは、子どもはお米をとぐ担当、保護者の方はとぎ汁を捨てる担当、というように役割分担をしておきましょうね。
お米をとぐお手伝いは簡単ですが、子どもが得るものは大きいです。お手伝いをしたことがない人は、大人になってもお米の炊き方が分からないもの。自立心を育むためにも、料理のお手伝いは積極的にしてもらった方がよさそうです。
「4歳」
4歳になったら、これまでよりもさらにレベルアップしたお手伝いにチャレンジしてみましょう。
食器洗い
子どもと一緒に、食器洗いにチャレンジしましょう。当然ながら、お皿を落とすと割れます。ケガには十分に注意したいところですが、子どもは食器洗いをしていくうちにどうすれば割らずにきれいにすることができるのかという感覚をつかむようになります。
保護者の方は、子どもが大きなケガだけはしないように注意してくださいね。
玄関の靴をそろえる
玄関の靴をそろえる習慣をつけさせましょう。自分が脱いだ靴はもちろん、家族の分の靴も並べるように教えるのです。靴をそろえることが身につくと、人のお家に遊びに行ったときにも自然とできるようになります。
卵を割るなど少し難しい料理にチャレンジ
料理もレベルアップしたものにチャレンジしていきましょう。あるアンケート調査によると、4歳児の約半数が卵を割るお手伝いをしたことがあるという結果がでています。
卵を割るのは、手先の器用さが求められること。はじめは失敗の連続になるかもしれませんが、焦らず見守りましょう。
「5歳」
5歳になったらこれまでとは違い、保護者の方が手を貸さずに、子ども1人に任せるお手伝いにもチャレンジしてみましょう。
お風呂掃除
5歳児には、水遊びの一環としてお風呂掃除をしてもらいましょう。お風呂場は毎日使うところ。家族のためにきれいにするという責任感が生まれます。
ただし、少ない水量でも溺れる危険性があるので、子どもだけに任せるのではなく保護者の方が一緒に掃除をしたり、離れるときはこまめに様子を見に行くなどの配慮が必要です。
ご飯をよそう
食事の準備をするとき、家族のみんなの分のご飯をよそってもらいましょう。簡単なことのようですが、家族一人ひとりに合わせて量を調節していくのは案外難しいこと。誰がどれだけ食べるのか考える必要がありますよね。
包丁にチャレンジ
5歳になったら、道具を使うお手伝いにも積極的にチャレンジしていきたいところ。
料理のお手伝いに慣れてきたら、今度は包丁を使ってみましょう。初めて使うときは子ども用の包丁を用意しておくといいですよ。そして、しっかり包丁を握ること、指を切らないように猫の手にすることなどを丁寧に教え、ゆっくり試していきましょう。
「6~7歳(小学生)」
6~7歳は小学校に入学する年齢です。子どもの成長を大きく感じる時期とも言えるでしょう。少しお兄さん、お姉さんとなったこの時期には本格的に家族の一員としてのお手伝いをしてもらうといいですよ。
郵便物や新聞チェック
郵便物をチェックして、家族に割り振りするお手伝いをしてもらいましょう。新聞や郵便物が届いたら、家の中に入れることを子どもの役割としてお願いすると責任感が養われます。
ご飯を炊く
お米をとぐこと、ご飯をよそうことをしたら、ご飯を炊くお手伝いにステップアップしましょう。ご飯を炊くことは、家族のために必要な家事のひとつ。当然ですが、家事は誰かがしなければなりませんし、自動でご飯が炊きあがるわけではありませんよね。
単純なことに思えますが、案外奥が深いお手伝いですよ。
火を使った料理
包丁や火を使った料理は、難易度がグッと高くなります。初めて火を使うなら、お湯を沸かしたり、野菜をゆでたり、単純なものからチャレンジしていきましょう。そして、ホットケーキを焼いたり、少しずつさまざまな料理に挑戦していきます。できることが増えていくと自信がつき、料理が楽しくなるはずです。
ただし、火事の危険性があるので、火を使うときは必ず大人の人と一緒にしなければならないことを徹底しましょうね。
子どもにお手伝いをしてもらうときの3つの注意点
子どもにお手伝いをしてもらうときは、3つのことに注意しなければなりません。保護者の方の気持ちと行動が、子どもの成長に良くも悪くも影響を与えてしまうものです。
① 失敗しても怒らない
子どもがお手伝いを失敗しても怒らないことが大切です。
子どものお手伝いには失敗がつきもの。それは分かっているつもりだけど、イライラしてしまう…ということはあるでしょう。しかし、失敗から得るものは多くあります。これは保護者の方も同じこと。どうやって教えるといいのか、うまくできるようにするにはどのような工夫が必要か、など子どもと一緒に考えていきましょう。
子どもに完璧を求めないことがお手伝いを楽しく、習慣化させる鍵となります。
② 強制しない
お手伝いを強制するのは止めましょう。また、罰としてお手伝いをさせるのも控えた方がよさそうです。これらをしてしまうと、子どもはお手伝いに対して嫌なものだというマイナスイメージを持ってしまいます。この状態では、楽しく習慣化させることはできませんよね。
家事は家族のために大切なこと。必要性を伝えるためにも、マイナスイメージを持たせないよう配慮しましょう。
③ じっくり待つ
お手伝いに焦りは禁物です。子どもにお手伝いをしてもらうときは、時間に余裕があるときにしましょう。保護者の方が忙しいときにしてしまうと、少しの失敗でもイライラしたり、我慢できずに途中で中断させてしまうことがあります。子どもは焦らされると余計にうまくいかなくなりますし、自信喪失しますよね。
これではお手伝いから何も得ることができません。忙しい時間帯を避けて、じっくり向き合える時間帯でお手伝いをしてもらいましょうね。
まとめ
子どもにお手伝いをさせるときは、子どもの年齢や成長に合わせたものをチャレンジさせるといいでしょう。年齢が低い子は、遊びを交えながら保護者の方と一緒に行い、成長するにつれてお手伝いの内容をレベルアップしていくのです。次第に責任感が芽生え、家事の必要性を理解するようになります。そして、自主的にお手伝いをしてくれるようになるでしょう。
お手伝いは、保護者の方の手伝いをするというだけではなく、大人になり生活していくうえで必要な自立心を養う大切な行為です。保護者の方には負担がかかるかもしれませんが、子どもの健やかな成長を促すためにもぜひ、お手伝いの機会を作りましょう。お手伝いから得られる効果は大きいですよ。