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保育士のひきだし

2019.02.12

保育士に人気の「絵本専門士」の資格を紹介。資格のメリットと活かし方

「保育士としてスキルアップしたい!」

「子どもの心に響く読み聞かせ技術を習得したい!」

絵本の専門家であることを証する『絵本専門士』は、より質の高い保育を目指している保育士の間で、年々注目度が増している資格の一つです。

とはいえ、比較的新しい資格のため、興味を持っていても、実際に取得を目指すには分からないことばかり、なんて方も多いのではないでしょうか。

「どのように取得でき、取得後は具体的にどのように活かしていけるの?」

「仕事をしながら取得できる?」

「絵本専門士の資格を取得するメリットは?」

いざ絵本専門士を目指すなら、これらの疑問をすっきり解決しておきたいものです。

そこで今回は、この『絵本専門士』について、徹底解説します。

どのように資格を取得でき、どのように活かしていけるのか、絵本専門士の魅力を深く探っていきましょう。

絵本専門士とは?

絵本専門士とは、絵本に関する深い知識、読み聞かせなどの高度な技術と感性、それらをすべて備えた、絵本の専門家であることを証明するための資格です。

近年、絵本は、言語力や感性、理解力を発達させ、豊かな人格形成をもたらすものとして重要な位置づけをされており、幼児期から絵本を読んだり聞いたりすることが、子どもの発育によい影響を与えることがわかっています。

そのことから、子どもの読書活動を支援する絵本のプロを輩出するために、201410月、国立青少年教育振興機構によって絵本専門士の資格が設立されました。

2018年7月時点で、絵本専門士の資格保有者は全国に約220名。保育園や幼稚園、小学校や福祉施設など、さまざまな場所で、絵本の魅力と可能性を伝えるための活動を行っています。

絵本専門士になるには?

絵本のプロフェッショナルである絵本専門士。続いては、この資格の募集要項と取得方法について詳しくみていきましょう。

絵本専門士養成講座の募集要項

絵本専門士になるには、国立青少年教育振興機構が開講している絵本専門士養成講座を受講し、資質・能力が基準を満たしていると評価されることが必要とされます。とはいえ、誰もが講座を受講でき、誰もが資格を取得できるという訳ではありません。

実は、絵本専門士の資格はかなり狭き門とされているのです。

絵本専門士養成講座の募集要項を下記の表にまとめました。

応募資格

下記のいずれか、あるいは同等の資格・実務経験を有する者

①子どもや絵本に関する資格を持っている

(例)保育士・幼稚園教諭・司書または司書補、小学校教諭などの資格

②絵本に関する実務経験が3年以上ある

(例)保育士・幼稚園教諭・図書館職員・福祉施設職員・絵本や児童文学の出版、販売、編集などの実務経験

③絵本に関わる活動を3年以上行っている

(例)絵本の語り読み活動・絵本に関するワークショップなどの実務経験

④絵本学や児童文学、美術について研究実績を持っている

(例)大学院などで児童文学の研究実績がある

受講料

50,000円(※受講にかかる交通費等は自己負担)

受講定員

70名(35名×2クラス)

開催場所

国立オリンピック記念青少年総合センター

申し込み方法

インターネット

選考

エントリーシートによる選考

 

絵本専門士になるための登竜門、絵本専門士養成講座の受講者には、絵本に関する一定の知識や一定年数以上の実践経験を有することが前提とされています。そのため、上記の応募資格を満たし、さらにエントリーシートによる選考を通過して、定員とされる70名の中に選ばれなければ講座を受講することができないのです。

応募から資格取得までの流れ

それでは、応募から取得までの流れをもう少し詳しくみていきましょう。

インターネットよりエントリーシートを提出

応募資格をクリアしたら、募集期間内に『絵本専門士養成講座申込フォーム』よりエントリーシートを提出します。募集期間は、基本的に2月初旬~3月中旬頃までです。

「気づいたら締切日を過ぎていた…。」なんてことにならないように、こまめに『国立青少年教育振興機構のホームページ』をチェックしておきましょう。

ちなみに、第6期絵本専門士養成講座の募集期間は201921日(木)~2019311日(日)となっていますよ。

  • 6期絵本専門士養成講座の募集期間:201921日~2019311

エントリーシートの主な入力内容は次の通りです。(※『第5期絵本専門士養成講座申込フォーム』参照)

  • 氏名や住所などの個人情報
  • 所属団体
  • 受講資格
  • 受講資格に関わる活動歴
  • 受講動機(400字程度)
  • 資格取得後に活動したいこと(400字程度)など

申込フォームは一定時間が過ぎるとエラーとなってしまいます。スムーズに申込が完了できるよう、入力内容を事前に準備しておきましょう。

 

エントリーシートを提出して受付が完了すると、登録したメールアドレスに『受付番号』が送られてきます。選考の結果は5月上旬頃、絵本専門士養成講座のホームページ内で受付番号によって発表され、受講決定者には受講や受講料納付に関するご案内などの通知が届けられます。

絵本専門士養成講座の受講

選考に通過すると、6月から翌年1月にかけて講座が開講されます。全部で30コマの授業(1コマ90分または120分)と修了課題により構成され、絵本や子どもに関する知識をはじめ、読み聞かせやワークショップを運営するための技術、絵本の創作や編集に必要な感性を約8ヶ月かけて学んでいきます。

  • 講座内容:30コマの授業と修了課題
  • 開設期間:6月~翌年1

     ※2カ月に1度、土日の2日間開講

審査は、全講座の受講と修了課題の評価のもとに行われ、見事クリアすると絵本専門士に認定されます。

仕事をしながらでも受講できる?

ちなみに、絵本専門士を目指す場合、ほとんどの方が仕事と並行して挑戦することになりますよね。そこで気になるのが、仕事をしながら講座の受講ができるのか、という点。

すでにお話した通り、絵本専門士養成講座は2カ月に1度、土日の2日間にかけて開催されるので、土日休みの職場であれば仕事との両立は可能です。

ただし、講座は半年以上もかかる長丁場。さらに、全講座受講後には課題も課せられるので、ハードスケジュールになることをある程度覚悟しておきましょう。

また、会場は東京にある国立オリンピック記念青少年総合センターのみとされているため、関東近郊以外にお住まいの方には、距離が少々ハードルとなります。交通費や宿泊費なども事前に考慮しておきましょう。

絵本専門士で習得できるスキル

絵本専門士養成講座では、絵本専門士としての役割を担っていくために必要となるさまざまなスキルを学んでいきます。

絵本専門士に必要とされるスキルとは、『3つの領域』と『6つの能力』。それでは、それぞれを詳しくみていきましょう。

3つの領域

まず、3つの領域とは次の通りです。

  • 知識:絵本や子どもに関する知識
  • 感性:豊かで魅力のある人間性
  • 技能:手遊び、読み語り、創作活動など

絵本や子どもに関する『知識』をはじめ、読み語りやワークショップを運営する『技能』、絵本の創作や編集に要する豊かな『感性』。絵本専門士には、この3つの領域のすべてをバランスよく習得することが望まれます。

6つの能力

つづいて、6つの能力とは次の通りです。

  • 選択力:子どもの発達段階に応じた絵本を選択する力
  • コーディネート力:絵本を通して、個人やグループを結びつける力
  • 企画力:絵本に関わる事業を企画、実施する力
  • コミュニケーション力:相手との適切な意思疎通ができる力
  • 表現力:物事を論理的に相手に分かりやすく説明する力・共感する力
  • 指導力:研修等の講師として指導し、アドバイスする力・ワークショップを運営する力

 

これらは、絵本の魅力と可能性を伝える絵本専門士として活躍するために、すべて欠かすことのできない力です。子どもたちの心に響く読み聞かせをするためには、絵本を選択する力や表現力、コミュニケーション力は必須ですよね。さらに、ワークショップや研究会を一から企画し最後まで実行する企画力、指導やアドバイスをする指導力、そして、個人とグループをつなげて絵本の普及を推進するためにコーディネート力も必要とされます。

養成講座の募集から始まり、およそ8カ月にわたる講座と課題をクリアして、絵本専門士に認定されるまでにおよそ1年。かなり長い時間をかけて、これら『3つの領域』と『6つの能力』をじっくりと身につけていきます。

絵本専門士を取得するメリット

絵本専門士について、かなり理解が深まってきたのではないでしょうか。でも、せっかく時間をかけて絵本専門士を目指すのなら、取得することで今後の仕事にどのように活かしていけるのか将来像をしっかり描いておきたいですよね。そこでここからは、絵本専門士を取得することで得られるメリットについて解説していきます。

保育士としてスキルアップできる

絵本専門士としてのスキルは、保育士としてのスキルアップにそのままつなげることができます。

 

  • 子どもの発達段階に応じた絵本の選定
  • 子どもの心に響く読み聞かせ技術
  • 子どもの興味をひきつける絵本の制作

 

子どもの年齢や状況に合わせて適切な絵本を選ぶことができるようになったり、子どもたちの心をひきつける読み聞かせやオリジナルの絵本が制作できるようになったりと、絵本を通してより質の高い保育をすることが可能になります。

また、転職をする際には、絵本専門士の資格が優遇される可能性もありますよ。

活躍の場が広がりキャリアアップできる

絵本専門士の資格を取得すると、ワークショップを自分の力で企画開催できるほか、企業で絵本作りの企画に参画したり、教育機関で絵本の講師として講義をしたりと、保育士以外の仕事もできるようになります。

  • 絵本の研究会やワークショップの開催
  • 絵本作りの企画に参画

活躍できる場所、仕事の幅が広がるので、キャリアアップを目指している方にはぴったりの資格ではないでしょうか。

絵本専門士で仕事の幅を広げよう

仕事の幅を広げることができる絵本専門士。最後に、絵本専門士が活躍できる場所や仕事の内容を具体的に確認しておきましょう。

  • 保育園
  • 幼稚園
  • 小学校
  • 放課後子ども教室
  • 図書館
  • 書店
  • 児童養護施設
  • 高齢者福祉施設
  • 医療機関
  • リハビリセンターなど

子どもたちに絵本の魅力を伝えるため、保育園や幼稚園、小学校や図書館などで読み聞かせ会や絵本講座を開催するほか、治療の一環として、医療機関やリハビリセンターなどで絵本を取り入れた活動をすることも可能です。

さらに、絵本の知識や理解を深めるための研究会を開催したり、ワークショップの講師をしたりと、活躍の場、仕事内容はかなり多岐にわたりますよ。

このように、絵本専門士の資格を取得すれば、自分次第でさまざまな活動を行っていけるのです。

絵本専門士を取得してスキルアップを目指そう

絵本のプロフェッショナルである絵本専門士は、保育士としてのスキルを高めることができるのはもちろん、活躍の場、仕事の幅を広げてくれる魅力あふれる資格です。歴史は浅いものの、年々注目度が高まっているのは、絵本専門士としてのスキルが現場で評価されている証ともいえますよね。

「もっと心に響く読み聞かせをしたい!」

「絵本を通じて、子どもたちの心を豊かにしたい!」

「保育士としてスキルアップしたい!」

絵本の力に魅力を感じている方、今後のスキルアップ、キャリアアップを目指している方は、ぜひ、絵本専門士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


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