保育士のひきだし
2019.03.11
【保育士1年目の悩みとは?】抱えやすい悩みと対応方法について解説
憧れて就いた保育士の仕事。しかし、いざ働き始めると子どもとの関わり方や職場の人間関係などの悩みがつきず、仕事に楽しさを見いだせない…。そんな悩みを抱える一年目の保育士は少なくありません。
そんなときには、自分の保育や職場を少し客観的に見てみましょう。悩みの原因がわかれば必ず対応方法はありますよ。
どんなにベテランの保育士でも、たくさんの悩みを抱えた一年目を経験しています。その悩みを乗り越えて、保育士として1人前になっていくのです。
悩みを抱える一年目の保育士さんへ。1つひとつの悩みへの具体的な対応方法を、一緒に考えていきましょう。
(※保育士一年目を乗り越えたベテラン保育士さんたちのインタビュー集 「保育のお仕事“一年目”」もぜひご覧ください)
保育士一年目の仕事内容は?
まずは保育士の仕事内容を見ていきましょう。
- 子ども1人ひとりに合わせた関わりや援助
- 子どもの成長発達に合わせたおもちゃの選定、環境設定
- 保護者対応
- 保育カリキュラムの設定(年間カリキュラム、月案、週案の作成)
- 連絡帳記入、お便り作成、成長の記録などの事務作業
- 行事の計画実行
- 環境整備
- 職員会議などへの出席
- 後輩指導
その他にも細かい仕事がたくさんあり、まさに分刻みのスケジュールです。しかし、保育士一年目から全ての仕事をこなそうとする必要はありません。
新人保育士の最大の仕事は、子どもとの関わり。子どもとじっくりと関わり様子を観察することは、他の仕事にもつながっていきます。
例えば、保護者対応や連絡帳の記入。子どもの様子をしっかりと見ていないと保護者の方に様子を伝えられませんね。保育カリキュラムの設定やおもちゃの選定も、子どもと関わる中で発達段階を把握しなければできません。
まずは子どもと関わること。それ以外の仕事は少しずつ覚えていけば良いのです。
もう1つ、一年目の保育士がやるべきことは、わからないことを遠慮せずに先輩保育士に聞くことです。わからないことをそのままにしていると、いつになっても仕事が覚えられません。
忙しい保育中などは丁寧に教えてもらえないかもしれませんが、時間を見つけてどんどん質問をしてください。教えてもらったことはメモを取って覚えるようにすると、仕事も早く覚えられますし、真剣な姿勢が伝わりますよ。
先輩保育士に仕事内容を聞いて覚えることも、新人保育士の大切な仕事です。
保育士一年目によくある悩み
では、保育士一年目にはどんな悩みを抱えることが多いのでしょうか?
悩みの内容と、具体的な対応方法をご紹介します。
子どもとの接し方に悩んでいる
大学や専門学校で子どもの姿について学んでいても、実際の子どもとの関わりになると戸惑ってしまうことも。先輩保育士の元には子どもがたくさん寄っていくのに自分のところには来てくれない…と悩みを抱えることも少なくありません。
そんな時に試してもらいたい対応方法を見ていきましょう。
子ども目線で、子どもと同じ気持ちになる
まずは、子どもたちのことをしっかりと観察して、子どもの気持ちになりきって関わることを心掛けましょう。保育士になりたての頃はどうしても、子どもにとって適切な関わり方や遊び方をしなければと思ってしまいがちです。
実はそんな保育士の思いが子どもにとっては窮屈なのかもしれません。遊んであげようと思わずに、子どもと一緒に楽しむことがポイントです!
恥ずかしさは捨てて、子どもが好きな遊びを思い切り一緒に楽しんでみましょう。一緒に遊んで楽しかったと子どもが感じてくれたら、信頼関係の第一歩が築けています。
次の段階は、目新しく子どもが喜びそうな遊びを用意することです。学生時代に作った手作りおもちゃなど、園にはないおもちゃもおすすめ。子どもは新しい遊びが好きなので、きっと注目してくれますよ。
一緒に楽しみながら遊んでくれる保育士が子どもは大好きです。子ども目線で、楽しいと思える遊びを想像しながら関わってみてくださいね。
一人ひとりの子どもと関わる
保育園は集団保育ですが、子ども一人ひとりに合わせた保育が基本です。目の前にいる子どもがどんな関わりを求めているのかを考えながら関わることが重要。先生は自分のことを分かってくれるという思いを子どもが持ってくれれば、信頼関係が築きやすくなります。
一人ひとりの子どもとの信頼関係が築ければ、集団として大勢の子どもと関わることも難しくはありません。離れた場所にいても、保育士の声掛けやうなずき1つで、子どもが安心してくれるからです。
クラスにいる子どもたち全員と関わらなければと思わずに、まずは一人ひとりの子どもとの関わりを大切にしてくださいね。
先輩保育士の関わり方をまねする
同じような声掛けや関わり方をしているつもりでも、声の調子や話すスピード1つで子どもの反応は変わります。うまく関わることができないときには、先輩の話し方や関わり方を観察してみましょう。
そして、どんどんまねをしてください。まねをするうちに、自分のものになっていきます。ポイントは話すスピードと間の取り方、関わるタイミングです。子どもが1人でじっくり遊んでいるときに話しかけたり遊びに誘っても、子どもの心はつかめません。
先輩保育士の関わる様子を、よく見てまねをしてくださいね。
先輩保育士に相談する
先輩保育士も子どもとの関わり方に悩みながら、保育士としての経験を積んでいます。だからこそ、後輩の悩みもよく理解することができます。
忙しそうな様子で相談がしづらい…と感じる方もいるかもしれませんが、自分を頼って相談してくれる後輩はかわいく、力になりたいと思うものです。「関わり方がわからない」という抽象的な相談の仕方ではなく、「食事のときに」「寝かしつけで」「遊びの場面で」など具体的な場面を伝えて相談すると良いですね。
保育中は忙しそうな場合には、午睡中や休憩時間など時間があるときに相談してみましょう。実際に保育の場面を見ている先輩保育士だからこそ、的確なアドバイスをもらえる可能性が高いですよ。
職場の人間関係に悩んでいる
職場の人間関係も、子どもとの関わりと並んで多い悩みです。特に多いのが先輩保育士との関係。
- 先輩保育士が自分にだけ冷たい気がする
- 仕事中に嫌みを言われる
- 仕事に対する質問をしても、教えてくれない
- 先輩を見ると緊張して、うまくコミュニケーションがとれない
先輩保育士を意識するあまり、仕事に支障が出てしまう人も少なくありません。それだけ、一年目の保育士にとって先輩保育士の存在は大きいのです。
男性保育士が増えてきたとは言っても、保育園はまだまだ女性の職場です。女性ばかりの職場においては、ますます人間関係がこじれてしまうことも。
職場の人間関係に悩んだときにはどのように対処すればよいのか。具体的な対応方法を考えていきましょう。
自分から話しかける
先輩に苦手意識を持ってしまい、話しかけづらいという方も多いと思います。しかし、そこはあえて自分から話しかけるように心がけてみましょう。
まずは、朝顔を合わせたら笑顔で「おはようございます」とあいさつをすることから始めましょう。初めはあいさつを返してくれなくても、めげずに続ければ返してくれるかもしれません。すぐにはコミュニケーションがとれなくても、続けることが大切です。
また聞きたいことなどがあるときは、いきなり質問するのではなく、「今お時間よろしいですか?」といった一言がきっかけになりますよ。
休憩中や午睡中もコミュニケーションをとるチャンスです!
子どもとの関わり方や保育内容について、積極的に話かけてみてください。先輩保育士の保育を見て良いと感じた部分を話題に出しても良いですね。ほめられてうれしくない人はいません。人間関係を築く第一歩は、相手の良い部分を見つけて伝えることです。
報告・連絡・相談を丁寧に
一年目は完璧に仕事ができなくて当たり前です。みんな同じように仕事ができない中で、周りからかわいがられる新人保育士の特徴は、報告・連絡・相談ができていることです。
- 細かなことでも先輩保育士に報告や連絡をする
- 分からないことは自己判断をせずに相談をする
- もらったアドバイスは次に活かせるように、必ずメモをして覚える
この3点が重要です。報告や連絡は分かりやすいようにまとめ、丁寧に伝えると良いでしょう。円滑に仕事が進むことはもちろんですが、コミュニケーションのきっかけにもなりますよ。
園内で仲の良い人を作る
園内で信頼できる人を見つけることも重要です。同じクラスではなくても、信頼できる先輩に出会うことで悩みを相談できたり、うまくいっていない先輩保育士との仲介をしてもらえることも。
また、たわいもない話ができるような仲のよい同僚も貴重な存在です。気軽に話せる人がいると、人間関係が築きやすくなりますよ。
主任や園長に相談をする
いろいろな方法を試したけれど、人間関係が改善できない。そんなときには、遠慮せずに主任や園長に相談をしましょう。保育士をまとめる立場である主任や園長は、保育士間の関係に気を配ることも仕事の1つです。
話し合いの場を設けてもらうことで、関係が改善することもあります。話し合いでも改善できない、仕事に支障が出ているという場合には、担当クラスを変えてもらうなどの配慮も必要です。
自分で解決できないと感じたときには、主任や園長に頼ってくださいね。
保護者の方との関わり方がわからない
保育士の仕事の1つである保護者対応。大人との関わりや関係作りは、子どもとの関わりとはまた違った難しさがあります。
そのため新人保育士の頃は特に、関わり方がわからないという悩みを抱えることも多いのです。保護者対応に苦手意識を持ってしまうと、ますます何を話せば良いのかわからないという悪循環に…。
そうならないためには、早めの対応が重要です。保護者の方との関わり方に悩みを抱えたときの対応方法をご紹介します。
基本は笑顔であいさつ!
関わり方がわからないときには、まずは笑顔であいさつから始めましょう。保育士と関わるときには、保護者の方も緊張しています。笑顔のあいさつは保護者の緊張を解き、親近感を持ってもらえる第一歩に。
仕事で疲れて帰ってきたときに、保育士から「おかえりなさい」と笑顔で声を掛けてもらえると、うれしいものです。笑顔は保育士の最大の武器です。気持ちの良いあいさつで保護者の気持ちをつかみましょう。
積極的に会話をする
保護者の方に苦手意識を感じると、自分から話しかけづらくなってしまいますが、そんなときこそ積極的な会話を心掛けましょう。
話をする内容は子どもの園での様子がおすすめ。
- 子どものかわいらしいエピソード
- 園生活の中でできるようになったこと
- 最近のお気に入りの遊び
子どもの良いところや園での様子を具体的に伝えられると良いですね。保護者の方は園での子どもの様子を知りたがっていますし、良い面をほめられて嫌がる人はいません。
そのためには、園での子どもの様子をよく見ておくことが大切です。子どもの様子をよく見て積極的に伝えてくれる保育士に対しては、保護者の方も良い印象を持ってくれるので、良い関係作りができますよ。
偏りなく全員の保護者と接する
関係が築けている保護者の方とは話しやすいですが、関係が築けていない保護者の方とは話しづらいものです。しかし人によって接し方を変えていると、あまり接していない保護者の方とはますます溝ができてしまいます。
また、関係が築けているからといってフランクに接しすぎることも避けましょう。保育士と保護者の方は友達ではありません。フランクに接する保育士を嫌がる保護者の方もたくさんいます。あくまでも保育士と保護者という距離感を保ちながら、全ての保護者と偏りなく接するように心がけてくださいね。
時間外勤務が多い
保育士の仕事はとにかくたくさんあります。勤務時間内に終わらずに、時間外勤務をしなければいけないことも。
毎日時間外の勤務が続くと、からだも気持ちも疲れ切ってしまいますよね。そんな悩みを抱えたときには、時間外勤務を減らす工夫が必要です。具体的な対応方法をご紹介します。
仕事の優先順位をつける
保育士はやるべき仕事がたくさんあります。その仕事を全て一度に終わらせようとすると、どんなに時間があっても足りません。仕事が終わらないから残業をしなければ…そんな状況になったときには、優先順位をつけてみましょう。
まずは期日が明日までの仕事。これはどんなに残業しても終わらせなければなりません。今週中や今月中が期日の仕事はとりあえず後回しです。午睡中などに時間が設けられる可能性もありますよ。
仕事が終わらなくて残業ばかりというときには、自分の仕事の進め方を見直してみましょう。
自分の仕事の優先順位が分らないときは、周りの人に聞いてみることも大切です。
「この仕事とこの仕事、どっちを先に進めましょうか?」などの一言があれば、お互いに安心して仕事が進められますね。
前日に事前準備をしておく
1から仕事を始めようと思うと、多くの時間が必要です。そうならないためには、翌日にやるべき仕事の準備を前日にすませておくことをおすすめします。
- 週案は前日に自宅で、ある程度の保育内容を考えておく
- 壁面は隙間時間に型紙だけコピーしておく
- 製作準備は材料だけそろえておく
このように事前に少しの時間でできる準備をしておくと、当日スムーズに仕事が進み、時間外の勤務時間を減らすことができますよ。
自分に合っている自信がない
憧れて就いた保育士の仕事だけれど、実際に働いてみたら自分に合っている自信がない。そんな悩みを抱えると「退職」の2文字が浮かんでしまうことも…。
初めは誰でも自信があるわけではありません。少しずつ自信を身につけられるような対応方法をご紹介します。
先輩保育士に相談する
保育士ならば1度は「自分に合っていないのかも」という悩みを抱えたことがあります。同じ道を通ってきているからこそ、先輩保育士は具体的なアドバイスをもらえる強い味方なのです。
また、実際の保育を近くで見ているのも先輩保育士です。どんな部分を直せばより良い保育ができるのか、ということを教えてもらうことで、自信を持って保育ができるようになりますよ。
どうして自分に合っていないと感じるのかを具体的に挙げながら相談をしてみてくださいね。
目標設定をして一つずつ乗り越える
急に全ての仕事ができるようになるのは不可能です。初めはできなくて当たり前。1つずつ目標を立てて、1つずつできるようになっていけばよいのです。
例えば、働き始めて1カ月は、子どもの名前と顔、保育の流れを覚えられれば十分です。次の1カ月は子どもと一緒に楽しく遊ぶことを目標に。次の1カ月は先輩保育士のまねをしながら、声掛けを意識する、など1つひとつ自分の中で目標を立てて、乗り越えていきましょう。
初めから完璧にこなそうとすると、結局全てが中途半端になってしまいます。1つ目標がクリアできたら自分をほめてあげてくださいね。仕事ができるようになっていく楽しさが感じられると、少しずつ自信もついていきますよ。
保育士はとても素晴らしい仕事!
保育士一年目の頃は仕事の見通しが持てず、なかなか仕事の楽しさを感じられないかもしれません。しかし、保育士になりたいと感じた気持ちを大切にしてください。悩みが多くて楽しさが感じられないときには、保育士の仕事の良いところを思い浮かべてみてくださいね。保育士の仕事の素晴らしさを再確認しましょう。
子どもの成長を感じられる
子どものそばで寄り添い、成長を間近で感じられることは保育士の特権です。今は毎日の仕事に必死で、成長を感じている余裕がないかもしれませんが、1年たったときには確実に成長した姿を見せてくれますよ。
仕事で悩んだときには目の前の子どもの姿を見て、成長した様子を思い浮かべてみてください。保育士は子どもの成長を感じ、一緒に成長できる素晴らしい仕事です。
行事やイベントでの感動
保育園では季節を感じる行事や子どもの成長を保護者の方と一緒に喜び合う行事など、さまざまな行事があります。行事の計画と実行は保育士の仕事の1つです。一年目は全てが初めての行事ですので計画にも時間がかかり、頭を悩ませることも…。
しかし、行事をやり遂げたときには準備の大変さを忘れるほどの感動を得ることができます。子どもたちが懸命に頑張る姿、自分たちで計画した行事に子どもや保護者の方が喜んでくれる姿は保育士にとって大きな喜びです。
保護者から感謝される
保育士は「ありがとうございます」と言われる機会の多い職業です。保護者の方との関係作りは難しい面も多いですが、子どもと真剣に向き合っている様子は必ず伝わります。だからこそ「いつもありがとうございます」という言葉をもらえるのですよね。
1年の終わりに「先生が担任で良かったです」と言ってもらえた感動は、他の職業ではなかなか味わえないと思います。
毎日の積み重ねがそんな感動につながると思うと、保護者対応にも前向きになれるのではないでしょうか?
保育の仕事は社会貢献にもつながっている
保育士は未来ある子どもたちの成長に携われる仕事です。また、共働きの家庭を手助けする重要な存在でもあります。
共働き家庭が増えている中で、保育園と保育士がいなければ、子育てが難しい家庭はたくさんあります。そんな保護者の方の手助けをすることで社会貢献ができることに、誇りを持ちましょう。
保育士の頑張りは多くの子どもと保護者の方を支えています。
まとめ
初めから完璧に仕事をこなせた保育士などいません。仕事が完璧にできる先輩保育士も、一年目の頃は多くのことに悩み、時には辞めたいと感じながらも成長して今があるのです。
保育士一年目は悩むことも仕事のうち。悩んだ時には1つひとつ、順番に乗り越えて行けば良いのです。1人で解決しようとせずに、周りをどんどん頼ってくださいね。頼ったり保育を真似ながら、保育技術や人間関係の築き方が備わっていきます。
1人で悩まずに周りに相談するスキルを身につけましょう。