おやこのひきだし
2018.10.25
保育園選びの決め手は?事前に押さえておきたい5つのチェックポイント
これから大事なお子さんを預けることになる保育園選び。
ニュースで取り上げられることも多いので「保活」は大変、と覚悟されていらっしゃる親御さんも多いと思います。
ネットのホームページや口コミサイト、役所での情報収集は欠かせませんがそれ以外にも集めるべき情報はあります。
待機児童もまだ多い現状ですが、まずは「安心してお子さんを預けられる保育園を選ぶ」ためにチェックしておきたいポイントをリストにしてご紹介します。ぜひとも保育園選びの参考にしてみてください。
保育園選びチェックリスト
大きく分けて5つの観点から、それぞれ気を付けておくべきポイントをご紹介します。
保育園をいくつかに絞り込む段階、また絞り込んだところから実際に通う保育園を検討する場合にチェックすべきポイントがあります。
リストの後に詳細な内容をご紹介していますので確認してみてください。
【チェック①】 保育園の絞り込み時にチェックすべきこと
-
通える範囲にどんな保育園があるのか、枠はどのくらいあるのか調べる
-
保育園の種類を調べる(認可保育園/認可外保育園/認証保育所)
-
毎月の保育料を調べる
-
保育の方針や保育方法を調べる
【チェック②】 有事の時の対応
-
お迎えの人が変わるときや何かあったときの連絡体制はどうなっているのか
-
急な延長などの対応は可能か
-
延長保育は何時までなのか、料金はどのくらいかかるのか
-
お盆休み、年末年始などの大型連休期間の対応はどうなっているのか
【チェック③】 お子様のために気を付けておきたいポイント
-
アレルギー対応が必要な場合はしっかりと対策をしてもらえるのか
-
おやつや食事の内容はどうなっているのか
-
病気やけがの応対はどうなっているのか
【チェック④】 園外の環境
-
通園路をチェック
-
車登園の場合は駐車場、自転車登園の場合は駐輪場はあるのか
-
保育中の散歩コース、公園までの道で危険なポイントはないか
-
近隣住民と騒音などでトラブルになったりしていないか
【チェック⑤】 園内の様子・環境
-
園内の様子を実際に訪問して気になる点がないかチェック
-
在籍している保育士さんは有資格者か、経験年数はどのくらいか
-
保育園内の環境は適切な状態になっているのか(衛生面や安全管理、防犯対策はどうなっているのか)
-
園庭はあるか、ない場合は近くに安心して遊べる場所があるのか
どうして実際に見学して確認するほうが良いのか
安心して預けられる場所なのかどうか、ということを把握するために欠かせないのは「実際に目で見て肌で感じて判断する」ということです。
パンフレットやホームぺージからも必要な情報を集めることはできますが、保育中の様子などは実際に見てみないとわかりません。
特に重要なのは公式な説明会などではなく通常の保育中の子どもたちの様子、保育士さんの関わり方などを見る、ということです。
実際に見てみないとわからないことも多いので、見学時にぜひ見ていただきたいポイントを中心にご説明していきます。
子どもたちの様子や保育士さんとの関わり方をチェック
「保育士さんと子どもたちは楽しそうに、かつしっかりと保育されていると感じられるか」ということは特に気になる親御さんも多いでしょう。
子どもは正直です。
保育されている子どもたちはどんな様子・表情でいるかしっかりチェックしてみてください。
笑顔で楽しそうに過ごしているか、あいさつやけじめについてはきちんと教育されているかも見てみましょう。
保育士さんを信頼して園での生活を楽しめているか、子どもたちの表情を見るとわかります。
小さい頃に、長く過ごす場所での教育によってその後の生活にも大きく影響が出ます。
小さいからといってあいさつをないがしろにしたり、ありがとう・ごめんなさいをきちんと教えられていないのに、大きくなれば勝手にできるようになるというものではありません。
しつけは家で、という考えもありますが長く過ごすことの多い保育園だからこそ重要なポイントでもあります。
けじめをつけられる年齢の子どもたちには、きちんとした基本的な教育が行われているかというのも、大切なチェックポイントです。
見学時には保育園施設の気になるポイントもしっかりチェック
-
園内は清潔に保たれているか
-
子どもたちがけがをしないような工夫・対策は取られているか(階段付近に幼児が勝手に入れないようなゲートの設置など)
-
出入口には安全のための施錠や、警備員の配置などの対策はどうか
園に見学に行く際には実際に通う道順も確認
保育園を見に行くときには、登園時に実際に通る道を確認しながら向かってみてください。
帰りに買い物できる場所があるか、危険な道はないか、雨の日でも安全か、など想定しながらチェックすることで、通園時の生活を視野に入れて園を検討することができます。
やっと仕事が終わって子どもを迎えにいき、さらに家とは関係のない方向に買い物に行かなくてはいけないというのは毎日のこととなるとかなり負担です。
また仕事に車通勤、自転車通勤をされる場合もあると思いますが、保育園に駐車場や駐輪場があるのかも確認しておくようにしましょう。
雨が降ったらどうだろうか、車通りはどうか、など気になるポイントも確認しておくと良いでしょう。
見学時には保育士さんも要チェック
子どもを安心して預けられる、ということについて考えるとそこで働く保育士さんにとっても良い環境であることが大事ですよね。
保育園検討中の見学で、「子どもたちをのびのびと、いろいろな経験をさせて成長させる」ということで人気のある園を見学したら、「確かに子どもはよく遊んでいるけれど、先生があまりみていなくて(子どもの人数が多すぎるなど)死角も多くけがをしてもおかしくない」と感じたために検討リストから除外した、という話も耳にします。
また「若い先生ばかりでベテランの先生があまりいない」ということで不安を感じるという親御さんもいます。
実際に「先生の退職が相次いでしまっている」状況にある保育園もあります。
単純にタイミングが重なって、ということもあるかもしれませんし、そうではなく労働環境に不満を抱くような保育園である、ということもあります。
保育士さんは若い人が多い?ベテランの保育士さんは?
保育士さんが新人さんばかりだと不安に思うのは当然です。
子どもは常に仲良しでケンカもしないということはありませんし、場合によってはまだ人とうまくコミュニケーションが取れない年齢ということもあります。
そのようなときでも、経験豊富なベテランの先生がいることで「その場に合った対処」でしっかりと子どもたちを導いてくれるというシーンは多いです。
保育園は、ただ子どもを預かる場所ではありません。
この時期の子どもはいろいろなことを経験しながら学習し、成長していきます。
家庭とは違う保育園という場所で、どんな保育士さんにどのように保育してもらうのか、ということはこの時期だからこそ重要ともいえるのです。
保育士さん同士のコミュニケーションは?雰囲気は良い?
また保育士さん同士のコミュニケーションも確認してみてください。
子どもたちを一緒に守り、育てる仲間としてきちんと連携が取れている園では、保育士さん同士も円滑にコミュニケーションがとられているので雰囲気も良好です。
保育士さんは適切な人数が配置されている?
後ほどご紹介しますが、保育園には保育する子どもたちの人数に合わせた保育士さんの人数にも規定があります。
人手が足りない状況で無理やり回しているような印象を受けるならもってのほか。
しっかりと基準が満たされ、適切に保育できる環境かどうかを確認するためにも、保育士さんがどの年齢のクラスで何人いるかを確認しましょう。
認可保育園、認可外保育園、認証保育園について知る
保育園には大きく3つの種類があり、それぞれ少し特徴も違います。
認可保育園について
「認可保育園」というのは、市区町村が保育実施義務を委託する”公認保育園”と直接運営している”公立保育園”があります。
どちらも都道府県知事による認可を受けている、ということから「認可保育園」といわれており、費用の助成もあるので利用料は認可外保育園と比較すると安くすむことも多いのが現状です。
認可外保育園について
「認可外保育園」は、児童福祉法に基づく都道府県知事などの認可を受けていない保育施設のことを指します。
ただし認可外保育園も常にではありませんが、年に1回以上の割合で都道府県による指導監督を受けていて「児童を保育するのにふさわしい環境や保育内容を確保しているか」チェックされる立場にあります。
認証保育所について
東京都の認証保育所制度は、認可施設 の最低基準とほぼ同等の水準を維持しながら、待機児童の貴重な受け皿とするために運営される保育所です。
国の認可制度では「認可外」となっているので国からの補助金は一切入っておらず、認可保育園と比 べて保育料が高いということにつながっています。
厚生労働省で定められる保育所の基準を知っておきましょう
大事な子どもを安全かつ安心して預けられるかどうかを検討するためにも、「きちんと運営されている保育所なのかどうか」を判断することも重要です。
保護者の目線でみて、判断することのできる保育所の基準をご紹介しておきたいと思います。
認可保育所の職員配置数は適切なのか
先ほど少し触れましたが、国が定める『児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)』により、認可保育所の職員配置数には決まりがあります。
入園を検討している保育園がこの基準を満たしているかどうかしっかりと確認しましょう。
【国が定める保育士の配置基準】
子どもの年齢 |
保育士の配置人数 |
0歳児 |
児童3人に保育士1人 |
1,2歳児 |
児童6人に保育士1人 |
3歳児 |
児童20人に保育士1人 |
4,5歳児 |
児童30人に保育士1人 |
設備や人員の基準は満たされているのか
-
保育士(有資格者)と嘱託医はいるかどうか
-
保育園内に園庭がない場合には近所に公園や神社の境内などはあるか
-
調理室はあるか
面積基準は満たされているか
園舎 :基準なし
保育室(遊戯室) :幼児1人につき1.98平方メートル
乳児室 :乳幼児1人につき1.65平方メートル
屋外遊戯場 :幼児1人につき3.3平方メートル
(105人(3学級相当)の場合346.5平方メートル)
衛生面や保育については適切か
-
食育については配慮されているか
-
感染症の対策や消毒などの配慮、病気を発症した時の対応はきちんとされているか
【参考】厚生労働省/子ども・子育て支援新制度(H27.4.1施行)のポイント
食育については食育推進基本計画で策定されており、”乳幼児の発育及び発達の過程に応じて計画的な食事の提供や食育の実施に努めるとともに食に関わる環境への配慮をすること”が義務付けられています。
また自衛のできない子どもたちが大勢通う保育園は、感染症をもらってしまう事が多い場所でもあるため、どのような対策をとっているか確認するのはとても重要です。
最後に
保育園を選ぶ際に大切なチェックポイントをさまざまな観点からご紹介してまいりました。
チェックすべきポイントが多く感じられて「やっぱり保育園選びって大変…」と思われてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
重要なことを最後にまとめると、「保育園選びはしっかり見学してから」ということ。
たったそれだけなのです。
ある程度気になる保育園を絞り込んだら、ぜひお子様と一緒に見学に訪れてみてください。
どんな施設で、どのような保育士さんがいて、きちんと子どもたちを安全に守り教育できる環境にあるかどうかを確認してもらえればと思います。
お子さんが実際に通ってみてどんな反応をするか見てみる、ということもおすすめです。
保育園によっては“一時保育”という制度があります。この制度を利用すれば、ある程度自分で表現できる2歳以降のお子さんですと「気に入ったのかどうか」判断することはできるのではないでしょうか。
保育園選び次第でそのあとのお子さんの成長が大きく変わってくる部分もあります。
親御さんにとっても、お子さんにとっても満足できる保育園をみつけていただければ幸いです。